第10話 ただ、手の内にある物の為に
第八位階下位
北部に派遣する人員を決めた。
個にするか群にするかが悩みどころだった。
支配したエリアの監視や調査も行う必要がある事を考えると群にせざるを得ず、しかして外敵が精強な個であった場合を考えると此方も強い個と言うカードを切らざるを得ず。
結局の所、強い個と精鋭たる群の両方を送る必要がある。
と言う事で、黒霧の提案を受諾した。
指揮頭は黒霧。個は若干弱いと言わざるを得ない研究者組、ヤカルナ、ヤルルカ、バーチス、テリー。それからテリー配下の悪魔達。
群は、そう言った事に慣れているヴァルハラの面々からと……後は王国軍の御旗を立てて何かを出すらしい。
理に叶ってはいる。個に関してだけが唯一心配だが、最悪時間稼ぎが出来れば直ぐ駆け付けられるので問題ないし、場慣れした常識人であるヴァルハラの面々がいれば村や町の監視と情報収集は問題ない。
単純な戦力も、悪魔達と何かとやらで十二分だ。
何より、黒霧が付いているので、完全武装レベル800とかが出て来ない限り問題は起きないだろう。
◇
イベントに行っていた皆が帰還し、ある事が判明した。
いや……アレを見た瞬間から、ソレは予想の範疇だった。
そう、イベントショップだ。
ソレは最低額30億からの超高額商品だった。
——英雄の魂。
即ち、英雄達のオリジナル。
これを確保しない理由はない。
現状のリポップ速度だと、1時間毎に虹チケットが100〜150枚程度。
その他のチケットも合わせると、2時間毎に万色のチケットが25枚程入手出来る。
一度の収入は、雑魚敵からのドロップが如何にばらけるかが鍵だが、最低でも18億、最大で23億に行くかどうか。
単純計算2時間毎のイベントで500億程度の稼ぎが出る。
問題は24体の徘徊ボスとラスボス、各砦の中ボスや大戦力×25を殲滅出来るだけの軍事力を捻出するのが大変と言う事だ。
配下の子達の戦力を鑑みるに、徘徊ボスとはほぼ互角。
一部に対しては上回るが、一部に対しては下回るのが現状だ。
数字的にはレベル600が最低でも30。出来れば35。余裕を作るのなら40体は欲しい。
即ち、最低でも750。可能ならば1000のレベル600が必要で、そして我が軍には頭数だけ見ればレベル600前後かそれ以上の者は800半ばしかいない。
勿論、マレの様にレベル900クラスの神獣も居れば、新しく入った子達の様にレベル800クラスの子達も居るし、多くの子達はそれらの経験値を得て既に600後半に至っている。
上手いことやりくりすれば、出来ない数ではない。
……しかし……吸血鬼メイド達はお仕事があるし、ゴーレム達も防衛とかお店とかあるし、竜寝殿はまだまだ落ち着く時間が必要だし、念の為にウルルやディルヴァ、シャルロッテみたいな人材は残しておきたい。
更に今後増える領地の防衛やそこへ至るまでの戦力提供も考えると、イベントに捻出出来る頭数は精々600が良い所。
非常にギリギリだ。
その足りない部分を、レベル600越え黒霧軍団全236名の半分程度と、レベル500代や300代の戦力を多量投入して賄う訳で……戦力はカツカツである。
本日2回目のイベントでは、情報収集の為に各色チケットや上位色チケット等に黒霧を派遣させ、万色チケットは10件しか向かわせていない。
最終的な稼ぎは、合計で250億EP程度。
2時間後のイベントでは500億を稼ぐ予定だが、全ての英雄の魂を買うには1500億掛かるので、英雄の魂で色々やるのは今夜になる事だろう。
では、僕が今やるべき事は何か?
戦力の拡充だ。
どんな方法でも良い。少しでも多く戦力を増やす。
それが僕に課せられた使命なのだ。
◇
手っ取り早い戦力の拡張方法とは……そうインベントリに仕舞われているアイテムの利用だ。
という訳で、取り出したるは大海魔、巨大イカの体。
これを切り出し、内部に埋まっていた魔石と、補助器官である竜玉の様な物を摘出した。
イカの魔石と烏賊玉である。
これと上位迷宮から得られた魔石類や素材等を、幾らか海洋部門に投入、戦力の底上げを行なった。
特に烏賊玉に関しては、極めて高い適性を持つレッサー・クラーケンに投入して爆発的な強化を行い、魔石は分解して同じ大型であるフルマルム・グラーナに与えた。
また、それらと同量のエネルギーを塵輪鬼、ギガントクラブ、アルレンフィーヌ・キング、クノペゴス、ヒュドリプス、オルケニウス、サラナギアに投入し、特にオルケニウスとサラナギアには竜寝殿の高位亜竜素材を詰め込んだ。
これで、クリカ軍団は更なる高みに登ったのである。
…………情報が少ない為なんとも言えないが、海に存在するとされる脅威を黙らせるには、これでもまだまだ足りないと言わざるを得ないだろう。
次にやったのは、イェガの正式子機の作成。
先ず、遊技神のアダマンタイト像を完膚なきまでに破壊。
整形してアルフ君の様な騎士型のゴーレム素体を生成した。
人形の宝珠にイェガの因子を練り込んで加工、準イェガコアにして取り付け、おまけに腕部分にリヨンのガラスを利用した鏡による超収束光線を放てる機構を装着して、取り敢えず完成。
後の武装は追々、僕が考えるなりイェガが考えるなりして取り付けて行こう。
一応遊技神の縁は完全に破壊出来たと思うが、アレは相当に高位の神である様なので、僕ではとても推し量れない。
しゃしゃり出て来ない事を祈るばかりである。
ついでに、イベントから持ち帰った金属片や壊れた武器防具等を使ってイェガの騎士や兵士を程々に強化。
あれこれやってる内に、黒霧に任せていた調査の報告が届いた。
天命騎士の詳細情報である。




