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第16話 ローブを新調したい

 ヴィムは食事を終えると、今日の予定は特に無くなってしまった。


「もう少し、お休みになられたらいかがですか? 旦那様もお疲れのようですから」


 アーリアにそう促された。


「ん? 旦那様って俺のこと?」

「左様でございます。この屋敷の主ですので、旦那様が相応しいかと」


 今まで、旦那様などと呼ばれた事が無いので、なんだかムズムズしてしまう。


「旦那様は止めよう? 普通に名前で呼んでくれ」

「かしこまりました。では、ヴィム様とお呼び致します」


 やっぱり、そっちの方がまだムズムズしなくて済む。


「とりあえず、今日は休ませてもらうよ。明日10時には起こしてくれ」

「かしこまりました。そのようにさせて頂きます」

「ありがとう」


 ヴィムはリビングから出ると、自分の部屋に向かった。


 やはり、体は疲れているのかすぐに寝ることが出来た。

 


 ♢



 翌朝、部屋のドアをノックする音で目が覚めた。

どうやら、深い眠りに入ってしまっていたらしい。


「ヴィムさま、お時間になりました」


 秒針まできっかり時間にアーリアの声が扉の向こうから聞こえてきた。

いや、仕事出来過ぎじゃない?


「どうぞ」


 俺がそう言うと、部屋の扉が開いた。


「ありがとう。助かったよ」

「とんでもございません。朝食のご用意もできておりますので、お着替えが終わったら降りてきてください」

「分かった。すぐ行くよ」

「では、失礼します」


 アーリアは綺麗に一礼すると、部屋を後にして行った。


 ヴィムは黒のシャツと黒のパンツに着替える。


 パジャマとして用意されていたものはベッドの上において置いた。

そうすれば、アーリアが洗濯してくれるらしい。

なんか、人間としてダメになりそうだ。


「おはようございます。よく眠れたようですね」


 ジェームズは今日も綺麗に燕尾服を着こなして仕事をしていた。


「おかげさまでよく寝れました」


 ヴィムはそう言いながら椅子に座った。

用意された朝食を食べ進めていた。


 朝食も普通に美味い。

あっという間に朝食を食べ終えてしまった。


「あの、クエスト用に服を新調したいんですけど、どこかいい所ありますか?」


 ヴィムはジェームズに尋ねた。


「それなら大通りにいい店がございます。ヴィム様はまだこの国に不慣れかと思いますので、私がご案内致します」

「助かります。今から行きたいんですけど大丈夫ですか?」

「かしこまりました。すぐに準備して参ります」


 そう言うと、ジェームズはその場を離れた。

ヴィムも黒のローブを羽織った。

これを羽織ると一気に魔術師感が増す気がする。


「お待たせ致しました。では、参りましょう」


 リビングのソファーに座っていると、ジェームズが準備を終えてやってきた。

先ほどから何が変わったのかは分からないが、準備は終わったらしい。


「はい、行きましょう」


 ヴィムはジェームズと共に屋敷を出た。

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