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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十四節 ルベリオン王国の攻略

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第25話 真実は何処

第八位階下位

 



 ふむふむふむり。


 ざっと調べた所、この龍は主に肉体を通じて何者かの侵食を受けている事が分かった。


 響咆竜・ケスト・スピケス・アルバリアは、元はエンシェント級の龍でニベル達の心強い仲間であった。

 しかし、ある時湖の迷宮内で起きた敵の大規模襲撃から同胞や若い竜達を守る為に殿で戦い、行方知れずになっていたそうな。


 この龍はシャクナやシテンから得た響咆竜の容姿の情報と多数異なる点が見られる。


 その理由は、肉が付けられているからだ。


 正確には、強大な力を持つ何者かの血肉が武器や防具の様に響咆竜を包み、完全に融合している。

 そして、武器や防具の魂魄が装備者の魂魄に接続されるのと同じ様に、その血肉が響咆竜の魂を侵食していた。


 その結果、響咆竜は囚牛と言う龍に強制進化させられ、その肉体と魂の大半を支配されてしまっている様だ。


 この侵食する血肉を剥がすには、不要な部分を切り取り再構築する、退化しか方法がない。

 ……しかし血肉を剥がさないでどうにかする方法ならある。


 そこで僕は、響咆竜を支配する血肉を支配する事にした。





「む、成る程、いやしかし、成る程」

「それならば確かに。ですが本体は、へ?」

「そう、か。活性化と不活性化、排除じゃなくてこれは……」

「……調教」

「それだ! ……いやでも合流されると結局、はぁっ!? なんだそりゃ?」

「奇跡的な条件の合致? いや、その為の調整かな?」

「ですが誤認には見えません。既にある因子から完成形を予想して設計したとしか……」

「……つまり神」

「「「成る程」」」



 外野が煩い。



 予想通り、敵の大元は白蛇君で間違いない。


 肉体に大きく作用する魔眼。神成りの魔眼を開眼する白蛇君だからこそ、肉体を利用した魂の侵食と言う手段をとった。

 分離した肉体は幾ら強かろうが本体程では無い。


 侵食を受けて失われてかけていた響咆竜の意思を呼び覚まし、それを補助して逆侵食をかけると同時に敵の血肉にも働き掛け、魂魄への直接攻撃で弱体化。そして白蛇君に侵食をさせて敵の血肉を白蛇君の血肉へと変化させた。


 つまり、強い力を保ちつつ響咆竜を取り戻し、おまけに白蛇君の眷属にしたと言う事である。


 また、接続された魂魄を通じて付与、注入されていた神性も特定した。

 此方はかなり複雑だった為解析に手間取ったが、情報の確度は高い。



 敵が持つ神性は——竜生九子不成竜。



 竜生九子ではなく竜生九子不成竜だ。正確には竜生九子と不成竜を混ぜた神性である。


 大雑把に纏めれば、酒呑童子の様に複数の強者が生まれ、それと同時に竜性が失われる神性だ。


 即ち、竜を殺し、支配する為の竜特効の亜竜化神性。


 竜性を内包するから亜竜が竜に進化しても支配下のままだし、竜種へ一方的に有利な神性だ。

 これを見つけ、運用したであろうオリジナル白蛇君は、紛う事なき天才だ。


 そして、情報源は間違いなくイヴ。神血(イコル)を侵食されて情報を奪われたのだろう。


 そう考えるのが自然だが…………あまりに出来過ぎている様にも思う。

 僕の考え過ぎかもしれないが……今考えて分かる事ではないので、情報が揃ってから推理しよう。



 眷属を得て余剰エネルギーを獲得したり、強者との魂の繋がりを得て、白蛇君が少し強化された。

 代わりにザイエが結構消耗したが、これくらいなら大した事はない。



「……次行くよ?」



 ぼーっとしてないで行くんだよ?





