2-25 PM14:20/天嵐【テンペスト】②
「いったい、どういう手品だ?」
畳の黒い縁に足をかけたまま身動きが取れずにいるボルケイノの、憮然とした声。
「なぁに、ちょっとした細工だ」
円卓の老人は、傲岸不遜な来訪者の身動きを封じたことにご満悦なのか。じっとりと目を細める。
「――【陣界】」
単独唱和の後、イーライの細い両手が逆手拍手を打つ。変化はすぐに現れた。屋敷中の畳の黒い縁が、ひそやかに律動を刻み始める。地を這うミミズのように奇妙な蠕動を繰り返し、畳から浮き上がると、黒い無数の手と化してボルケイノへ襲い掛かり、全身をあっという間に縛り上げた。
畳の縁が宿す呪的役割――対象との間に境を設けるために在るそれは、結界に類似した力を持つ。本来、結界とは土地の力を利用するのが定石であるが、ここでは「畳」を「土地」に見立て、さらには「枯山水」という場の力をもプラスして、本家本元の結界術に勝るとも劣らない拘束力を実現している。
東洋文化に通じる呪いを取り込んだ、トラップ型の封言呪符。
「コイツの利点は、呪学療法士でなくとも、取説に記された順序通りに事を為して思念すれば、誰でも使えるところにある。万が一にと思って用意しておいだが、正解のようだな」
「これは驚いた」と、イーライの奥の手にして、濃密な悪意が込められた無数の黒い手に縛られながらも、ボルケイノは平静さを崩さない。「ただの蒙昧な老人と思いきや、なかなか粋なことをしてくれる」
「ふざけた口調もそこまでにしておけ。あと一回、私が逆手拍手を打てば、お前の体はバラバラに砕け散る。その黒い手に押し潰されてな。理想を夢見てゴミ屑のように死ぬだけよ……」
妙案を思いついたとばかりに、イーライがからからと声を上げた。
「主治医に反発して治療を嫌うわがままな患者は、徹底的に矯正してやらんとな。記憶抹消手術の薬液タイプを試験的に作成したばかりなのだ。あとでさっそく打ち込んでやるとしよう。ふむふむ。どんな副作用が出るか、楽しみだ。良いデータが取れるよう、せいぜい励んでくれたまえよ。くれぐれも幻覚作用に襲われて発狂するなんて結末にはならんでくれよ。せっかくの検体がダメになってしまっては、私もここまで頑張った意味がないからな」
くぅくぅくぅと、イーライがしゃくりあげるように笑った。糸のように細い目がますます細められ、しわくちゃの皮膚にカミソリのような皴が刻まれる。
「本性を表したな」
ボルケイノは微笑みつつ、しかし蔑むように続けた。
「やはり貴様も、円卓に連なる傲慢な権力者のひとりに過ぎないのだな。自分の利益のためなら、他人を平気で使い潰すのが、貴様の流儀か」
「自己の利益のためではない。都市の利益を考えてのことだ。プロメテウスに住むあまねく都民の安全を確保するために、こうせざるを得ないのだよ。くぅくぅくぅ」
「我々を博物館に閉じ込めたのも、その都民の安全とやらのためか? 我々を理性を失くした獣と断じて、周囲から隔離し、モルモット扱いしたのも、安全のためなのか?……だとしたら、度し難い言い訳だ」
ボルケイノは続けて言った。
「都市と共に成長し続けるという姿勢が、どれほど身勝手なものか、貴様は知ろうともしない。その陰で棄てられていく人々の声に、耳を傾けたことが一度でもあるのか」
「理想主義な戯言もそこまでにしておけ」
「理想は唱えるからこそ価値がある。唱え続け、不断の努力を怠らなければ、理想はやがて現実としてこの地上に顕れるものだ」
「身動きの取れぬ身で、よくもまぁ、べらべらと回る舌だ。二度と妄言を吐けぬよう、薬を打つ前に引っこ抜いてやる」
「一刻も早くそうした方がいい。貴様の失策は、私の口をすぐに封じなかったことにある――つまり、こちらに交渉の余地を残してしまったのが、貴様の間違いだ」
「交渉の余地だと?」
その時、軽快な電子音が、イーライの懐から鳴った。携帯電話の着信音だ。
唐突にして場違いな、しかし推し量ったかのようなタイミングだった。
不気味な予感――イーライのこめかみを冷や汗が流れる。
見上げると、ボルケイノが引き攣るような笑みを浮かべている。
双方ともに沈黙。ただ、殺伐とした予感だけが漂う。
流れる雲が陽を遮り、居間に陰が差す。
二回、三回、四回と、急かす様に着信音は鳴り続ける。
「出るがいい。捕虜を前にして遠慮する必要はないはずだ」
比較的穏やかな口調でボルケイノが促した。やけに不自然なその態度を警戒しつつ、イーライはゆっくりと作務衣の内側に手を伸ばすと、旧式の携帯電話を取り出し、八回目の着信音が鳴る寸前に出た。
「もしも――」
『あなた! あなた無事なの!? ねぇ! 今どこにいるの!?』
逼迫した妻の声だった。
続けて、耳に届いたのは。
『ヴィィイイイイイイイイイイン!! ヴィィイイイイイイイイイイン!!』
『ブッた斬って刺す! ブッた斬って刺す!』
怖気に満ちた、ふたつの哄笑。イーライの表情が途端に蒼褪めた。セミ人間・ムルシエラの巨大な眼球と、鎧の巨漢・アトラスの虚ろげな表情が脳裡を過る。
なぜだ?
