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第48話 襲われている少女

 ヴィムとハナは異変を感じ取った。

この小さな悲鳴を感じ取れるとは流石である。


 獣人特有の感覚なのだろうか。

ヴィムの場合は気配探知という魔法を常時発動しているのですぐに異変には気づくことができる。


「向こうの方だな」

「みたいですね」


 ヴィムたちは異変を感じ取った方向へと向かった。

大通りから一本外れてさらに奥。


 そこは明らかに治安がよくない雰囲気がした。

スラム街とまでは行かないが、いわゆるブラックスポットというやつだ。


「きゃ! やめて離して!」


 そんな声がヴィムの耳には確かに届いた。


「おい、こいついい体してねぇか?」

「こいつなら何してもバレなそうだしな」

「弱そうだし、いい声が聞けるんじゃね?」


 ゲスな男3人が見すぼらし服装をした女の子の腕を掴んだ。


「やめて! 離して」


 その女の子は声を大きくした。


「そんな大きな声出しても誰も来ないよ」

「そうそう。俺らとちょっといいことしようよ」

「痛いことしないからさー」


 男たちは女の子の囲むようにしていた。

女の子の目には一筋の涙が流れたのがヴィムの目には見えた。


「取り込んでるとこ悪いんだけど、その子を離してもらおうかな」


 ヴィムの目には怒りの灯火が灯った。

こうなってしまったヴィムは誰にも止めることは出来ない。

ハナはもはや諦めた表情を浮かべていた。


「はぁぁ? なんだテメエ」

「ヴィム・アーベル、この名前に聞き覚えがあったら今すぐ消えなさい」


 ここではあえて自分の名前を出した。

もし、俺の名前を知っていたら逃げていくだろう。

何しろ相手がSランク冒険者と分かれば勝ち目がないのもわかる。


「しらねぇなぁ」


 男たちはお構いなしにヴィムの方へ向かってきた。


「どうやら、口で言ってもダメみたいだな」

「ですね」

「俺が奥の二人をやる。手前のやつ頼めるか?」

「了解です」


 そう言うと、ヴィムは一気に走り出した。

一人目の男に膝で蹴りを入れる。

鳩尾にヒットして蹴りで男は悶絶しながら気を失っていた。


「ごめんね。ちょっと手加減できなかったわぁ。でもいいよな? お前らみたいなクズに何やっても」


 ヴィムは黒い笑みを浮かべた。


「く、来るなぁ!!」


 もう一人の男が懐からナイフを取り出して、ヴィムの顔の前に突き立てた。

そのナイフの先は僅かに震えている。


「ナイフの使い方、お教えしましょうか?」


 ドスの効いた声でそう言う。


「舐めるなぁ!」


 男はヴィムに向かってナイフを振り下ろした。

ヴィムはナイフの刃の部分を人差し指と中指の間に挟んで受け止めた。


「嘘、だろ」

「だから言ったのに。ナイフの使い方教えましょかって」


 そう言うと、男の手首を掴んでそのまま投げ飛ばしてやった。

強く地面に叩きつけられた男は泡を吹いて気絶していた。

こいつには受け身を取るという技術はないようである。


「お疲れー」

「ヴィム様も流石です。魔術だけじゃありませんね」


 ハナが相手していた方も地面にぶっ倒れていた。

女だからって甘くみていたら怪我をするのがハナだ。

体術と剣術ならヴィムでも勝てるかは怪しい。


「大丈夫か? 立てるか?」


 ヴィムは助けた女の子にそっと手を差し出した。


「あ、ありがとうございます」


 女の子はヴィムの手を取ると立ち上がった。


「この辺は危ない。一緒にギルドに行こう」


 ギルドは孤児院とも繋がっており、身寄りのない子供を保護してくれる。

孤児院への手続きをギルドが代わりにやってくれるというわけである。


 女の子はヴィムの顔をじっと眺めた。


「すまん。自己紹介がまだだったな。俺はヴィム・アーベル、Sランクの冒険者だ」


 ヴィムは懐からSランクを示すギルドカードを取り出した。


「これでも心配だったら、これを」


 さらに懐から王家の家紋が描かれたカードを取りだす。


「これは、王家の」


 流石に王家の家紋は見たことがあるようだ。

まあ、街の中にいたら目にすることはあるだろう。


「俺の身分は王家が保証している。何かあればこのカードに誓って君を守る」


 王家のカードは何かあれば王家が後ろ盾になるだけではなく、ヴィムの身分を王家が保証しているという

証でもある。


「君の名前は?」

「メイ」

「そうか、メイちゃんか。いい名前だな」


 メイと名乗った女の子は少し警戒心が解けた様子だった。


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