第27話 トテモカンタンナノ?
第八位階下位
その後、手っ取り早い勢力の増加の為のゴーレム生成と運用理論。
それらの応用であるモンスターカードの宣伝を行った。
練気法を利用した自己治癒術の理論。同技術を用いた身体強化や属性付与の理論等も程々に、微に入り細を穿って説明し、実際にやらせて覚えさせた所で、皆にはバタンキューして貰った。
そんなこんなで、本日の交流場所は、豪華客船の上。
《自称》高貴な白夜とか見栄を張りたい子達が主に立食パーティーの方に行き、そこから一枚壁を隔てた先のプールと甲板でのバーベキュー風会場では気楽に夜月潮風を楽しんで貰った。
クリカと配下による水と光のショー《操魔訓練》も盛況で、ヴァルハラナイツ達は素直に、悪魔や淫魔達は驚愕をもって、万雷の拍手で終幕と相成った。
翌、4日目の朝。
午前の反復練習を終え、皆が確実な成長を実感し、昼のお休みを終えた午後。
次の段階へ進む為の授業を開始した。
◇
「オドコントロールに慣れて来た皆は、そろそろ魔力量少ないなぁーって思ってるでしょ?」
「……それな」
マヤの熱烈な賛同を得られた所で、本日の授業内容である。
「と言う訳で、今回はオド操作よりも一歩進んだ技術。マナ感知とマナ操作を教えるよ。これを習得したら、大気中や物質中から魔力を吸収出来る様になるから、継戦能力が大幅に向上するぞ」
そんな宣言に、戦士達を押し除けわらわらと集まって来る魔法使い達。
「……詳しく」
「くわくわ」
「しくしく」
「教えてくれるかな。かな」
疑問形じゃないあたり本気が窺える。そして何より近い。
「はいはい、おにぇちゃんから離れようね〜」
「ユキちゃんがこれからちゃんと説明してくれますからね」
桜庭姉妹に関してはノリだろうが、ユウミは体術が護身仕様なので、魔力が切れると何も出来ないのを気にしていた様である。
そもそもの相手のレベルが、適当にぷすぷすやってれば勝てる様な物では無いので、無力感はより大きいだろう。
離れた皆の注目を集め、指を3本立てる。
「3ステップで解説するよ。先ず、オドを体外に放出して操作する。次に、体外のオドからマナの存在を感知する。最後に、マナを操作する」
トテモカンタンダヨ。
ちょっと放出した魔力が直ぐに拡散してしまっててこずったり、拡散しなくても上手く操れなかったりするかもしれないが……皆の練度なら直ぐに出来る様になるだろう。
早速とばかりに、マヤが全身からオドを放出した。
フツーのヒトは手や指からとかの便利なツールを通してじゃないと出来ないので、何気に難易度は高い。
全身から吹き上がる高濃度魔力は闇と火の属性を持つ赤黒いオーラとなってマヤを包み、その様さながら炎の如し。
しかし実際は栓の抜かれた湯船、閉め忘れた蛇口、穴の開いた風船。
直ぐに力尽きたマヤは、吹き出るオーラに感動していた面持ちから一転、スンと表情を落とした。
「この様に、一気に放出したり濃度が低かったりするとまともに操作できないから、先ずは少量の高濃度魔力を固めて掌から出すくらいから始めてみてね」
黒霧操作で魔力を充填されている間も人形の様に停止しているマヤに向かい合う。
「因みに今後レベルの上昇に伴って魔力量は増大して行くんだけど、その膨大な魔力を瞬間的に行使出来る才能と言うのは、更なる先へ進む為に必須の力だったりする」
「……ユキより強くなってしまった」
「それは自惚れ過ぎだぞこいつめ」
頬をむにむにした。
周囲で色取り取りのオーラが爆発した。
◇
ハプニングもあったが、多くの者は体外でのオド操作を早々と習得した。
それにより武器のリーチを稼げる事に気付いた者達が、早速伸長させた攻勢魔力で的を突いたり斬撃を飛ばしてみたりする頃には、遅れている者達も体外でのオド操作を習得した。
そこからはとんとん拍子だ。
生命力、純魔力、属性魔力を感知した時点で上昇していた魔力感知能力は、体外のオド操作を経てマナ感知を開花させ、大気中の微細な魔力を感知するに至った。
流石に濃度が薄かったら感知出来ないし、色々混じってたら属性もはっきり分からない様だが、そこは経験を積んで行けば如何とでもなる範疇だ。
そこにモノがあると分かれば、それを操作しようと働き掛ける事は簡単で、間も無くして皆はマナの操作を行える様になった。
マシロなどは放出された他者のオドを操作してみようと試みた様だが……流石のマシロを持ってしても操作や吸収には結構な集中力を要したらしく、眉根を寄せていた。
その後の自習では、オド操作、マナ操作、吸収、変換、付与、固定化、新たな技術に慣れるべく研鑽を続ける皆にアドバイスをしたり手伝ったりして、恙無く本日の修行を終了とした。
闘気を十全に扱えている訳ではないが、今の皆なら一般兵士並みの装備でもレベル100と渡り合えるだろう。
闘気法を完璧にマスターすればレベル200とも戦えるし、目標は装備とアイテム込みで300と対等に戦える練度である。
本日夜のパーティーは、吸血鬼とサンディアプロデュースの古城、血と影の演舞。
城内部にはサンディアの眷属が彷徨いており、ちょっとした規模のお化け屋敷的なアミューズメントを楽しめる仕様だ。
供された料理の数々は……なんでもサンディアが構想を練り、吸血鬼達と黒霧が現実に落とし込んだ物らしく……見た目が奇抜な物が多かった。
例えば血の様に真っ赤だったり異様に紫だったりするスープ。表面が真っ黒な蝙蝠型の謎肉ハンバーグ。パンプキングプリン等々は序の口。
一見赤い花に見える置物は実はお皿代わりで、実に見える透き通った赤の球体がお菓子だったり、狼や虎っぽい四足獣の腹から喉に掛けてが開かれており、内臓にしか見えないそれが全部食べられる物だったり……なんだろうね? そう言うのが好きなのか、そう言うムーブ的なおもてなしなのか。
また、玉座の間らしき場所には豪奢な椅子が2つあり、その内一つは僕用だとの事。




