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第108話 得体の知れない敵

 なんだかんだで、久しぶりのギルド本部。

最近は、陛下からの直接依頼が増えている為、ギルドを訪れるのは久しぶりだった。


 ギルドに足を踏み入れると、ギルド内にいる全員の視線がこちらに向けられる。


「そうか、俺は今日からギルド総括だったか……」


 ヴィムは現役の冒険者なので、そちらの任務が優先される。

役職はお飾りのようなものなのだろう。


「ギルマスに会いたいんだけど」

「は、はい! どうぞ、ご案内します」


 いつものように、ギルド職員が案内してくれる。


「久しぶりだね。ヴィム君。いや、ギルド総括と呼んだ方がいいかな?」

「茶化さないでくださいよ。いつも通りでいいですから」

「じゃあ、そうさせてもらうよ。まあ、座りっておくれ」

 

 ギルマスの執務室の中央に置かれたソファーに腰を下ろす。


「それで、今日はどういった用件だろうか?」

「これの件です」


 ヴィムは懐から一枚の資料を取り出して、机の上に置いた。


「ああ、人身売買の組織か。これがどうかしたか?」

「この組織のボスって、確か女でしたよね?」

「そうだな。今までの目撃証言から女だということになっている」

「この組織の調査はどうなっていますか?」

「それがだな……」


 ギルマスは少し言いづらそうに言い淀んだ。


「全然尻尾が掴めなくてな。まだ組織全体像がまるで分からないんだよ。全く面目ない」

「そうでしたか……」


 レオリア王国ギルドの諜報部は優秀な人材が揃えられている。

その調査力を持ってしてもまだ、組織の全体像すら掴めていないのは危険な香りがする。


「この件が気になるのか?」

「ええ、まあそうですね。何か分かったら教えて頂けますか?」

「ああ、もちろんだ。新しい情報が回ってきたら、すぐに教えよう」

「助かります」

「どうせ君の事だ。また誰かのために動いているのだろう?」


 ギルマスのヴィムを見る目は、全てを見透かしているような目である。


「バレてましたか?」

「君はいつも誰かのために本気になるからな。この組織を調べているということは、ハナさん辺りか?」

「ギルマスの目は誤魔化せませんね」

「まあ、君の倍は生きてるからな」

 

 ギルマスは自嘲するように笑う。


「でも、今回は誰かのためじゃないかもしれません」

「というと?」

「ええ、今回の相手は僕自身の敵でもあります。すみませんが、これ以上は言えません」

「そうか、分かった。まあ、こいつらは放っておけばまた何処かで人身売買をするだろう。壊滅に追い込んでくれるならワシからは何も言わんよ」

「ありがとうございます。では、私はこれで失礼します」


 ヴィムはソファーから立ち上がる。


「気をつけろよ。今回の敵はお前さん一人では荷が重いかもしれんぞ」

「心配要りませんよ。僕は一人じゃありませんから」


 そう言って、ヴィムはギルド本部を後にするのであった。

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