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第85話 難敵出現

 魔獣の大群がヴィムたちに近づいてくる。

目視できる距離まで来るとその数は200を有に超えていると思われる。


「炎の精霊に願い奉る。爆ぜろ!」


《インフェルノ》


 ヴィムが詠唱を終えると、炎の柱が4本現れる。


「吹っ飛べ!」


 ヴィムの身長の何倍もある炎の柱は魔獣の大群に向かって放たれる。

魔獣にぶつかった炎は魔獣を飲み込んで行く。


「もう一発行くか」


《インフェルノ》


 ヴィムが声を上げると、遠くで爆発が起きる。

鼓膜が破れそうな大きな音と熱風が起こる。


 その風によってヴィムの前髪が持ち上げられる。


「す、すごい……」


 後ろに待機している騎士団から声が上がった。

ヴィムが使用したインフェルノは帝級魔法である。

魔法の中では最上級のものだ。

これを使えるのは世界広しといえど、両手で数えられる程度だろう。


「お前たち、よく見ておけ。あれがヴィム・アーベルという男だ」


 カミル騎士団長が部下に向かって言った。

今回、同行している騎士の中にはヴィムが本気を出すのを見るのは初めての人間も数多くいた。


 ヴィムが魔法を展開して数分が経過した。

爆炎と爆風が収まる頃には魔獣の群れは一掃されていた。


「終わったか。案外あっけなかったですね」


 そう言ってヴィムが振り向くとそこには呆れた顔のカミル団長とハナ、ミサの姿があった。


「この大群を10分程度で片付けてしまうとは。これでは、どちらが警護対象かわかりませんね」


 カミルさんは苦笑いを浮かべる。


「にしても、こんな大群が向かって来るっていうのは何か原因があるんじゃ無いですか?」


 ミサが口にする。


「それには俺も同感だ。明らかにおかしい」


 こんな大群が襲って来るなんて、宮廷魔術師時代にも無かった。

何かしらの原因があるとしか考えられない。


 ヴィムは目を瞑り精神を集中させる。

索敵の効果範囲を徐々に広げて行く。

しばらくして目を開く。


「カミルさん、この件の原因はわかりました。しかし、ちょっとというかかなりまずい状況ですね……」

「どうしましたか?」


 カミル騎士団長は息を呑んだ。


「魔人が居ます」

「ま、魔人ですか……!?」


 魔人とは魔族の中でも特別な存在である。

その力は一人で一国を滅ぼしてしまうとも言われている。


 魔人は元々は人間であり、高位な魔術師だったという説もある。

しかし、魔人に関してはまだ解明されていない事の方が多い。


「本当なんですか?」


 ミサが驚きに声を上げる。


「この反応は間違いない」


 ヴィムの索敵魔法にはただの魔獣では絶対にあり得ない規模の魔力を保有した魔力生命体の反応があった。


「断言できる根拠はあるんですか?」


 カミルさんがヴィムに尋ねる。


「俺は一度、魔人と戦っている」

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