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ハーレムへの選択肢  作者: ひなた
二日目
12/223

「ねえねえ、何部に入ろうと思っているの? 一年ごとに部活を変えられるって言うと、他の学校よりも気軽に入れていいよね。なんか、生徒が楽しめるように努力してる、って感じがこの学校は最高じゃん」

 思ったこともなかったな……。

 三年生だからって経験者とは限らない。三年生だって、一年生と同じ一年目かもしれない。

 それでも、一年生で気軽に入る勇気はないだろう。どうしよう。


 ①肯定 ②否定 ③曖昧に


 ーここで③しか選べないんですねー


 彼女の言葉に肯定しても、それは俺にとっての嘘になってしまう。

 だからといって、同意を求められたこの言葉に、否定なんて出来ようものか。

「あぁ、うん、そうだね」

 はっきりと「はい」とは言いかねたから、なんとなく、やんわりと返事をしておいた。

「あっ、学校が見えてきたね。ここから競争だよ」

 質問の内容は、何部に入ろうと思っているかだったはず。

 しかし答えに興味などないのか、そんなことを言って走り出してしまった。どうしよう。


 ①追い掛ける ②競争する ③放っておく


 ーここは①を選べるみたいですー


 走って行ってしまったので、俺は慌てて追い掛ける。

 かなり余裕を持って出てきたと思ったのに、時計を見ると遅刻の危険すらありえる時間だった。

「えっあれ、先輩だったんですか? 僕、てっきり同級生とばかり思っていました。ごめんなさい」

 二年の昇降口へ行った俺を見て、驚きながらそう言われてしまった。

 学年によって名札の色が違っているのだから、学年はわかるはず。そこまで俺は、疑うまでもない一年生だったのか。

 もっと先輩風を吹かせた方が良かったのかな。

 いや、それはそれで駄目なのか。

「え、あ、……え?」

 一方の新木さんの方は、そんなことは全く気にもしていなかったらしい。いつの間にかもう教室へ向かっているのか。

 彼女にとって俺はその程度の存在だったのね。

 なんて適当なことを思いながら上履きを履いていると、戸惑い気味にこちらへと向く視線に気が付いた。

「あ、あなたは」

 俺もそちらへ視線を向け、戸惑うこととなった。

 間違いない。昨日、銭湯で出会ったあの美女である。どうしよう。


 ①話し掛ける ②抱き締める ③教室へ急ぐ


 ーここも①ですー


 これほどの美女と接せる機会は、これからの人生でもう二度とないだろう。

 俺は運が良かったものの、運が悪ければ一生出会えないレベルの絶世の美女だ。美しさも可愛さも持ち合わせている、もはや完璧としか言いようがないだろう。

 他の人にどう見えているかは知らないが、少なくとも俺の中ではナンバーワンだ。

「同じ学校の、それも同じ学年だったんですね」

 知らないふりして去ろうとしていた彼女だが、話し掛けてしまえばそうするわけにも行くまい。

 とりあえず、遅刻してはいけないので歩きながら、彼女との会話に挑むことにした。

 二年生の教室は二階。クラスにはよるが、そこそこの時間を稼いでくれるのではないだろうか。

「ええ、そうだったみたいね。あのときは、本当にごめんなさい。迷惑を掛けてしまったかしら」

 詳しく自分のことを知られたくはないのだろう。まあ、それも当然といえば当然なのだが。

 彼女はなんの情報も与えないような言葉で、時間を潰そうとしているように思える。

「いいえ、迷惑だなんてとんでもありません。周りに小さい子供なんていないもので、とても癒やされましたよ」

 それであなたに会えたのだから。

 そう言おうと思ったのだけれど、それは言えずただのロリコンみたいな感じになってしまった。

 俺はこんなことを言いたかったわけではないんだよ……。そうじゃないのだよっ!

 何も考えずに、ナンパを簡単に出来ちゃうくらい、チャラ男になれたら彼女だって作れるのかな。

 そんな男になれたら、このお方の個人情報を安々と手に入れて、あくまでも自然に仲良くなれたりするのかな。

 ただの友達としか思っていないって、そんな顔して彼女の隣にいられるのかな。

 自分が持ち合わせていないそのスペックを恨みながらも、俺は俺のやり方で、俺なりに頑張ってみようと思った。

「あの子は、親戚の子とかなんですか?」

 春香ちゃんはかなりの幼女に見えたので、俺はそう問い掛けてみた。

 高校生であることが判明したのだし、きっと娘ってことはないだろう。ない、よね?

「妹よ」

 最低限の返ししかしてくれないようだが、今回は彼女の情報をもらえた。

 まずこれで、妹の存在を知ることが出来たのだ。そこそこに懐いてくれていたみたいだし、この感じだったら自宅にお邪魔することも叶うかもしれない。

 無邪気な子供を利用することに、もちろん罪悪感はあるけどね。

 って、そうこうしているうちに、一番奥の教室まで辿り着いてしまっていたらしい。どうしよう。


 ①あと少しだけ ②教室に帰ろう ③絶対に引かない


 ーここは②を選ぶしかないでしょうー


 どうやら彼女は二年一組だったようで、二年生としては最も長い時間を一緒にいられたことになる。

 クラスは九つあるので、九組だったりすると階段上がってすぐなので、ほとんど一緒にいられる時間はない。

 それに比べて、一組ならば廊下の端まで一緒にいられるのだ。

 そのことに喜びを感じながらも、彼女が俺のことをどう思ったかふと考える。

 同じクラスじゃないことは、さすがにわかっていただろう。それだったら、どこまで着いてくるつもりなのか、そう思っただろう。

 こいつは何組なのか。どこの教室へ入ってくれるのか。

 それを待っていたのに、予想外に一組までやってきて、戸惑っているのではないだろうか。

 戸惑うだけならばいいのだが、怪しんだり気持ち悪がったりはしていないだろうか。どうしよう。


 ①構わない ②謝って帰ろう ③気にしない


 ーここも②を選びますー


 気付かずここまできたのは本当だから、大丈夫だよね。

「ごめん。人と話すことが少ないから、あんまり慣れなくて、嬉しくて、いつの間にかここまで来ちゃっていました。ごめんなさい。俺も、自分のクラスに帰りますねっ!」

 あえて彼女には何も言わせず、そこまで言うと廊下を猛ダッシュした。

 この行動が彼女に何を思わせたかはわからないが、俺としてはよくやったと思うし満足している。

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