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でも実際に呼んでみるといけそうだな。コノちゃん。
そりゃ恥ずかしいよ?
けどさ、慣れればそれは幸せに代わると思うんだ。うん、きっとそうだよね。
だとしたら、早く慣れないといけない。
俺とコノちゃんの未来のために! どうしよう。
①嬉しい ②恥ずかしい ③嫌だ
ーここは①と②ですよー
嬉し恥ずかし。でもそれが、幸せというもの。
「コノだって、それくらい出来るよ。敬語に慣れすぎちゃって、どう喋ったら良いのかなぁ、ってわかんなくなっちゃっただけ。もう大丈夫だもん」
本当は逃げ出したくなるくらい恥ずかしかったのだけれど、普通の顔をして言ってのけた俺に、コノちゃんは驚きの表情を向け続けていた。
そしてやっと驚きが緩和されて、話せるくらいにまでなったから、自分も同じように言ったけれど恥ずかしい。というように見える。
普段とは反対で、俺が照れを隠せていてコノちゃんが隠しきれていない。
強がっているけれど顔を赤くしているところが、可愛くて仕方がない。
「何を笑っているの? 今はまだ違和感があるってだけでしょ。それはコノのせいじゃなくて、アナタのせいなんだからね」
「なぜに微妙なツンデレ的な要素を?」
自虐的な態度を取ったり、謝ったりするようなことが多いコノちゃん。
だからそんな彼女が、アナタのせい、そう言ってくれることがとても嬉しかった。
ただ人のせいにされているだけなような気もするが、別にどちらも悪いことをしたわけじゃないのだから、悪い気にはならないし。
単純に嬉しいと思う。どうしよう。
①抱き締める ②席に戻る ③教室を出る
ーここは③を選ぶんだそうですよー
もう、我慢の限界だった。
平静を装っていることなんて、もう出来そうもなかった。
だけど行動に移すほどの勇気もないし、そのことによりコノちゃんに嫌われてしまったら。コノちゃんに迷惑を掛けることになってしまったら。そう思うと、何も出来なかった。
どうしたら良いのかわからなくて、俺は静かに教室を出た。
コノちゃん。口に出してそう呼んで、敬語ではなくタメ口で彼女と会話をした。
その時点で教室から飛び出そうなほどに恥ずかしかったけれど、なんとか抑えた。
表情にも出さないようにと努力した。
しかし今回は無理である。
飛び出ていったらあまりにかっこ悪いかと思い、静かに教室を出たのは、理性の最後の戦いである。
コノちゃんは不思議そうな顔をしていた。俺を追って来ないのは、俺の気持ちを理解してくれてのことなのだろうか。
教室の外で体を冷やすこと数分。
登校してきたクラスメートたちの冷たい視線のおかげで、随分早く火照りを冷ますことが出来たよ!
あぁあ。山内さんという友だちと、コノちゃんという大切な彼女。
友だちだけでなく恋人まで作ってしまうという快挙を達成したのだから、もう良いと言えば良いのだが、完全に俺は変な人。これ以上の友だちは諦めた方が良くなるかもしれない。
恐らく顔を真っ赤にしているであろう状態で、教室の目の前の廊下、両手で顔を抑えていたのなら何をやっているのだろうと思う。
それは俺の方が明らかに異質だったのだから、リア充共めと責められないのが悲しいよ。どうしよう。
①開き直る ②取り繕う ③今までのままに
ーここでも③を選択致しますー
まぁ元から良い立ち位置を手にしていたわけでもないのだし、そんなに変わらないかな。
だれも俺なんか、気にしやしないよね。
ちょっとリア充に近付いたからって調子に乗っていただけで、本当のリア充たちは、そんなこと気付いてもいないさ。
それに彼女が出来たのだからリアルはかなり充実していて、リア充と呼ぶに相応しい状態かもしれないが、だからといってクラスの中心的立ち位置に入れるかといわれたらそうではない。
そうだよ。そうだよね。
とは思いつつも、なんだか恥ずかしいような思いで教室に戻る。
それは、周りの目とかじゃなくて、コノちゃんのところへ戻るのが照れくさかっただけかもしれないけれど。
少し前の俺が今の俺を見たら、反吐が出ると泣き暮れるんだろうなぁ。
憧れのその先へ来ちゃったような感じだよね。コノちゃんとか、可愛いよ。どうしよう。
①彼女の席へ ②自分の席へ ③逃げ出す
ーここは②を選びますよー
またコノちゃんの席へ行って、またコノちゃんと話をしたかった。
けれどそれはあまりに恥ずかしかったので、俺は自分の席へと戻った。
なんとも思っていないかのように。今、登校してきたかのような自然さで。
完全に彼女はこちらを見ていたけれど、そんなこと全くもって気にならないね!
自然を意識するという不自然さを感じながらも、俺は自分の席について、ゲームを取り出しプレイする。
今はゲームをやっているので、リアルのことなんてどうでも良いもん。何も気にならないもん。
そう思うんだけれど、コノちゃんの方をどうしてもちらちらと見てしまう。
このままじゃ、怪しい人だと思われてしまうかもしれない。
ゲームの中には恋人も友だちもたくさんいるから、それで良いんだって思っていた。けれど、リアルの恋人が出来てしまったからには、そんなこと思えるはずないよ。
だって、だってゲームとは全然違うんだもの。
コノちゃんは、俺だけに笑い掛けてくれる、最高の女の子なんだから。