疑問が泡のように浮かんでは弾けていく。
なぜ妻のところに奴らが?
『ヴィィイイイイイイイイイイン!! ヴィィイイイイイイイイイイン!!』
『ブッた斬って刺す! ブッた斬って刺す!』
『な、なんなのこの人たち……ねぇあなた!? お願いだから返事をしてちょうだい!?』
すぐに認識が間違っていることに気づいた。
妻が人質に取られている。
「あ、あ、ああぁ……」
あまりの事態に、苦し気に息を吐いた。
『ヴィィイイイイイイイイイイン!! ヴィィイイイイイイイイイイン!!』
『ブッた斬って刺す! ブッた斬って刺す!』
耳障りな狂声。博物館を訪問した際に何度も耳にした。《ハード・フラッシュバック》――大隊に所属する八割の人員が、鬼血人掃討作戦の終了後に、その奇怪にして未知の精神病に侵された。戦場という極めて異常な状況下に長期間晒されているうちに、感情を司る大脳のモジュールにかかる外的・内的な負荷のために発症/前頭前皮質の機能不全/ PTSDの一種と推定/深層心理の奥に眠る『情動』を繰り返し繰り返し声に出して表現するという奇行。
獣と化した狂人。それの発する解読不能なおぞましい雄叫びがイーライの耳朶を震わせ、それに混じって妻の怯える声がするたびに、頭の中がどうにかなりそうだった。
「陸に打ち上げられた魚のようだな」
息を整えようと口をぱくぱく動かしていた。無意識のうちだった。ボルケイノに噛み付く余裕などすっかり失っている。
「どういうことだ……な、なぜ妻の居場所が分かったッ!? どうやって知ったッ!? 別荘の居場所をどうやって……」
「お忘れか? こちらには鬼禍殲滅作戦において、何千人という隊員たちの情報共有を速やかにやり遂げた、凄腕の電脳兵士がいることを。彼女の力で居場所を探り当て、偉大なる同志を二名、そちらへ送り込んだだけのこと」
「……ディーヴァか。ピアフ・ザ・ディーヴァかッ! あの女だな……そうなんだなッ!?」
「ご明察。電脳世界の歌姫。天国に向けて讃美歌を謡い続ける彼女の力を以てすれば、貴様の妻が別荘で静養中であることくらい、たちどころに掴める。私の生の声にばかり気を取られて、電脳による無線通信を見逃したのは、痛恨のミスだな。イーライ・サンドリア」
イーライは彼らのいちばんの武器を見落としていたことを、いまになってようやく悟り、忸怩たる思いに駆られた。凍結していたはずの電脳通信機能。その解除に必要な暗号キーが、すでに彼らの手に渡っていることを。どうやってそれを手に入れたかは定かではないが、重要なのは、それを見落としていたということだ。
「つ、妻を、妻をどうする気だ」
「それは、交渉のテーブルについた時のお前の態度次第で決まる」
「や、やめてくれ。妻のお腹には子供が……この年で、やっと授かった命なんだ……」
「知るか」
すっかり気を削がれた初老の男を、冷たく突き放す。
「命乞いをするのなら、果たすべき義務を果たせ。そう、この私と交渉し、冷静に『話し合う』という義務を。それを忘れるな」
決定権はこちらにあるのだと、そう暗に伝えていた。情に訴えかけるような哀願など、ボルケイノにとっては、そよ風よりも意味を持たないものだった。
交渉とうそぶきながら、自分の要求だけを突き通すことを前提とし、それを実現するためにはどのような暴力手段にも躊躇なく打って出る。相手の意見や主張を柔軟に受け入れることを許さず、不誠実な対応を取り続ける。
それだけ見れば典型的な社会病質者と言えたが、そのくせ、行動には一貫性があるから複雑だった。手段は凶悪且つ暴力性に満ちていたが、あくまでそれは計画に基づいてのことであり、次にどう行動するかの明確な判断基準が彼の中にはあった。それは無軌道な暴力に身を委ねるのを良しとし、無計画に騒乱を巻き起こそうとする反社会性パーソナリティ障害を持つ者には無い資質だった。
また、他者への共感能力が欠如している一方で、理想郷を築き上げるという熱狂的願望を、志を共にする仲間たちと見事に共有し、完璧な群れとして統率しているのも、社会病質者には見られない傾向だった。
