第12話 連絡
第四位階上位
全員に拠点へ戻る様にメールをする、これ以降はしらみ潰しに地下を探って行くしか無いので、今夜はもう直ぐ寝る時間だ。
ティア達にも連絡しておこう。
「ティア、聞こえる?」
『っ!? ユ、ユキ!? ど、何処にいるんだ? その、し、心配したぞ!』
「ごめんね、ちょっとやる事があって……」
何やら慌てた様なティアの声が聞こえた。
何を慌てているのか知らないが、とりあえず今日の事と明日以降の事を説明する。
『そうか……済まないな、それは本来なら騎士団の仕事なのに、代わりにやって貰って』
「良いよ、好きでやってるんだから」
実際、光属性の武器が多い身内のレベリングには雑魚アンデット狩りはかなり有効だ。
配下にはなるべく手を出さない様に言ってあるので、今日一番レベルが上がったのはタクのパーティーだろう。
『それでも、だ。ユキには何かお礼をしないと行けないな……』
「お礼なんて良いよ、仲間の強化や訓練にも使えるしね」
『お礼は私がしたいんだっ』
正直なところを伝えたが、ティアは頑なだった。そこまで言うのなら礼を受け取るのも吝かでは無い。
『そうだな……明日の夜はユキの好きな——』
「ごめん、明日も帰ってこれないかも」
「地下水……なん……だと……?」
残念ながら、明日はアンデットの処理をしないと行けない。
それが終わったら地下墓地の視察、鉱山街の調査、拠点の島の開発、と忙しい。
と言うか、僕の好きな地下水なんとかって言うのは一体何の事だろうか?
『そ、そんな……! 二日もユキに会えないだなんて……!!』
「大丈夫?」
『…………いや、わかった。じゃあ明後日には帰って来られるのか?』
「うん、そうだね。明後日までには色々と終わらせられると思うよ?」
ティアはほっと溜息を吐いた後、良かった、と呟いた。
「ところでティア、パーティーとやらは何時やるのか決まった?」
『ん? ああ、それなら三日後だ』
「それはまた、急だね」
ティアの話では、マレビトが来ると決まってから、王城では色々と蓄えをしていたらしい。
こう言った偉業に対する祝祭は何時でも開ける様にと。
そんな事より兵士を育成した方が良かったんじゃ無いかと思わなくも無いが、まぁ細かい事情は王城に入らなければわかるまい。
パーティーの内容は、王がマレビトに感謝の意を伝え、土地購入の権利や店を開く権利とかを与えるらしい。
要は、王権による後ろ盾を貰えると言う事だ。
更に付け足すなら、島と同じ、支配領域を購入出来る、と言う事でもある。
中々思い切った事をする王様だ。
土地の切り売りとなると……財政難かな?
「そういえば、ドレスの件だけど、明後日からだと間に合わないよね?」
体の寸法を測ったりしないと行けないので、作るとなると一日では無理だろう。
そう思ったのだが、ティアは平然としている。
『大丈夫だ、もう準備はしてあるし、明後日には仕上がる筈だ』
「はい? でも、サイズを測らないと……」
『うむ、サイズならちゃんと伝えたぞ?』
「え?」
『む?』
……つまりティアは、僕の体のサイズを把握していたと言う事だ。まるでアヤの様な事をする。
アヤはなぜか、身長体重は勿論の事、スリーサイズから指の太さまで把握している。
アヤは何かと僕の事を知りたがる様で、この前は好きな宝石を聞かれたのでサファイアかアウイナイトと伝えておいた。
『ユキ、明後日には必ず帰って来るのだぞ!』
「うん、明日も連絡するから、おやすみ」
『おやすみ、ユキ』
ティアとの通信を終え、続いてアンデット組にも連絡を取る。
「ユキだけど、聞こえる?」
『むぉ!? だ、だから急に声をかけるなと! コホン……突然何の用じゃい』
「ごめんごめん、ペースは順調?」
驚くと素に戻るルーレンに適当に謝りつつ進捗を聞くと、今は獲物の殲滅をしつつ15階層で配下のレベリングをしているらしい。
不眠不休で行動出来るから効率が良い、と喜んでいた。
迷宮の方も何れ攻略しなきゃね。その時はタク達と一緒に遠征しようか。
「うん、それじゃあその後も頑張って、少しでも危険だと思ったら引くこと」
『わかっておるわ、ユキも気を付けて行動せいよ?』
「うん、アッセリアにもよろしく伝えといて、おやすみ」
『うむ、ではな』
拠点に着くと皆が帰って来るまで待機だ。
想定よりも随分と時間が掛かったが、考えてみれば皆ウルルにみたいに鼻が効く訳でも、僕みたいに魔力を感知出来る訳でも無いので、こんなところなのだろう。
明日の事についても説明しないといけないが、セイトやアランはわからないが他のメンバーなら特に問題無い筈だ。
マイペースで楽しもう。




