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第98話 魔獣を統べる者

 詠唱が終わると、光の扉が現れる。

その扉がゆっくりと開かれる。


 そして、一直線に光が放たれる。

魔獣が次々に焼き尽くされて行く。


 一時的ではあるが、魔獣が二つに分断され、統率している者までの道が出来上がった。


「行くぞ!」

「「はい!」」


 ヴィムたちが一斉に崖から飛びおりる。


「ハナさん、私たちはヴィムさんのフォローに専念しますよ!」

「了解です!」


 ミサとハナは腰に挿した剣を抜く。


「ハァ!!」


 ヴィムの背後から襲おうとする魔獣に向かって剣を振るう。

魔獣の首と胴体が切り離される。


 ヴィムに襲い掛かろうとする魔獣は次々に倒されて行く。


 その間、ヴィムは魔族に向かって一直線に走った。

そして、数秒後には魔族と対峙する。


 全身が黒く、筋肉粒々な魔族は大きな鎌を持っている。

悪魔とでも形容するのが一番分かりやすいだろうか。


「お前が統率者だな?」

「…………」


 魔族は何も答えない。


「誰に雇われた?」

「……」

「そうか、答えたくないか」


 魔族が持っている鎌を振り上げる。

ヴィムはそれを人差し指と中指の間に挟んで受け止める。


「……!?」


 表情だけで魔族が驚いているのが伝わる。


「何をそんなに驚いているんだ? 魔術師が魔法以外使えないと思うなよ」


《縮地》


 一瞬でヴィムは魔族の背後に回り込む。

縮地は魔法ではない。

いわゆる仙術と呼ばれるものであり、一瞬で移動することが出来る技である。


「悪いが遊びじゃないんだ」


《炎槍》


 炎の槍がヴィムの背後に展開される。

それがそのまま魔族に向かって飛んでいく。


 魔族は鎌を横に振るってヴィムの魔法を相殺しようとする。

しかし、鎌に直撃する前に槍が爆発する。


「俺の魔法はそんなに甘くないぞ」


 ダメージを相当食らったと思うが、魔族はまだ立っている。

元々、魔族は人間よりも身体能力が高い。


 この魔族は魔法より物理攻撃が多いが、その鎌には確かに魔力が乗っている。


「お前から、聞き出すのは無理そうだな。じゃあ、死んでもらうぞ」


 これ以上、戦闘を長引かせても仕方ない。

こうしている間にも魔獣の大群は次々と流れ込んできている。


 今はディアナがそれをなんとか抑えているという状況である。

もちろん、ハナとミサも頑張ってくれているが、ディアナがいなかったらこうは行かなかっただろう。


《インフェルノ》

《テンペスト》


 炎の上級魔法と風の上級魔法を同時に展開する。


 炎に風と稲妻が混じり、魔族に向かって行く。

魔族はなんとか、防御を図ろうと防御魔法に切り替える。


 しかし、ヴィムの上級魔法の前にはそんなものは無力であった。


「グアァァァ……!!!!」


 魔族が断末魔のような悲鳴をあげる。

その声は思わず耳を塞ぎたくなるようなものであった。


 魔族の体全体に炎が纏わりつく。

さらにそこに、稲妻が落ちる。


 数分もしないうちに魔族はその場に倒れ込んで再び起き上がることはなかった。


 

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