第20話 星が照らす夜
第八位階下位
いい大人達が瞳を潤ませる会も無事終わり、本日は賢者の看板も休業。
事情を知るアルネアやミルちゃんなんかを加えて、ゆっくりと旧交を温めて貰う事とした。
邪魔者は超隠密技術を用いてスルリと退散である。
……後はマリテュールとやらだが……アルネアがマリテュールは水の中とか言ってたかな?
時間はあるし、ゆっくり確実に情報収集をして行こう。
それはそうと、僕の方のタスク処理だ。
保留にしていた件が幾つかあるが、竜寝殿と戦った現状、大した事は出来ない。
差し当たってやるべきは……ティアーネの強化だ。
具体的には、回収したティアーネの死骸にティアーネの魂を入れてみようと言う極簡単な試みである。
ただし、失敗する可能性は無きにしも非ず。
慎重に事を運ぶ必要がある。
早速、ティアーネに話を付け、その魂を呼び寄せた。完成するまで暫く待機して貰う。
先ずは、死骸の完全再生だ。
劣化した腕の表面部分を切除し、因子を培養して体と繋げ直す。
次に、死骸に僕が入り実際に動かして調子を確認した。
長い間眠りについていた為、多くの違和感が付き纏うが、それを一々修正し、特に酷かった腕まわりも直した。
これで完璧である。
後は、生きた年月の差か、多少異なる因子を擦り合わせ、両方に影響を与えながらティアーネの魂を受け入れ、しっかりと繋ぎ止め、完成。
ゆっくりと瞼を持ち上げたティアーネに問う。
「ティアーネ、どうかな?」
問いに対し、ティアーネは暫し体を動かした。
「……うーむ……何というか……体に違和感は無いのだが、感覚に少し……何だろうな……」
「思っていた動きが勝手に修正されてより良くなってるみたいな?」
「そう、それだ!」
「まぁ、それだけ格上の器と言う事だ。慣れて使い熟せる様になるにはまだまだずっと掛かるだろうね」
「うーむ……精進あるのみだな!」
「そうだね。差し当たって、星隆で戦って見るのはどうだい? 今の体なら十分行けると思うけど」
「ならばそうしよう。楽しみだ!」
にっこにこのティアーネを、星隆に送り出した。
その後、エリザベートの方も加工し、エリザベートと相談の上で魂を注入。ティアーネ同様にっこにこで星隆に感覚の調整に向かった。
◇
最難関であるティアーネとエリザベートの加工が終わり、次にやったのは同じく魂の領域の加工。
具体的には桃兎三姉妹の一人、レリミラの肉体作成だ。
もっと言うと、クリスとこのみの様な召喚生成が可能な肉体を作る力を、めーたんの魂に刻み込む作業である。
ちょうど今めーたんは、オムニメイガスの図書室で放課後の自主勉強をしているので、ちょこっと確認を取ってから加工を開始した。
まぁ、簡単な話だ。
めーたんの中にれーたんがいて、接続できる別の肉体、即ち子機を生成出来る様にするだけ。
機構はめーたんの魂内にある力を利用して構築。型を作る事で半自動化を実現した。
肉体生成の材料となる高濃度魔力を貯蓄しておく機構も組み込む事で、表面上は魔力の消耗なく肉体生成が出来る。
早速、めーたんに構築した力を使い、れーたんを生成して見る。
スキルを行使すると、ピカッとひかりが放たれ、れーたんが生成された。
うむ、特に不備も無さそうだ。
「ん……ゆーねーさま」
「やぁ、れーたん。よしよーし」
「はぅ……」
取り敢えず抱き締めて頭を撫でておく。
「調子はどう? 何処か違和感はあるかな?」
「いえっ、ゆーねーさまの作ってくださった体に違和感なんてありません!」
「そう? なら良かった」
事前に色々調べてあるから問題ない事は分かってるけど、一応本人にも聞いておかないとね。
「それじゃあれーたん。明日から皆と一緒に学校だけど、今日はどうする?」
「そうですね……メレリラ達と一緒に勉強をしようかと思います」
「うん。じゃあ送るよ。行ってらっしゃい」
「はい!」
めーたんを座標指定し空間魔法を使って、れーたんを転送した。
……れーたんってめーたんと繋がってるからさ、2人で勉強したら効率2倍なんだよねー。これがまさしく補助人格の利点だ。
◇
夕食を摂り、その他雑務を終え、もう既に大した意味が無くなっている空腹と水分ゲージも回復させた。
早速、溜まっているタスクの処理を進めよう。
優先順位と消耗の擦り合わせを行い、先ず最初に手を付けたのは、武器の創造。
対象は多々あるが、差し当たって選んだのは、深淵で入手した星型の武器。常夜天道、満珠天道、克禍天道、豊芽天道の4つだ。
先ず行なったのは、これら4つを手元で高速回転させる事。
元々これらから手に入る星屑は常時集めていたが、それの殆どはクリカの配下、サラナギアの素材に使われた為、武器利用する分を考慮すると新しく生産するのが良い。
パラパラと集まる星屑を集め、全てを混ぜて練り上げる。
自動的に纏まり構築される筈のそれを阻害し、僕の手を入れる事で、本来生成される筈だった劣化品を本物と同スペックの代物に強化する。
作るのは、闇属性と光属性の星だ。
軽く生成した属性を加え、少しずつ慣らせて混ぜ合わせる。
一粒一粒丁寧に構築し、完成。
名前も四属性の星に合わせ、黒い星が黒陽天道。白い星が白陽天道だ。
これら六属性を延々とぐるぐるやって、劣化星を量産する。
それを用いて、溜まっているタスクの一つ。
——絵画の巨神へ挑む。
巨神は12体いるので、今夜はそれらへの対策となる武器を作ったり考案したりしよう。
……ティアーネとエリザベートもそんな神対策の一部である。