これらの一風変わった資質の原点――暴力の渦にのめり込むのではなく、あくまでそれは交渉や事態打破のための手段に過ぎないと割り切り、それ以上でもそれ以下でもないとする思想。人外の怪物を相手に戦闘経験を積んだ末に得た学び。
怒りや憎しみをむやみやたらに噴火させては、自身もそれに呑まれることを、この男は知っている。それがどれだけ愚かしく、身を滅ぼす行為であるかも。
社会不信から都市を憎むようになってもいいが、そこから湧き上がるパワーの使い道を常日頃から考えるべきであり、パワーの矛先に価値や意味を付与すべきだという信念を、荒涼とした灰色の瞳の奥から覗かせている。それは、快楽を欲する者の眼差しからは遠く離れていた。負の感情をダイナマイトのように見境なく爆発させ、ナルシスティックな被害者意識を悪戯に加速させ、暴力行為そのものを目的とし、それがヒートアップしていくことに身を委ねる破滅者タイプでは決してなかった。
この複雑怪奇なボルケイノのパーソナリティを、イーライが理解することはついぞなかった。彼は、患者の健康状態を探査するという名目で、実際はそこで得られたデータを企業連合体に横流しすることで、医療と軍事の複合技術を生み出す事に強い興味を惹かれていただけだった。表向きでは治療とうそぶきながらも、彼には医術に携わる者としての倫理観が欠如していると言えた。
「さて、それでは交渉といこうか。まず一つ、今すぐにこの目障りな呪いを解け。二つ目は……まぁ、言わずもがな分かるだろう」
「……データか」
「そうだ」
「……要求を呑めば、妻を解放してくれるんだな……?」
「無論だ。我々もそう暇ではないからな。同志たちを素直に撤退させるとしよう」
灰色の眼差しが告げる。イーライは絶望に染まった表情で項垂れた。右手に握った携帯を切らず、そのままスピーカーホンに切り替えて机に置き、左手を無意識のうちに固く握りしめる。
熟慮は許されない。時とも呼べぬ時の中で、懸命に思考を働かせるしかない。しかし意識すればするほど、焦りにも似た感情が膨らんでいく。
私人としてあるべきか。公人としてあるべきか。
妻の恐慌に満ちた声が、脳の襞にこびりついて離れない。ここに誰もいなければ、頭を抱えて、滅茶苦茶に喚き散らしたいところだった。
苦悩に喘ぐイーライを、ボルケイノは無言で見下ろし続けている。この恐るべき反逆者は、早く答えを出すように急かしたりはしない。だからと言って、ゆっくり考える時間を与えるような甘さは決して持ち合わせていない。ただ、ジャケットに覆われた肉体のあちらこちらから無言のプレッシャーを放射し続けるだけだった。
無言の恫喝。それが、自分たちの望む答えを相手から引き出すのに、最も効果的なやり方だと知っているかのようだった。
「……地下だ」
見えないプレス機で心と思考が圧し潰されていくのに耐えかねたのか、イーライは降伏宣言とも取れる呟きを漏らすと、覚悟を決めたように柏手を打った。ボルケイノの身体にまとわりついていた無数の黒い手が、するすると移動し、何事もなかったかのように、畳の縁へと還っていった。
「屋敷の地下に……私設研究フロアがある。そこのサーバーにデータの一切合切が蓄積されている」
「具体的な場所は?」
すっかり肩が凝ったと見せつけるように、わざとらしく腕を回しながらボルケイノが尋ねる。
「屋敷の裏手にある、枯れた井戸だ。そこにフロアへの入口がある。電子ロック式だ」
「なら解除用のカードを」
「その前に、妻の安否を確保する方が先だろう。ムルシエラとアトラスをすぐに遠ざけてくれ」
精一杯に声を張り上げる。交渉と言うからには、こちらの要求も聞いてもらわなければならないという態度だが、ボルケイノは涼しい顔で反発した。
「駄目だ。私の言葉を忘れたか? データを渡せ、と言ったのだ。データの在処を教えてくれとは一言も口にしていない。カードを渡して初めて、データの譲渡と同義とみなす。この一点は断じて譲れない」
「わ、わかった」
