第6話 塔の再攻略
第四位階上位
「えい」
「グギャ」
「ほい」
「ギャガッ」
「そーい」
「ギャボッ」
塔の内部に入ると、早速とばかりに襲い掛かって来たゴブリンの様な魔物を叩き潰した。
数が多く、再生力が高いらしく、非常に面倒な相手だが、一体一体を確実に潰していけばなんと言う事もない。
白雪の方も氷の槍で次々と魔物の頭部や頸部を串刺しにしている。
フェイリュア・ヴァンパイア LV35 状態:隷属
赤黒い肌のゴブリンと言った風情の魔物は、フェイリュア・ヴァンパイアというらしい。
レベル差故か見える状態欄、そこには、隷属、つまりこれらの主人がいると言う事を表している。
明らかに異常事態である。
一応ウルルを呼んでおこう。
「『命令ウルル』塔に来て!」
塔の一階にうじゃうじゃと居たフェイリュア・ヴァンパイアは、レベル差があるので僕と白雪に次々と駆逐されて行く。
フェイリュア・ヴァンパイアの殆どが僕の方に向かってくるので殲滅は楽であった。
何せ槌を適当に振っても当たるのだから。
更に付け足すと、連中は戦場だと言うのに食事を優先するらしい。
死んだ同胞の血を啜るその様は、まるで飢餓に侵される餓鬼の様だ。
白雪は顔を顰めながらも、戦場で動きを止めたそれらへ、氷の槍を放ち撃ち殺す。
◇
程なくして、一階のフェイリュア・ヴァンパイア、つまり出来損ないのヴァンパイア達は殲滅された。
最後の一匹になっても襲い掛かって来た連中は、成る程確かに隷属、誰かに支配されていたのだろう。
間違いなくこの塔には何かが住み着いている。
あの戦い以来たった2日で、と言う事は偶然とも思えない、あの悪魔の身内だろうか?
だとしたら、魔石や魔水晶が無い今、上へ攻め込むには少し不安が残る。
だが、進まないと言う訳にもいかない、墓地に結界を張らなければアンデット達の殲滅は出来ないのだ。
全ての死体を回収し、上へ進もうと階段に足を掛けた所でウルルが塔の中へ飛び込んで来た。
思っていたよりずっと早い到着で驚いた……近くにいたのかな?
ウルルは塔の内部をパッと見渡した後、僕を見つけると駆け寄って来た。
「ああ、ウルル、早かったぁ!?」
変な声が出ているが、それも仕方ないだろう。
なんとウルル、駆け寄る勢いをそのままに僕を押し倒したのだ。
僕を前に後ろにコロコロ転がし下から上まで見回した後、ようやく落ち着いたらしく僕の上にのし掛かったまま僕の顔を舐め始めた。
一体何がしたかったと言うのか。
取り敢えず、ウルルが満足するまで撫でておく。
◇
一頻り撫でられて、僕の顔を舐め回し、ようやく満足したらしいウルルは、すくっと立ち上がり階段を登り始めた。
先頭を行くと言う事だろう。
階段を登り終えた先にも同じ様にフェイリュア・ヴァンパイアが屯していた。
敵のレベルが少し上がっていたが、ウルルが加わった為殲滅は容易かった。
下と変わらず、連中の狙いは僕に集中している。
ウルルにも少し向かって行ったが、白雪には向かって行かない。
理由は恐らく、白雪には血が無いからだと思われる。
僕に攻撃が集中するのは皮膚が露出しているからだろう。
カルキノスを温存する必要がある今、使えるのは狼人化だけ。
魔力の消費量は、回復量が多いおかげで大分少なく済んでいる。
耳を澄ませて良く聞けば、その息遣いからはっきりと分かる。
フェイリュア・ヴァンパイアは塔の四階までぎっしりと詰まっているらしい。
五階には殆ど音はしないが、垂れ込める様な重い気配から強い魔物が潜んでいる事が分かる。
面倒な事になる前に狩った方が良いだろう。
◇
「これで最後っと」
「ゴギャ!?」
三階を抜け、四階を殲滅した所で敵の気配が動き出した。
何か作業でもしていたのだろうか?
敵は此方に気付いている様だが、降りてくる様子は無い、僕達が登って来るのを待っているのだろう。
死体を全て回収すると、先に行こうとするウルルに声を掛ける。
「ウルル、白雪、僕の後ろに行ってね?」
「……ウォン」
「……わかった」
二人共、渋々と僕の後ろに下がってくれた。
万が一を考えると、切り札のある僕が前に出て戦う方が良い。
特に気配を主張するでも無く、敵は五階の中央付近で佇んでいる。
僕は武器を構え、いつでもカルキノスとノーライフを発動出来る様にし、階段を登る。
階段を登りきった先で、待ち構えていた者は——




