第12話 竜達を診断
第八位階下位
先ず最初に見たのは、シテンの体だ。
おそらく鉱物系の竜であると予想したシテンは、予想通り鉱物系の竜だった。
鉱物系と言えば通常であれば硬さに固執するか属性魔力に特化する様な物なのに、シテンは鏡面に固執した。
着眼点が普通と異なるのは、おそらくシテンが何かしらの転生個体であるからだと考えられる。
それが人なのか別の何かなのかは解析した限りでは分からないが、鏡に映る世界と言う物に強い思いを抱えていた様である。
格下をほぼ完全再現する能力や、半自動的に物理魔法問わず攻撃を反射する能力、自分の体を通して鏡の異世界を創造する能力を持つ。
続いてシャクナ。
その総合エネルギー量は竜寝殿最強と言うに相応しく、シテンでさえもその全てを写しとる事は叶わない。
秘めたる莫大なエネルギー量は強化クリカやイェガにも匹敵し、それは即ち試練の魔物、結晶大王蟹に伍するか凌ぐ程のエネルギーと言う事である。
おそらくだが、シャクナやルェルァ、イヴの使う結晶化魔法や宝石魔法の類いは、根源を同じくする魔法だ。
その根源が、ベルツェリーアの玄帝玉を作った魔法。
極大な魂の受け皿を作る様な魔法であり、そして……魔導鎧のコアを作る技術もそこから来てる。
また、玄帝玉はその性質上宝珠とほぼ同じ物だと言える。
違うのは、宝珠や純結晶の類いが最初から高密度な魔力結晶であるのに対し、彼女等や魔導鎧のそれは少しずつ成長して強くなって行く点だ。
手間と時間を掛ける代わりに、誰にでも強力な魔力結晶を作る事が出来るし、単純な結晶化なら魔力と演算力が及ぶ限り即時に生成出来る。
現状では、その力の先駆者はシャクナと言う事になる為、彼女には重大な仕事を任せようと思う。
……そう。進化の奇跡を育てるとても大事なお仕事だ。
……一応その属性の構成は覚えているので、僕が専任すれば直ぐに済む話だが、例によって僕自身の消耗は最低限に抑えておきたいのと……瞳神とかにあんまり他の人の成長の機会を奪ってやるなと釘を刺されているので、涙を呑んで我慢する。
次、ニベルの魂について。
これは、僕が調べるまでも無い事で、ニベルと相対した配下達は殆ど皆気付いていたが……ニベルの魂にはもう一つ他の魂が融合していた。
端的に言えば、ミスティだ。
オリジナルミスティがニベルと融合しているのが、今の雲郭竜ニベルなのだ。
そもそも、ミスティは精霊の一種だ。精霊と言うには肉体への依存度が高い為、亜精霊と呼ぶのが相応しいか。
精霊種は魂で動く存在であり、魂の殆どを融合させる魂合程では無くとも、相性が良ければ浅い部分を融合させる事等容易い。
ニベルとオリジナルミスティは共生関係にあり、オリジナルミスティは今のミスティ程強い自我を持っていないと見える為、実質ニベルの補助存在となっている。
融合には紆余曲折あった様だが、簡単に言えば……悪さをしているオリジナルミスティをニベルが撃破。その体を構成していた高強度の魔水をニベルが吸収し、そこに存在する魂の断片が長い時を経て復活、補助魂魄として機能した。と言った所。
分かりやすく言えば、魔物の素材を使って作った武器の魂が元の魔物と似た様な性質になるのと同じ理屈だ。
ミスティ単体でそれと戦うのはさぞ大変だった事だろう。
次は、剣聖竜ヴァルトラの魂について。
名高き剣豪の転生者であると目されるヴァルトラの魂を詳しく解析し、僕が持つデータと照らし合わせた結果……誰にも該当しなかった。
これで、ナーヤ。タダト。他ナーヤの弟子達の転生者では無い事が判明した。
時系列的に七聖賢の者では無いだろうし……もっと情報が必要だ。
不可知の僕に気付く様な輩が並大抵の者では無いのは間違いない。
最上位個体で特に気になるのは以上だ。
次は上位個体。
先ずは、火山の迷宮内で狩りをしていた崩焔竜ラバナと焦炎竜レファナ。
結論から言うと、コレは夫妻であり、旧ベルツ大陸で家出した真紅竜カーレスタの両親であった。
火の属性を極めつつあるのは、今は亡き娘を想うが故だろう。
そんな娘と夫妻は複雑な事情は適当に説明し、既に対面済みである。
どう受け止めるかは彼等次第だが、取り敢えず夫妻はかつて有り、今は無くなってしまった筈の娘を抱き締めた。
……僕としてはどれも本物だが、それはオリジナルと関わっていないからだ。仮にアヤやリナを完璧に模した存在がいたとしたら、正しくそのものとして受け止める事は多分出来ない。
その双子の妹として認識する。
続いて、竜寝殿内で金の因子と銀の因子を持つ者。
陽炎竜ディエスと夜奏竜ルミアだ。
コレらは詳しく見た所……やはり質が低いと言うか何というか……概ねその系統だが純粋な金や銀では無く、色々と混じった金や銀の因子を掻き集めた様な性質をしていた。
敢えて良い方に言い方を変えるなら……神に与えられた加護を完全に己が物として振るえる様になった様な、下げ渡された純粋な力が己が持つ力と過不足なく混じり合っている様な感じか。
悪くないが、金や銀の眷属と言うには薄過ぎる。
その他にも、兎の竜変種や鮫の竜変種、ウツボやシャコやカマキリ、カブトムシ等々、様々な竜変種がいる。
次は、竜寝殿の固有竜種について。
竜寝殿には五大種族と呼ばれる強力な竜種がいる。それは通常のドラゴンを加えた5種の竜種な訳だが、竜には興味ないので、その他の一種を加えた5種類を見る。




