第19話 ギルドマスター
階段を登った突き当たりにギルドマスター執務室はあった。
「ヴィム様をお連れ致しました」
先程の受付嬢が扉をノックしながら言った。
「入ってくれ」
中から渋い声が飛んできた。
「どうぞ」
受付嬢が執務室の扉を開けてくれる。
「ありがとうございます」
そう言って、ヴィムは執務室の中に入った。
「突然お伺いしてしまってすみません」
「いやいや、構いませんよ。どうぞお座りください」
ヴィムはギルマスにソファーに座るよう、促された。
「ご苦労だった。下がってくれ」
「失礼いたします」
受付嬢は扉を閉めると、執務室を後にした。
「まずは自己紹介といきましょうか。私はヘルムート、ここ王都のギルド本部を任されております」
ヘルムートは40代後半といったところであろう。
がっちりとした体格をしている。
ギルドマスターで40代というのは若い方だろう。
その歳で王都のギルマスに抜擢されるということはよほど優秀でないとあり得ないことであった。
「ヴィム・アーベルと申します。先日、国王陛下よりSランク冒険者の資格を頂戴しました。今日はそのご挨拶に」
「はい、認定式には私もおりましたので、存じておりますよ。王女殿下をお助けになったとか」
「情報が早いですね」
確か、王女が襲われた事実は公には伏せられているはずである。
「これでも、一国のギルド本部の責任者ですから。情報網はありますよ」
「そうでしたか。これは失礼しました」
冒険者を束ねるギルドともなれば色々伝手があるのだろう。
「とんでもない。早速何か依頼をと思いましたが、あいにくSランクの依頼は舞い込んでいないんですよね」
ギルマスは依頼の受付表をペラペラとめくりながら言った。
まあ、そう簡単にSランク指定の依頼が来たらたまったもんじゃない。
「そうですよね。しばらくは適当な依頼を受けて食い繋ぎますよ」
「申し訳ないですが、そうして頂くしかないですな。何か面白い案件があればこちらからご連絡しますよ」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「こちらこそ。仲良くやっていきましょう」
ヴィムとヘルムートは握手を交わした。
「では、今日はこの辺で失礼します。お忙しいところ、お邪魔しました」
そう言って、ヴィムはソファーから立ち上がった。
「構いませんよ。本来ならこちらから挨拶に伺うべきでしたのに」
「とんでもないです。では、何かありましたらまた」
「はい、その際はよろしくお願い致します」
ヴィムはギルマスの執務室を後にするのであった。
そこから、ギルドの建物を出て自分の屋敷へと向かう。
基本的に、一度通った道なら覚えることができる。
ヴィムは迷うことなく、屋敷に到着することができた。
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