第9話 イベントは楽勝
第八位階下位
2階を調べ終え、3階を調べ終え、4階も何事も無く、到頭最上階に到着した。
ボスがいる扉の前で、残りのメンバーが全員管巻いていた。
「おお、来た来た。遅かった、ですね」
「取りこぼしが無いか端から端まで調べて来ましたから」
礼儀がなってるタクが、リーダーがシロだと気付いて直ぐに言葉を後付けする。
シロは遅れた理由を説明した後、ここでは敬語は不要ですよと微笑みながら言った。
「んじゃ改めて……ボスやりたい奴、手ぇ上げて。指名も可」
シュババッと僕以外の全員から手が上がる。
それぞれの思惑が渦巻いている中、一度視線が僕に集まり、僕はと言うと周りをぐるーりと見回した後、タクを見た。
「……あー……そうだな、多数決で決めようぜ」
せーのどんで指差して、獲得票数が多かった上位8名から更に決をとり、結果ミカが戦う事と相なった。
シロとリナから票を得たのが大きかったな。
そんなこんなで、皆の激励を得て始まったボス戦。
敵は白無地の鎧に白無地の戦斧を持ったボス。おそらく武器はランダムなのだろう。
ミカはそんなボスに真っ直ぐ突っ込んだ。
振り下ろされた斧を避け、勢いそのまま闘気を宿した一撃を見舞う。
凄まじい音が鳴り、鎧は体を凹ませて吹き飛ぶも、浅い。バックステップで勢いを殺されたか。
更に迫るミカに、今度は袈裟懸けに斧が振るわれた。
対するミカは、くるりと回ってそれを避け、遠心力を乗せた中段の回し蹴りで鎧の腕を破壊、攻撃手段を失わせた。
そこからは、防御し壊れた腕で戦う鎧を一方的にボコる数秒間。
斯くしてイベントボスは倒された。
◇
海岸から程々に離れた場所に違法建築した海の見渡せる家のテラスで、皆が取り止めもない話をしている。
大した事なかっただの、見落としがあっただの、こう言うアイテムがあっただのと色々だ。
動画撮影の報酬として渡されたEPが一番高かったのはキリサメで、後はシロとかミカとかアマネリナが高かった様だ。
全体的には、中庭で集団戦を繰り広げたメンバーの報酬が高めで、既にそれをクリアしていた僕もクリア扱いでEPを多めに貰った。
やっぱり、見せ場を作ると良い評価が貰えるのだろう。
そして、サンプルは多い方が良いのだ。
「ユキ、早速作ってみたのですが、如何でしょうか?」
シロが見せて来た風属性のブレスレットを見る。
おそらく鍛治か細工スキルによる物だろう。
術式は表面に模様の様に彫られ、台座の底面には風のルーンが刻まれている。
術式を詰め込み過ぎず、模様に隠して腕輪全体に拡散させている為、局所的な過負荷による物質体の崩壊を回避出来る様になっている。
また、術式自体も大きめに描かれている為回路への負担が少なく、耐久性の高い金属である事も助けて術式崩壊も起き辛い。
風のルーンが刻まれてるのも良い。変換や貯蔵、又は成長に繋がる為点数が高い。
「うん、百点。現状の道具では、無理なく限界まで機能が詰め込まれてる」
「ユキが作ったらどうですか?」
「僕なら物質魂魄に働き掛けてその魂を活性化、自動修復とか耐久系のスキルを刻み込んで腕輪自体の進化を促すかな」
「……魂魄の操作には仙気を開く必要がある、修行が足りませんね」
シロなら直ぐに出来る様になるさ。足りないのは知識と慣れだけだからね。
シロの話しがひと段落した所で、タクが話し掛けて来る。
「終わったか? ……ユキ、次なんだが、チケットが22枚ある。戦力的にはパーティー毎に行くのもありかと思うが……」
タクの言いたい事は分かる。つまり、チケット合成をして1段階上のイベントをやってみたいって事だよね?
「合成して一個上のイベントをやってみるのが良いんじゃない?」
「よしっ、じゃあ頼むわ」
受け渡されたチケット22枚。早速メニューからチケット合成を選択し、2枚の上位チケットを手に入れた。
取り出して見てみる。
出て来たのは、方や青地に金の装飾が入ったチケット。方や白地に金の装飾が入ったチケット。
名前はシンプルに青のチケットと白のチケットだ。
僕はその2枚を皆にぴっと提示してみせる。
「……青と白、どっちに行きたい?」
因みに僕は青。の鶴の一声で青に決まった。
「次の出発時刻は午後2時。それまでは自由時間とする。昼食も好きな物を摂っておく様に」
メニュー表を指してそう指示を出しつつ、席を立つ。
「僕は別件があるから、後で合流するよ」
そろそろ竜達も少しは回復している事だろう。




