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第49話 救い

 ヴィムたちはメイと名乗った少女を連れて裏通りからでた。


「とりあえず、ギルドに行こう。ちゃんと保護してくれるから」


 ヴィムはメイを連れてギルド支部へと向かった。

数分歩くとギルドが見えてきた。


 ここのギルドは他のところより、治安が良さげだった。


「この子を保護してもらいたい。どこに行けばいい?」


 ヴィムはギルドの総合窓口に座っている受付嬢に尋ねた。


「それでしたら2階に上がってください。担当の者が対応いたします」

「ありがとう」


 そう言うと、メイを連れてギルドの2階に上がった。


「この子を保護してもらいたい」


 2階にある受付でギルド職員に言った。


「かしこまりました。お手続きさせていただきますので、お座りください」


 ヴィムはカウンター越しにある椅子に座るように促された。

そこで、必要書類を書いて手続きを済ませる。


「では、あとはよろしくお願いします。私の身分はこれで証明されるかと」


 ヴィムは懐から王家の家紋が描かれたカードを提示した。


「王家所縁の方でしたか。これは失礼致しました。では、後のことはこちらにお任せください」

「助かります。何かあれば王都のギルド本部にヴィム・アーベル宛に書簡を送ってきださい」

「かしこまりました。そうさせていただきます」


 後のことはギルド職員に任せておけば問題ないだろう。

ヴィムとハナはギルドを後にしようとしていた。


「なんか、問題が見えてきた気がするな」

「問題ですか?」


 ギルドから宿に向かう道を歩きながら言った。

意外と手続きに時間が取られてしまったので、時刻はもう夕方だった。

夕食は宿で食べることにしようということになった。


「そう、この国にはちゃんとした孤児院というシステムが確立しているんだけどね」


 レオリアには国営の孤児院もある。

身寄りのない子供たちがちゃんとした教育を受けられる機会が平等に与えられているのだ。

それが実力主義国家であるレオリアの特徴でもある。


 悪の道に走ってしまうのは教育を受ける機会を失った結果である。

そして、国全体でそいういう子供たちをどれだけ救い上げられるか。

それが、5年後10年後の治安はそこにかかっている。


 これが、レオリア国王の意向であった。


「帝国なんかと比べたら、国から孤児院に多額の補助金が支給されているんだ」

「そうなんですね」

「でも、メイみたいな子がまだ多く居る。これは一度調べた方がいいのかもな」


 余計なお世話になる可能性も十分にあるが、引っかかったままにしておくのは性に合わない。


 しばらく歩いて宿に到着すると、食堂で適当な食事を済ませた。

食後の紅茶を飲んでいると、そこにカミル騎士団長がやってきた。


「ヴィム様、少々よろしいでしょうか?」

「ええ、大丈夫ですよ。まあ、座ってください」

「失礼します」


 カミル騎士団長は対面のソファーに腰を下ろした。


「ヴィム様に調査の結果をお持ち致しました」

「拝見します」


 ヴィムは調査結果の書かれた紙に目を通した。


「なるほど。やはり、スライムが多いんですね」

「はい。なので、あまり深くまでは潜らず、様子見程度って感じですね」

「じゃあ、明日から本格的な討伐になりそうですね」

「そうですね。明日からよろしくお願いします」


 カミル騎士団長は氷の魔法も使えるので、ある程度の所まではいけるだろうが、魔導士たちやヴィムの魔法で本格支援しないと厳しいだろう。


「こちらこそよろしくお願いします」


 明日は朝から討伐任務である。

体を流したら、早めに寝ることとしよう。


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