第17話 安全第一
第七位階上位
「ケロケロケロ」
「GeroGeroGero」
「……何やってるんですか」
「ケロッ!?」
強敵が減り戦線が上がって、竜の群れを狩りつつ強敵目指して直進していたら……レイエルちゃんが巨大蛙と合唱していた。
私は隙を突いて両方トるべきだったのか、それともスルーすれば良かったのか
「む、無益な争いをしたくないって言ってるケロ」
ほむ……この魔力保持量で無益な争いをしない、と? ……信用出来ませんね。
第一、此方は侵略して来ているのにそれに抗戦しないのでは……ただのうつけ者なのでは?
「……取り敢えず殺っておきますか?」
「Gero!?」
「ま、待ってほしいケロ!」
話を聞くに、この蛙君、もとい蛙さんには兄がいて、兄を残して死ねないとかなんとか。
「ふむ……その兄を私が殺すかもしれませんよ?」
ピリッと張り詰めた戦意。しかし、それも直ぐに収まった。
「……GeroGero」
「それもそうケロ」
「GeroGero」
「分かるケロ」
「私が分からないのですが……」
ちょっと、私にも念話繋いでくださいよ。他種族の会話念波は分からないんですから。
「つまり、化け物みたいに強い宗主様達が呆気なくやられたからもうどうしようもないと思ったらしいケロ」
「……成る程。それは確かに」
宗主と言うのはあの赤竜や雲竜の事でしょう。
ユキさんと敵対する事になったら先ず土下座して許しを乞いますからね。納得しました。
まぁ、実際の所既に戦線では戦意喪失した竜達の保護を行なっている様ですし、高い戦闘力を持つから警戒しましたがそれが彼女だけを見逃さない理由にもなりませんしね。
改めて、巨大な蛙と向き合う。
角が生えてて尾もあって、羽は無いですがほぼ完全に竜ですね。
「事情は分かりました。黒霧さんが直ぐに迎えに来ると思うので、此処でじっとしててくださいね?」
「Gero」
最悪すれ違い様にぶち殺される、もとい轢かれるかもしれませんが……その時はその時です。
それよりも次の獲物を探しましょう。
巨大蛙さんをおいて、レイエルちゃんと湖畔を駆ける。
ちょうど良い獲物はいますかね?
「……さぁて……あっちはちょっと……あれ、どうなってるんですか?」
「……ペルセポネが行ったケロ」
あー、噂の怪物ペルちゃんですね? いつもぼーっとしていた様な記憶しかありませんが……なんか凄い事してますねー……。
真っ黒な塊を見上げ、何処か他人ごとの様に思考する。
「あれ……神気使ってますよね? 黒霧さーん?」
『神権は独自の物しか使っていない様です。よって特にお伝えする事はございません』
成る程。ウルラナさんとかハイネシアさんとかと同じって事ですね。
「放っておいても大丈夫そうな事は分かりました」
「そうケロね」
はてさて、となると一番近い敵は……荒野を越えた砂漠の方ですね。
おや? 荒野の所にも何か出て来ましたね……これは——
「へへん! 早い者勝ちなのですぅ〜!!」
「あら、ミュリアにレイエルじゃない。一緒に——」
「馬鹿言ってないで行くのです!!」
彗星の如く駆け抜ける桃花ちゃんとルムちゃん。これは先に取られてしまいました。えへへ、今日も可憐ですねぇ。
ルムちゃんは尻尾と羽の付け根が弱いんですよ。直ぐにヘロヘロになっちゃって!
でも私も耳と尻尾が弱いから反撃されちゃって……攻め不在はそれはそれで良いんですけどねー。
その点お姉様は容赦のない言葉責めの上殴ってくださるから……素敵です!
お姉様となら熱い一夜を過ごせるに違いありません。本当にお姉様は強情ですねぇ、実に落としがいがありますよっ。
「んふふ♪」
「っ…………」
「さぁ、レイエルちゃん、手前の方はルムちゃん達に任せて、私達はその先の大物を仕留めに行きましょうか」
ルムちゃん達の後を追う様に駆け抜けると、そう時間をかける事なくルムちゃん達に追いついた。
「ふぎぎぎ、こいつ馬鹿なのですっ、ふはははっ痛たたたっ」
「ルム! 動かないで、斬っちゃうわ!」
「なんとかするのですぅ〜!!」
何やら扁平な形をした犬の様な獣がルムちゃんの足に噛み付いています。
うーむ、どうやら痛撃系の力と毒が入ってますね、ルムちゃんは毒耐性が高いので毒は大丈夫そうですが、痛撃による痛みの強制は慣れが必要ですからね。
それにしても……涙目のルムちゃん、良いっ。
必死に殴ってるのも良いで——はっ!? 私も噛み付けば良いのかっ!
「もおぉぉっ!! いい加減にするのですぅぅっーー!!」
そんな叫びと共に、ルムちゃんの両手に光と闇の魔力が宿り、刃となって振るわれた。
一説に、いえ、ユキ説によると、光と闇の属性を同量配合するとお互いの属性が反発する様に共鳴して強化され、魔力量自体は増減しないものの質がグンと上がる様だとか。
扁平な獣は挟み込む様に迫る刃を避ける事も出来ず……真っ二つ。
……流石の私も真っ二つになるのはちょっと嫌です。
「なっ、なんでこいつまだ噛み付いてるのですっ!?」
驚愕に顔を歪めるルムちゃん。かわいいですねぇ。
真っ二つになったぐらいでは死なないでしょうが、それにしても怯まず噛み付いたままと言うのは凄まじい執念です。
まぁ、執念だけで勝てる程ルムちゃんは甘くありませんからね、放っておいても大丈夫でしょう。




