第72話 迷宮調査①
ヴィムたちは推定ランクSの迷宮に踏み込んだ。
陣形はハナを先頭にヴィム、ミサの順番だ。
ヴィムは魔法で援護するような形になる。
今回はあまり暴走は控えるつもりだ。
あくまでもつもりだが。
「よし、行くぞ」
徐々に迷宮の奥へと進んで行く。
『ライト』
ヴィムは光魔法で迷宮の中を照らして行く。
迷宮はまだ未開拓なので整備はされておらず、荒れ果てている。
入り口付近でこれということは最深部に近づくに連れて荒れて行くことだろう。
並列で索敵魔法も展開した。
「足元気をつけてくれ」
「分かりました!」
「了解!」
照らしているとはいえ、足元は決していいとは言えない。
「マナが濃いな……」
入った時から感じていたが、外に比べて空気中にあるマナの濃度が圧倒的に濃い。
「2人とも大丈夫か? ここ、かなりマナ濃度が高いけど」
ヴィムは体内に保有するマナの量が空気中のマナより多いので何の問題も無いのだが、耐性が無い人間にとってはこの濃度はしんどいものであろう。
「私は大丈夫です」
ハナは余裕の表情を浮かべていた。
「私も心配しなくて大丈夫だ。騎士時代はもっとマナ濃度の濃いところに潜ってきたからな」
2人とも心配する必要はなかったらしい。
Aランク資格を持ち、元騎士ともなれば数多くの修羅場を潜って来たのだろう。
「じゃあ、進んでいくよ」
ヴィムは迷宮の中を照らしながら進んでいく。
索敵魔法に魔獣は何体か引っかかっていたが、幸いなことにこちらには気づいていないようである。
このまま、二階層に進んでいきたいところだ。
「ヴィム様、階段があります」
先頭を行くハナがいった。
確かに、そこには下へと続く階段があった。
「二階層に続く階段だな」
このように迷宮は階層になっており、最深部に近づいて行くに連れてマナは濃くなり、魔獣のレベルも上がって行く。
「とりあえず、二階層に降りよう」
「はい」
ヴィムたちは階段を降りると二階層に足を踏み入れた。
マナが少しだけ濃くなったのを感じる。
まあ、この程度だったら誤差の範囲にはなるだろうが。
二階層に入るとヴィムは索敵魔法の効果範囲を少しだけ狭くした。
マナによって索敵魔法の効果を阻害されるのを防ぐためだ。
「正面からくるぞ」
二階層に入っていきなりだが、魔獣と戦うことになりそうである。
複数体の魔力生命体がこちらにかなりのスピードで向かって来ている。
複数いるということは、群で行動する魔獣だろう。
「ブラックウルフか」
大型犬ほどの大きさのブラックウルフが7体ヴィムたちの正面に現れた。
「いきます!」
ハナとミサが剣を抜いてブラックウルフに向かって行った。
見事な剣捌きでブラックウルフを仕留めて行く。
『切り裂け』
ヴィムが呟くと風の刃がウルフに向かって飛んで行った。
そのまま、ウルフの首を切り落とした。
「助かりました」
「いいよ。さて、次に行こうか」
ブラックウルフの亡骸を端に寄せるとヴィムたちは再び歩き始めた。
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本日、新作の異世界恋愛を投稿しました。
「お前の嫉妬に耐えられない」と婚約破棄されましたが、これって私が悪いんですか?〜宮廷魔術師に推薦されて、何故か王国の次期騎士団長様に守られる生活が始まりました〜
という婚約破棄ものです。
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