第1話 竜寝殿は美味しい
第八位階下位
ミシュカ氏救出後、もはや竜っ仔一竜いない竜寝殿の地上で、あれこれと作業を進めた。
先ずやったのは、ミシュカの調整だ。
永きに渡り同じ結晶に閉じ込められた結果、ミシュカ氏はヨルムンガンド君と似た生物になっていた。
一言で言えば竜人の様な物であり、毒と光の適性を持ち、緑の因子に適合している。
図らずも耐性と言う形で適性を得、進化に十分なエネルギーを保有し、そのルートは適性で舗装されている。
今はまだ人の身だが、進化は秒読みだ。
と言う訳で、僕が勝手に進化先を定める事にした。
緑の因子に適合している以上、下手な進化をされると……最悪の場合理性なきヨルムンガンドの様な怪物にもなり得るからだ。
また、折角なので、ヨルムンガンド君撃破の報酬で貰った緑の残滓と言うスキルも与えた。
この緑の残滓と言うスキルは……僕が取ろうと考えると、それだけでちょっと気持ち悪くなる様な絶大な拒否反応が起きる。
直感的に理解する。拒否反応の原因は、これが魔眼関連の力だからだと。
おそらくだが、色魔眼の力は神権の比では無い程に魂に影響を与えて来るのだろう。
形代神に曰く、魔眼を持つからと言ってそれを完璧に扱える訳では無い。
僕には緑の魔眼は扱い切れないし、それを受け止められるだけの下地もないのだ。
ミシュカ氏にはそれがあり、僕には緑の因子が込められたスキル結晶があった。
ならやる事は決まっている訳で、ミシュカ氏も進化しそうだし、進化時に上手い事馴染んでくれたら嬉しいなと思いつつ魂をこねこねして、完成。
機装天竜姫 LV737MAX
カッと光を放って生まれ変わったミシュカ氏は、因子の影響を受けて髪の色が若葉色になり、頭部から竜角が生えた。
そして機構人類化している。
……後は目覚めるまで放置である。
尚、ミシュカをテイムした結果、クエスト『賢者への道:空の大賢者』をクリアした。
報酬は、スキルポイント35P。ロジックポイント70P。『空賢者のメダリオン×2』『五大賢者の証杖・空』及び『証印・空』。『天空の魔宝典』スキル結晶『飛行』『皆伝級竜龍学』。
ミシュカの次は、各種迷宮の管理。
分かった事、と言うより分かっていた事だが、中央の迷宮以外の各種迷宮は、コアが存在しない見てくれだけの迷宮だった。
正確には、中央の迷宮を中心に、枝葉が伸びる様にして繋がる分岐迷宮だった。物理的にごく僅かな繋がりこそあるが、分岐迷宮から本迷宮に入るには穴を掘るしか無い。
黒霧による侵食は瞬く間に進み、敵対因子の殲滅も終了。竜寝殿の完全侵略が終わった。
侵略後に詳しく調査した結果、全ての迷宮浅層にイヴ・イコルを発見した。
塊であるのでは無く、大気中に拡散する様に存在していた。
理由は、迷宮を効率的に支配する為だろう。
また、イヴ・イコルを詳しく調べた結果、分かった事がもう一つ。
このイヴ・イコルは、イヴと言うにはあまりにイヴ成分が少なく、イコルと言うにはあまりに性能が低かった。
つまり、イヴは少ない固有因子を効率的に運用する為に、敢えてグレードダウンしたイコルを生成したのだ。
その結果……イヴはほぼ完全に失われ、叡智の結晶であるイコルすらも失われてしまったと言って良い。
残っているのはその劣化品達だけである。
全てを掻き集めてみたが、得られた情報は精々3つ。
永遠に鳴り続ける救難信号。
竜の援護を行う施設の最低限の運用。
一定の条件を満たすまで結晶を維持し続ける命令。
知性などもはや無いそれらに、終わりを与えてあげた。
神霊金属にすら至れていない軟属性金属は、鋳潰して再利用する。
尚、イヴ・イコルの本体は回収済みである。
……いや、正確にはもうイヴ・イコルではなく、ミシュカ・イコルと言うべき代物だが。
ミシュカの内部やその周りの結晶内に山程いたので、取り敢えずミシュカの中に押し込んでおいた。
此方のイコルは、どうやらイヴから離れて久しい様で、ミシュカの情報こそ色々持っていたが、後はエヴァの中にあるイヴ・イコルが持っている情報の劣化版くらいしか無かった。
非常に残念だが、ここにイヴはいない様であった。
迷宮支配の完了後は、いよいよヨルムンガンド君の解放だ。
迷宮や地上を操作しつつ、ヨルムンガンド君を封じている結晶を分解。
複雑に絡み付くヨルムンガンド君を海上に転送し、崩落する迷宮や竜寝殿内部を整備した。
地上も迷宮もあちこちがボロボロになったが、黒霧と僕の演算力を駆使すればこの程度どうと言う程の事もない。
玉座に直結する竜寝殿のコアも無事だし、壊れた部分やいらない部分はお好きな様に再構築。
用途が決まるまでは、海上に固定しておく事とした。
専ら竜達の棲家となるだろうが、その時はその時に再整備すれば良い。
続けて、ヨルムンガンド君の処遇も決めた。
先ずは強大過ぎる力を使役する意味も込め、名を与えた。
名付けは縁を結び、形を与える、知恵ある者達の最初の魔法だ。
混沌を紡ぎ、可能性を収束し、行く末を制御する。
ヨルムンガンド君の名前は、マレ。
精々コキ使ってやるとしよう。
現時点で既に巨大だが、その実今の体はこれでも縮めている姿だと言う。
更に縮めと命令し、生産拠点スノーの海に放った。
その後、玄帝玉を回収し、ベルツェリーアの威光でニベル達を配下に付けた。
シテンはフラトニルスの配下だからと渋ったが、ニコリと微笑みそれじゃあ仕方ないねと言おうとしたら、何故か快く従ってくれた。
クリアしたクエストは、『竜の揺り籠』。
報酬は、スキルポイント10P。ロジックポイント20P。『竜の胎動』『竜の宝珠』『天空の調べ』。
追加で、スキルポイント82P。ロジックポイント140P。『御鏡の世』『虹晶冠』『大地の石』『遊雲城』『緋豪爪』『蒼玲牙』『炎妖の槍』『息吹の石牢』『唄う風』『刃盾』『深海珠』。
入手アイテムを詳しく見て行こうか。




