第13話 魔性再び
第四位階上位
皆が帰って来たので、リビングに集めて明日の話をする。
アンデットの完全除去、地下墓地の視察、鉱山街の調査、やる事は沢山ある。
「——と、言う訳だけど、皆は参加出来る?」
軽く説明をした後にそう声をかけた。
特に否やの言葉は無い、問題無さそうである。
「では、質問がある人は挙手」
手を挙げたのはタク、考えている事はわかる。
「はい、タクくん」
「地下墓地ってのはつまりダンジョンって事か?」
「宝ならあると思うよ?」
勿論、ダンジョンと言えば敵と宝。タクならレアアイテム探しに意識が向くと思っていた。
案の定タクは、そうか、と言って下がった。まぁ、ただの墓荒らしだけどね。
次の質問者は、珍しくマヤだ。
「はい、マヤさん」
「……ユキは洞窟も攻略する?」
洞窟とは地下墓地の事か鉱山の事か。まぁ何方にせよ攻略はしない。
「今回は視察と調査、攻略は次の機会になるかな」
「……そう……攻略してしまっても良いのだな?」
「……」
ドヤ顔で言った後に皆から反応が無いと知るや、顔を真っ赤にして俯いたマヤ。
……慣れない事するから……。
マガネが酷く驚いた顔をしていたが、冗談を言うマヤと言うのはそんなに珍しい光景だったのだろうか?
勿論撮影済みであるが。
因みに、画像スキルは接続状態でも発動出来る、皆の雄姿は激写済みだ。
「うぅ……」
「……まぁ、鉱山街での調査では攻略が滞っている原因くらいは見つけたいね……質問は以上かな?」
マヤをフォローし、更に質問が無いかと聞いたところ、特にその他の疑問点は無いらしい。
後は明日の諸々の注意点を話し合い、軽く雑談していると、ログアウトする時間が近付いて来た。
「っと、そろそろ時間だね、それじゃあ今日はお開きにしようか」
そう言いつつも、皆の顔を見回す。
顔色も良くなっているし、アフターケアは十分出来た様だ。
「それじゃあ各部屋でログアウトしてね、どうせ後は寝るだけだから話をしていても良いけど、遅くならない様にね?」
特に妹組、仲が良いのは素晴らしいがあまり遅くなっては体調に差し障るからね。
各々が立ち上がり、移動して行く。
アランはまだ起きて料理をするらしくキッチンに向かい、タクはスキルのレベル上げをするつもりなのか中庭でランニングを始めた。
僕はカルキノスとかの強化系スキルで色々と足りない部分を補っているが、今みたいな状況に備えて新しく身体能力を上げるタイプのスキルを取得した方が良いだろう。
目ぼしい物は、耐久力、腕力強化。
武術系スキルもあると無いとではパワーに僅かな差があるらしいので、全て取得すればそこそこ使えるだろうか?
「まったく、ユキさんは」
「う?」
考え事をしながら男子部屋に入ろうとしたら、何故かセイトに捕まってしまった。
「アヤちゃん、ユキさんを女子の方に連れて行ってくれないかな?」
「へ? ……わっかりましたぁ! アヤが責任を持っておねえちゃんを連れて行きます!」
「うん、頼んだよ?」
そのままセイトからアヤに渡され。
「はぁい! それじゃあおねえちゃーん、行くよ」
「何故にこうなる?」
女子部屋に連れていかれてしまった。
良く思い返してみると、セイト達には僕が男であると言う情報を伝えていない。
まぁ、男子部屋女子部屋と分けているが、飽くまでも気分故だ、男子女子合同の大部屋にしても何の問題も無いので、このままで良いだろう。
「ユキねちゃんもこっちねぇ〜」
「う、うん!」
そして女子部屋である。
「さぁおにぇちゃん、耳出して」
「はいどうぞ」
「カプッ」
「うにゅわっ」
髪を耳にかけ差し出したら噛み付かれた。
何が気に入らないのかコリコリと甘噛みしてくるでは無いか。
「ユキさん、その……私もユキさんの耳、触りたいです」
「……さっきユキに辱しめられた、報復したい」
「アフターケアと言う奴だよ、おにぇちゃん!」
流石にアフターケアと言われては僕もやらざるを得ない。
アンデット狩りを提案したのは僕だから、それに対する責任は負わなければならないのだ。
アヤはそこのところ良くわかっているからやり辛い。不穏な気配を放つ者が数人いるが致し方ない。
狼人になって耳と尻尾を生やす。
「ふへへ、さぁおにぇちゃん、覚悟っ!?」
「ふ、ふふ、今度こそ止めてみせるわ!」
「くっ! お、おのれミュウ、またしても邪魔をっ! 離してぇー!!」
ミユウちゃんが奮闘してアヤを止めている一方、僕は女子組に囲まれていた。
どのみち逃げる事は叶わないのだから、ただ耐えるのみ。




