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第147話 王女様とギルド総括

 新人冒険者研修も無事に終わり、新人たちたの今後の活躍に期待をしていた。


「旦那様、王宮から書簡が届いております」


 ジェームズが書簡を手渡してくれる。


「うん、ありがとう」


 毎度のことだが、今回も王宮へのお呼び出しである。

書簡が届いた翌日にヴィムはハナたちと共に王宮へと出向いた。


「こちらで、お待ちください」


 王宮の従者によって、応接間に通された。

そこで、しばらく待っていると、陛下とエリン王女、シャルメル王妃が入ってきた。


「待たせたな」

「いえ、構いませんよ」


 陛下たちはヴィムの対面のソファーへと腰を下ろした。


「王妃様も回復されたようで何よりです」

「ええ、もうすっかり良くなりました。ヴィム様のポーションのおかげです」


 そう言って、王妃様は柔和な笑みを浮かべた。


「それで、今日はどういったご用件でしょうか?」

「うむ、それなんだけどな。ヴィムに頼みがあるんだ」

「そうですか。何でしょう、できることならやりますよ」


 どうせ何かの討伐何やらの面倒ごとなのだろう。


「こちらでも色々話し合ったのだが、エリンと婚約してくれないだろうか」

「そうですか。わかり……えぇ!?」


 ヴィムは思わず大きな声を出してしまった。


「どうしてそうなるんですか?」

「ヴィムならうちの娘を預けられると思ったんだ」

「エリン王女の気持ちは?」

「私は、ヴィム様がお相手なら、願ってもないことといいますか……」


 エリンは頬を赤く染めていた。


「まさか、僕をギルド総括にしたのは、これを見越してですか?」

「わかったか?」


 陛下はニヤリとした笑みを浮かべた。


「ええ、立場でしょう?」


 王女と婚約を結ぶということは、それなりの身分と立場が必要になる。

ヴィムは爵位を断り続けていたので、ギルド総括という荒技に出たのだろう。


 ギルド総括になれば、その権限は侯爵に匹敵するほどのものになる。

一国の王女様と婚約を結ぶにも十分な身分になるだろう。


 それに、加えて問題はまだあった。


「今の王位継承権第一位はエリン王女ですよね?」

「ああ、そうだな」


 陛下と王妃の間に息子は居ないので、王女であるエリンが王位継承権第一位になっている。

レオリアでは、女性も王位を継げるのだ。


「もし、僕がエリン王女と結婚して、このまま陛下と王妃様にご子息が生まれなかったらどうなるんですか?」

「ヴィムが次の王になるな」

「そんな簡単に言わないでくださいよ」

「私は、ヴィムにこの国を任せてもいいと思うし、ヴィムが国を継ぐと決まったわけではなかろう」

「そうですけど」

「ヴィム様は、私のことがお嫌いですか?」


 エリン王女がうるうるとした瞳を浮かべてくる。


「いや、嫌いじゃない」

「私のこと、可愛いと思いますか?」

「ああ、可愛いと思う」

「なら、問題ありませんね!」


 エリンは満面の笑みを浮かべて言った。

これは、ヴィムが腹を括るしかないのだろうか。

エリン王女にここまで言われて答えを濁すなどということはできない。


「わかりました。婚約を約束します」

「本当ですか!?」


 エリンは嬉しそうに微笑んだ。


「ただ、正式な婚約はもう少し待って頂いてもよろしいでしょうか?」

「何か理由があるのか?」

「エリン王女の婚約者になったことが公表されたら、今まで通りは動けないでしょう。なので、今のうちに片付けてしまいたいことがあるんです」

「そういうことなら、仕方あるまい。正式な婚約はもう少し待つとしよう」

「ありがとうございます」


 こうして、ヴィムのこれからを大きく左右する出来事は一旦、幕を降ろしたのであった。

お読み頂きありがとうございます!


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執筆の励みになりますので、何卒!

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