第5話 アンデット殲滅作戦 始動
第四位階上位
全員がログインし、昼食をとり終えるまでの間に、ある程度の作戦の様な物を立案した。
アンデットは生者に向かってくる。
その性質を使ってアンデットを狩る。まぁ、やる事は普通の狩りと変わらないのだが。
正確には、チームを四つに分け、街中を練り歩く事でアンデットを誘き出し、狩る。
先ずは妹組、妹組にはうさーずを付けて探索させる。
次にセイト達とアラン、スライムのリッドとイェガ、ネロ、を付ける。
続いてタク達、巨大蟹のクリカとメロット、レイエルを付ける。
最後に、僕、白雪、キングスノーマン、四熊、のチーム。
ウルル、スノーウルフロード、鷲君、ミルちゃんの四体は、高い機動力を活かして遊撃部隊として街中を駆け回る。
最初に僕が塔に行って墓地の結界を張り直す、あの偽物では無く元々の浄化結界である。
その後、街中のアンデットを殲滅する。
おそらく、日が沈んでからが本番になるだろう。
一日掛けた殲滅作戦である。
「——作戦は以上、何か質問がある人は?」
「はい!」
「はい、アヤさん」
「夕食のログアウトはどうなりますか?」
「夕食前に再度此処に集合、号令は僕が掛けます」
「その時おにぇちゃんはケモミミのままですか?」
「ままです」
「しゃっ!」
小さくガッツポーズするアヤ、何が嬉しいのやら……あぁ、僕が可愛いからか。それは仕方ないね。
「他に質問がある人は?」
「はい」
「はい、アラン君」
「いや何のノリだよ……夜を徹して狩りをするって事は、体は此処で野宿するって事だよな、大丈夫なのか?」
「それについては問題ありません、あちらにいるリッドの中に入って夜を越します」
「は? ……あぁ、了解……」
リッドには、遺跡の石材とかを取り込んで貰い、夜には家に擬態して貰うつもりだ。
接続を使えば、複雑な形もある程度再現出来る筈なので、一部を兎などの毛皮に擬態して貰えば布団も作れるだろう。
ざっと構想としては、人数割合の都合上女子の広い部屋。男子の狭い部屋。リビング兼ミーティングルームの広い部屋。の、三部屋を作る予定である。
壁や床、天井は厚くして、光を取り込める様に窓も幾らか付ける。
……水属性魔法や火属性魔法のスキル結晶を入手できればお風呂とかも作れるかもしれない。
場合によっては移動要塞なんかも出来るかな?
「他に質問がある人はいませんか?」
……どうやらいないらしい。それならば早速始めようか。
「それじゃあ皆——楽しんで行こう!」
それぞれがそれぞれの笑顔を浮かべ、元気な声が響き渡った。
◇
遺跡内部に突入すると、そこは前と同じで強い瘴気に包まれ、アンデットは其処彼処に犇いていた。
いくら瘴気を多く発生させる高位の連中を倒したとしても、あれだけの数を放置すればこうもなるだろう。
何なら上位種に進化している個体がいる可能性もある。まぁ、その為に皆に配下を付けた訳だが。
どのみちやる事は変わらない、アンデットがいなくなるまで狩り続けるだけだ。
各チームが、散らばる前に襲いくるアンデットの大群と戦う中、僕は元を断つ為にアンデットを氷漬けにして進む。
白雪の真似である。
腐敗臭も薄くなるし、変な液体も飛び散らないので氷魔法を使うのはやはり正解だった。
「僕は塔の上まで急ぐから、皆も死なない様に頑張ってね」
アンデット達の呻き声に混じって、それぞれの返事が聞こえた。
女子メンバーの一部は腐乱死体や人骨を前にして既に顔色が悪い。男子メンバーも一人顔色が悪いが特に問題無し。
腐竜王みたいなのが襲って来ても、配下達が身を挺して戦えば、時間稼ぎくらいは出来る筈だ。
◇
僕と白雪で敵を氷漬けにし、熊さん達がそれを破壊する。
良い感じの作業である。
各熊さんの特徴を見ると、
デストロイベアーは黒っぽい毛に赤のメッシュが入った巨大熊、性格は……クール?
鬼熊は茶色っぽい毛で爪が鋭い巨大熊、性格は好戦的。
アーマーベアーは毛が変化したと思われる甲殻が体の各所に付いている大熊、性格は……慎重?
ヒュージベアーは巨大化した熊だ、性格は……指導者かな?
回復担当がいれば良い感じのパーティーである。
ふと思ったのだが、人間、つまり僕等は、単純にレベルを上げただけでは能力がそこまで上がらない様だ。
僕の魔力を使わない素の状態の攻撃は、岩をも砕くと表現するに相応しいが、それくらいならレベル40代の熊さん達にも出来る。
其処にあるのは種族差の壁だ。
それを補うのが魔力、スキル、武器や防具、様々な便利道具、知恵。そして何より、その繁殖力。
人間は知恵と繁殖力を取る代わりに、その他の能力を犠牲にした種族と言える。
そう考えると、爺様とザイエ、ティアはその域をかなり逸脱している様に思う。
爺様とザイエは分からないでも無いが、ティアはおかしい。
もしかしたら人間も、魔物同様に進化出来る、のではなかろうか?
……まぁ、それもいずれわかってくる事だろう。取り敢えず今日はアンデットの殲滅である。
◇
考え事をしている内に、塔の真下に辿り着いた。
熊さん達が階段を登るのは危険なので、此処に置いておく。
塔内部には、入り込んだアンデットしかいないと思うが、万が一あの時の悪魔の様な輩が居ないとも限らない。
気を引き締めて行こう。