 多数枝分かれする通路を霧の濃度を読みながら進み、他の迷宮と最も繋がりが強いと見られる森と湖の侵食を受けた巨大エリアを通過した。


 道中出た敵は、地上にもいた竜の頭をした鰲魚(ごうぎょ)なる魚や化車螯(ばけしゃごう)なる二枚貝。それと四足の犬の様なトカゲや鳥の様なトカゲ等々。

 不成竜の影響か竜種と言える者はおらず、トカゲの見本市だった。


 中にはちゃんと亜竜化していた者もいた。



滅法貝 LV306MAX


鯱 LV318MAX


波山 LV118



 竜殻を持ち結界を生じさせる貝。


 竜鱗持つ虎頭の魚。


 同じく竜鱗持つ巨鶏。



 他多数の雑魚を掃除し、各エリアを突破した所で、ちょっとした小さな気配を感知した。


 通路を少し進むと、見えて来たのは壊れた扉。

 紫の結晶が壁を突き破り、頑丈そうな扉はひしゃげている。


 取り敢えず引っ剥がす。



「……おぉ、豪快」

「ユキも俺の事言えねぇじゃねぇか」



 その先にあった物は——



 ——赤子の保管庫。



「ふむ」

「っ……」

「これは……」



 ざっと1000人分程だろうか?


 卵型の揺り籠は、コールドスリープを維持、保管する為の機械だ。



 ——およそ半分程だろう。



 長大な敵に押し潰されて死んだ赤子は。


 幾らかは敵の封印時に生じた結晶化に呑まれている。

 肉体に大した損壊は見えないが、魂は完全に失われているだろう。


 無事なのは、結晶に程近い場所にある卵ケースに入っている赤子。

 ケースの中で結晶化され、安置されている。


 それ以外の遠くの赤子は……白骨化しているが魂は頑丈なケースに封じられて無事だ。

 正常に解凍されなかったのが死因だろう。痛み無く死ねたのが唯一の救いだ。


 エイジュが痛まし気に眉を歪め、白骨が収まったケースを撫でる。



「……ユキ、この子等は後で必ず弔いましょう」

「それは蘇生の余地ありだから弔わなくて良いよ」

「……ソウナンデスネ」



 差し当たって結晶化赤子はそのままインベントリに、白骨化赤子は……死魂結晶を改良した霊魂結晶に魂を封じ、骨と共にインベントリに入れた。


 他の失われた子等は……致し方ない。


 生と死は表裏一体。


 僕も強くなる為に多くの命を奪ったし、その魂を搾ってエネルギー抽出したし、搾りかすを仲間に再構築した。

 必要とあらば生み出したり、研究と称して弄り回したりは常だ。


 今更どうしてやる事も出来ないし、そもそも同じ人だからと特別扱いしてやる理由もない。


 ただ冥福を祈り、来世があればその幸せを祈るのみだ。


 遺体が手に入ったら……異界の地とは言え土に返すべきか、焼いて灰は海に流すか……いや、魔力分解して生き残った子等に与えよう。

 生き残った子等の血肉として、失われた子等の分以上に長く生きて貰うのが良いだろう。



 片付けを終え、出入口の直ぐ手前にあるそこへ向かう僕。


 賢者達が素通りする中、僕はそこで歩みを止める。最後尾のエルミェージュも僕に合わせ、訝しげに止まった。



「さて……」



 小さな呟きに、賢者達も振り返る。


 どうかしたかと問いたげな視線を一切無視して、僕はそれ……空いているのに骨も結晶も入っていなかったケースを見た。


 ケースには番号と名前が書かれている。



 No.82001 美澄(みすみ)珠夏(しゅうか)



 どれも僕の持つ情報には符合しない。


 ただし……これがもしアレ(・・)なのだとすると……今の状況にも合致する。



「何にも入ってないが」

「……そうか、何も入っていないのか!」

「これはマレビト文字ですね? 解読します」

「…………みすみしゅうか?」

「「「?」」」



 だから何と言いたげな視線を無視する。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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