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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
テスト勉強
30/223

「名前で呼び合うことより、アダ名で呼び合ってた方が、関係を疑われるんじゃないかしら。試しに、ゆきたん、とでも呼んでみる?」

 ゆきたんっ?! ない! 絶対に無理だからぁ!

 俺が提案しようとしていたアダ名は、そういうのじゃなくて。その、なんと彼女に説明したら良いのか、適切な言葉なんて浮かばなかった。

 そんな呼び方をしていたら、雪乃さんと呼ぶよりも怪しい。

 しかし……、この世のものではないようなほどに美しい彼女を、本当に気安く雪乃さんなどと呼んでしまっても良いのだろうか。どうしよう。


 ①別のアダ名 ②ゆきたん確定 ③雪乃さん ④鬼山さん


 ー諦めてここは③を選びますよー


 このように言われてしまっては、雪乃さんと呼ぶしかなくなってしまう。

 もしかして彼女、アダ名で呼ばれるのとか、嫌いだったのかな。

 それなのに気を遣ってくれて、こういう風に断ってくれたんだとか? 優しいんだなぁ。

 明らかにそんな様子ではないが、なんとかそう解釈をして、俺は彼女のことを大人しく雪乃さんと呼ぶことに決める。

 ゆきたん、か。

 でもそれはそれで、呼べたら周りが驚くかな。

 それとも不釣り合いすぎて、だれも驚いてすらくれないかな。

「あっ、おじさん、ここがはるちゃんのおうちだよ。早くきてきて、一緒に遊ぼうよ」

 場の空気が重くなり始めてきた頃、無邪気な春香ちゃんが元気良くそう言った。

 しばらく歩いていたような気がするが、ここから毎日彼女は通っているのだろうか。何時に家を出ることになるんだろう。

 それか、大して長い時間ではなかったけれど、異様に長く感じてしまっただけなのか。どうしよう。


 ①時計を確認 ②交通手段を確認 ③お邪魔します


 ーここも③を選びましょうー


 家はそれなりに広いけれど、なんと言ったら良いのだろう、田舎風――この言い方だと、田舎に失礼になるのだろうか――だった。

 つまり、そういうことなのだ。

 これもかなり失礼なことだが、田舎と呼ぶには田舎に失礼になるような家。

 あくまでも外観だが、お世辞にも綺麗な家とは言えないな。

「お邪魔します」

 春香ちゃんが俺の手を引いて入っていくので、俺も挨拶をして、家の中に足を踏み入れる。

 家の中もどうやらイメージ通りな感じで、ギャップとかを生じさせてくれる気配はない。

「春香お姉ちゃんと、雪乃お姉ちゃんと、このお兄ちゃんはだぁれ?」

 靴を脱いで廊下を歩く。どこへ向かっているのかわからないが、春香ちゃんが連れて行くままに歩く。そうしていると、新たな幼女が登場した。

 幼稚園生だろうと思われる。

 春香お姉ちゃんと呼んだし、春香ちゃんより年下で間違いないのだろう。どうしよう。


 ①自己紹介 ②紹介を求める ③初めまして


 ーここも③としましょうかー


 雪乃さんの方に救いを求めてしまいそうになったが、これはコミュ力を養うチャンスである。

「初めまして」

「はじめまして」

 まず挨拶は返してもらえた。

 良しっ! このままの流れで、幼女との距離を縮めていこう。それにこの子、春香ちゃんとは違って、お兄ちゃんって呼んでくれたからね。

 おじさんとか、口には出さなくても、傷付いているんだからね?

「俺は◯◯、あなたのお名前はなんというんですか?」

 春香ちゃんの手は握ったまま、その場でしゃがんで目線を合わせる。

 どうやら雪乃さんも、警戒というよりは温かい眼差しを向けてくれているようなので、容赦なく……じゃなくて遠慮なく行かせてもらう。

 同年代は無理だけど、子どもやお年寄りには意外と人気なんだからな。

「鬼山冬華(ふゆか)です。四歳です」

 次にしようとしていた質問を、先回りして答えられてしまった。

 まさか俺の思考回路を読まれていたというのだろうか。

 何にしても、冬華ちゃんは四歳とのことらしい。俺には妹も弟もいないからわからないけれど、四歳ってこんなにしっかりしているものなんだね。

 アニメとかでみるロリキャラって、案外九歳くらいだったりするんだよね。どうしよう。


 ①驚く ②褒める ③戸惑う


 ーここは②を選べますよー


 四歳なんていったら、ハイハイをしているもんだと思っていた。

 彼女はもちろんきちんと歩けているし、もう既に雪乃さんと同じ美しさを漂わせている。

「随分とおりこうさんなんですね」

 可愛らしさに綻ぶ顔を抑えながらも、そう言って開いている方の手で頭を撫でた。すると気持ち良さそうに、少し擽ったそうに笑うもんだから、この可愛さは凶器である。

 って俺も、さりげなく女の子の頭を撫でているじゃないか。

 落ち着け。落ち着け、俺。四歳を恋愛の対象内にしてしまっては、それはもう犯罪だ。だから、自然に頭を撫でられたんだよ。

 そう、そういうことだよね。

「えへへ。だってふゆかも、もうお姉ちゃんだもん。えっと、です!」

 また新情報が入ってきた。

 お姉ちゃんだもん。ということは、更に下がいるということだろうか。

 一体、何人出てくるんだろう。

 なぜか突然同居することになっちゃって、十人くらい兄姉弟妹きょうだいが出てきて、あなたはだれと恋をする? なんて事態に発展したりしないだろうね。

 ああでもそうしたら、俺は何歳の少女を選ぶんだろう。

 年上というのもそれはそれで悪くない。

 ……何を考えているんだろうか、俺は。

 妄想を振り払い、冬華ちゃんに微笑み掛けると立ち上がり、雪乃さんに続いて歩き出した。

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