第17話 リッド便進行中
第四位階上位
全員が地上に出た後、直ぐに遺跡から出た。
地図の共有化を行い、地下墓地の一層の未踏破領域を埋めた。
地図の共有化は、地図の画像や本の地図では地図スキルの未踏破領域を埋める事は出来ない。だが、地図スキル同士だと許可する事で地図を埋める事が出来る。
遺跡の外に出た時点で、もう昼食の時間間近だった。
今日のタスクを達成する為には、ログアウトしている間も移動しなければならない。
即ち、今回のリッドは移動式なのだ。
リッドの形状を変形させ、移動に向いた形にする。
地面に接する部分は、起伏に富んだ不整地での移動を可能とする無限軌道。
リッドの柔軟性を加える事で搭乗者には振動が来ない便利仕様。
内部構造は、一階の前方に男子部屋、後方に女子部屋、その間に搭乗口と階段がある。
二階は、前方にダイニングキッチン、後方にバルコニーがあり、青空の下まったり寛げる様になっている。
「さぁ皆、乗って」
平然とした顔、呆れた様な笑顔、驚愕の顔。
それぞれの表情を浮かべつつも、乗り込み始めた皆。
移動式にすると魔力の消費スピードが上がる様だが、ここから鉱山街までの距離なら魔力が切れる前に到着出来るだろう。
配下の皆は、移動時に外に居ると無駄な労力を食うことになるので、防衛はバルコニーで、白雪とウルルとネロに任せる。
まぁ、ワイルドドックの森には今の所脅威になる魔物は居ない筈なのでリッド単体でも如何にかなる筈だ。
早速移動を開始する。
「うん、いい感じ」
そもそもの移動速度も遅過ぎず早過ぎずなので、揺れもGも気にならない程度だ。
乗り物酔いの心配は無さそうである。
皆が最初に向かったのはバルコニーだ。
「……本当に動いてるね……」
「……流石ユキ」
タクにアヤ、アラン達は景色の流れを楽しんでいるが、セイト達は動いている事に驚いている様だ。
楽しんでいる所悪いと思うが、鉱山の攻略について詳しく説明しなければならない。
「皆、そのままで良いから聞いてね?」
僕の呼び掛けに、皆が此方を振り返る。
「次は鉱山の攻略なんだけど、ついてから夕食前までは各人自由行動。洞窟に入る時は安全を考慮して僕の配下をつけるけど、洞窟がプレイヤーにとって未知の領域であると言う事は肝に命じて置く様に」
要約すると、配下は貸し出すけど強いからと言って油断しない様にね? と言う事である。
そうは言った物の、その実其処までの心配はして居ない。
何せ、ゲーム開始から今は僅か九日目、戦闘の心得が無い人間が、更に暗がりと言うハンデを背負っていれば苦戦もするだろう。
何より、今は西の森の攻略に多くのプレイヤーが関心を寄せているので、南の鉱山にはプレイヤーが少ないのだ。
攻略が滞っている原因はそれだろうと踏んでいる。
その点、タク達や妹組は勿論のこと、セイト達のパーティーも戦いの心得はあり、尚且つ、カンテラと違って灯り石なら、重量や燃料などの手間が無いので戦闘に集中出来る。
特に質問は無い様なので、皆にログアウトする様に言ってから、僕は女子部屋でログアウトした。
アヤと一緒に昼食を食べ、雑事をこなしてログインする。
移動に時間もかかるし、移動後も自由時間なので、今回は特に集合時間も決めて居ない。
直ぐにログインする理由は魔石を合成したりスキルのレベルを上げる為だ。
瞼を開くと、もそもそと起き上がりリビングに向かう。
どうやら、タクとアランはリビングのソファでログアウトしたらしい、せっかく部屋を作ったのだからそっちでログアウトして欲しい物だ。
バルコニーに待機していたウルルとネロ、白雪をリビングに入れ、一頻り撫で回す。
「よーしよしよし」
「ウォン! ハッハッ」
「クゥーン、ワフ!」
「はうっ!? くぅう」
皆が満足するまで撫で回し、それが終わったら錬金布を取り出して魔石の合成と変換をする。
「おにぇ…………」
「ん? アヤ、遅かったね」
リビングにやってきたアヤに声をかけられた、何故か途中で呼び掛けが止まったので振り返ってみてみると、ウルルとネロ、白雪がグデーンと寝転がっている方をじっと見つめていた。
「アヤ?」
「……」
僕が声を掛けても固まったままのアヤ、放置しても問題無さそうなので錬金の作業に戻ろうとしたその瞬間——
「——おにぇちゃん!」
血走った目で此方へ詰め寄ってきたアヤ。ちょっと怖い。と言うか珍しい。
「どうしたの?」
「ユ、ユキねちゃんにやった事をアヤにもしてくだひゃい!!」
「良いけど?」
「っ!? ほ、本当に?」
「うん」
ガッツポーズをするアヤ。
まだまだ時間に余裕もあるので、アヤの要求に応えて上げる事にした。




