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第36話 エリアヒール

 ヴィムは副騎士団長の後ろに視線を移した。

そこには、ボロボロの姿になった騎士たちが居た。


 軽症の者がほとんどであるようが、中には重傷と見られる騎士も居た。


「彼ら治療してしまいますね」


 ヴィムはそう言うと魔法の展開の準備に入った。


『エリアヒール』


 詠唱をすると、地面に大きく黄緑色の魔法陣が出現した。

そして、一瞬にして騎士たちの傷を治して行く。


 エリアヒールとはその名の通り、一定効果領域内の回復治癒魔法である。

一人一人にしかかけることの出来ない、ヒールとは違い、一気に複数人を治癒することができる。


 しかし、これも誰にでも使える訳ではない。

第一に消費する魔力の量がかなり多い。

使うには魔力の保有量が多いと言うことが大前提である。


「い、今のはエリアヒールですよね」


 副団長は驚きの表情に変わっていた。


「そうです。この方が一度で済みますから」

「Sランクの魔術師ともなると、その域まで至っていると言うのですね」


 副団長は感心したような様子であった。


「ありがとうございます。では、私たちは街に戻ります」


 その頃にはこの森のマナ濃度は通常の値へと戻っていた。


「本当に助かりました。また、どこかでお会いしましょう」

「はい、その時はよろしくお願いします」


 そう言って、副団長と握手を交わすとヴィムは森を抜けるべく歩き始めた。

森を抜ける途中で何度か魔獣に出くわしたが、ヴィムの魔法とハナの剣術の前では塵と化していた。


「さてと、街に戻って報告を済ませるとしますか」


 一度、バーロンのギルド支部に報告を入れることになっていた。

ヴィムたちは森を抜けると、街に向かって歩き始めていた。


 歩くこと数十分でバーロンの街に到着した。

一応、検問というものがあるのだが、王家の家紋が描かれているカードを提示することによって素通りすることができてしまう。


 これはかなり凄いことになのだ。

今回、それを実感している。

全ての検問を素通りできるというと、時間的短縮がかなりのものになる。


「先に報告だけ済ませちゃうか」

「はい。そうですね」


 バーロンの街に戻るとすぐにギルド支部へと向かった。

ギルドは街の中央付近にある。


 それなりに活気のあるバーロンの街。

個人的にはいい街なのではないかと思う。


 何より、住民の表情が生き生きとしている。

重い税に苦しんでいる様子も見られない。

これは、帝国時代ではあり得ないことであった。


 全ては、あのレオリア国王があるからこそこれが成り立っているのだろう。

頑張りを認めてくれる国は意外と少ない。


 そして、頑張った人が報われるような評価システムも存在する。

これは素晴らしい制度だと思う。


 正当に評価されるからこそ、優秀な人間が集まる。

そうやって、国を発展してきたのである。


 街の中をしばらく歩いて、ヴィムたちはギルド支部へと到着した。

分厚い扉を開けて中に入ると、一瞬視線がこちらに集まる。

ヴィムの存在は少しずつではあるが、有名なものになってきているのだ。


「支部長に会いたいんだが」


 ヴィムはギルドの総合窓口の受付嬢に向かって言った。


「かしこまりました。お名前を伺ってもよろしいですか?」

「ヴィム・アーベルだ」


 そう言うと受付嬢の表情は一瞬変わった。


「か、かしこまりました。すぐに確認して参ります」


 受付嬢は『離席中』の札を置くと、奥へと向かって行った。

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