第74話 対グリフォン戦
ヴィムたちは守護者の検知範囲に入るべく、5階層の中央へと足を踏み入れた。
すると、頭上から何やら不気味な音が聞こえてくる。
「検知範囲に入ったか」
ヴィムはそう言うと、思わず上を見上げた。
そして、地面に大きな影が落ちてくる。
「何あれ……」
ハナは初めて見るものに驚いている様子だった。
そして、次の瞬間には地面に大きな衝撃が走る。
辺り一面が砂埃で覆われる。
ヴィムは風魔法を使ってのそ砂埃を吹き飛ばした。
「これは、すごいな」
そこに現れたのは巨大なグリフォンだった。
鋭いクチバシに鋭い爪はまさしく凶器となり、あれをまともに喰らったらひとたまりも無いだろう。
「来るぞ」
「はい!」
ハナとミサは瞬時に剣を抜いた。
「援護は任せろ好きなだけ暴れて来い」
『防御膜』
ヴィムは2人に防御の支援魔法を掛けた。
これで、よほどの衝撃が与えられない限りは致命傷にはならないだろう。
「あの短い詠唱でこれほどとは……」
ミサはヴィムのかけた魔法に気づいたようである。
「ああ、2人に防御系の支援魔法をかけた。存分に暴れてくれ」
ヴィムの言葉で2人はグリフォンに向かっていく。
『爆ぜろ』
ミサたちの様子を見ながら、ヴィムは爆発系の魔法でグリフォンの動きを鈍らせる。
その隙にハナは一気にグリフォンとの距離を詰めていた。
ハナの得意とするのはこのスピード感で相手の懐まで潜り込むと言うことだろう。
真似しようと思ってもなかなか真似できることではない。
「はあぁ!」
ハナの振るった剣がグリフォンの胸の位置に命中した。
そこから、剣を抜くとハナはグリフォンとの間合いを保つ。
グリフォンは胸の位置からだらだらと血を流していたが、これは決定だにはならなかった。
『切り裂け』
攻撃を仕掛けて来ようとするグリフォンの顔面に向かって、ヴィムは風の刃を打ち込んだ。
その攻撃はグリフォンの右目に命中する。
グリフォンは一時的に攻撃が止まった。
そして、その隙を見計らったかのようにミサの剣劇がグリフォンを襲う。
ミサの剣は美しい剣と言うべきだろうか。
模範となるような剣を振るう。
さすがは元騎士と言うだけのことはあると思う。
「行きます」
ミサはその場で大きく跳躍する。
グリフォンが鋭い爪で攻撃を仕掛けて来るが、それを綺麗にかわす。
そのまま、グリフォンの首の位置に剣を叩きこむように入れる。
『爆ぜろ』
ヴィムは再び炎魔法で小爆発を起こすと、ミサがグリフォンから間合いをとる隙を作る。
「援護感謝する」
「おう」
「ハナさん、一緒にやるぞ」
「分かりました!」
ハナとミサは再び綺麗に剣を構えた。
「ヴィム殿、もう一応爆破してくれんか? 出来るだけ大きいものをお願いしたい」
「了解」
『物理防壁展開』『炎の精霊に願い奉る!爆ぜろ!』
ヴィムは2人の前に物理結界を展開して爆風から守る。
そして、次の瞬間にはグリフォンの周りで大きな爆発が起こった。
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