心のどこかでは要求を突っぱねられると予感していたのか。イーライはあっさりと折れて、文机の脇に置かれた小さな棚の、上から二番目の引き出しを開けた。
その様子を、ボルケイノは注意深く観察した。血迷ったイーライがカードの代わりに物騒な何かを手にする可能性は、無きにしも非ずと考えているのだろう。そうなった時、どうやって解除カードを奪取するかまで計算しているに違いなかった。
引き出しの奥には、護身用の拳銃が置かれていた。弾は入っているが、安全装置は作動したままだ。鈍く黒い光を放つそれに一瞬視線を寄こしながら、イーライは引き出しの手前に置かれた、電子ロック解除のカードを手に取った。
ボルケイノはカードを受け取ると、しげしげとそれを確認した。ただ見つめているだけではない。機械化された眼球に搭載されたサーチレーザー照射装置が、カード内部のICチップを非破壊検査していた。対鬼血人戦において、複雑な地形を立体的に把握したり、味方の仕掛けた電子的トラップに引っ掛からないようにするために備わったサイボーグ能力の一つだった。
「どうやら本物のようだな。それでは……」
ジャケットのポケットにカードを仕舞い終わった刹那、ボルケイノの右足が鞭のようにしなった。文机が盛大な音を立ててひっくり返り、携帯電話が宙を舞った。それが畳の上へ落下した時には、すでにボルケイノはイーライの喉を左手で掴み、軽々と持ち上げて壁に押し付けていた。
イーライはかっと見開いた目に驚きと憤怒を凝縮させ、荒い呼吸を繰り返しながら滅茶苦茶にもがいた。だが機械化されたサイボーグの腕力が、その程度でどうにかなるはずなどなかった。
「さらばだイーライ・サンドリア。貴様のもう一つのミスは、交渉のテーブルに、貴様自身の命を差し出さなかったことだ」
ボルケイノが右手を構えた。手の平から銀色の煙が湧き立ち、収束し、鋭利な杭を象る。その機能不明の武器を、イーライの汗に濡れた額めがけて、槍のように勢いよく突き出した。
しかし穿たれることはなかった。杭の鋭い先端部が額を貫こうとした直前で、ボルケイノは異変に気付くと、ピタリと動きを止めた。急制動。凄まじいほどの肉体コントロールが為せる技だが、それよりも驚くべき現象がイーライの肉体に起こっていた。
ボルケイノはまじまじとイーライの表情を観察した。大きく口を開けて恐怖に引き攣った彼の表情は凍り付き、瞳からは一切の光が喪われていた。細い喉を掴む左手に、じわじわと冷水が流れ込むような感覚があった。
ぱっと手を離すと、イーライは崩れるようにその場へ倒れ込んだ。ピクリとも動かなかった。見たところ外傷はない。だとすると心臓発作による突然死か。極度の緊張下によってそれが誘発――いや。
ただちに右手に展開している能力を解除。宙に霧散する銀の粉塵はそのままに、一目散へ庭へ飛び出して周囲を確認する。
「……逃げ足の速いことだ」
人の姿は皆無だった。
〈ヴィィイイイイイイイイイイン!! ヴィィイイイイイイイイイイン!!〉
〈ブッた斬って刺す! ブッた斬って刺す!〉
漫然とした意識の中、電脳回線上で警報のように同胞の声が響き渡る。ボルケイノは周囲への警戒を怠ることなく、交渉の末に手に入れたアイテムの感触をジャケット越しに感じながら、現状を報告した。
〈目的のモノを破壊する鍵は手に入れた。イーライも死んだ。これでもう、我々の行進を邪魔する者は完全にいなくなった。そっちはどうだ〉
〈ヴィィイイイイイイイイイイン!! ヴィィイイイイイイイイイイン!!〉
〈ブッた斬って刺す! ブッた斬って刺す!〉
〈うむ、それでいい。遺恨を封じる最適解を、お前たちは選択したのだ。これで問題は全て排除したが、一つ気になることがある。イーライは何者かの手で殺された。手段から想像するに、恐らくは呪学療法士だ。私もその場にいたが、命を取られなかったということは、我々と敵対する意思はないらしい。そちらは後回しにして、いよいよ《天嵐》としての戦いを開始し、願望授受体の奪取といこうか〉
〈天国だよ! 天国だよ! キヒヒヒヒィイイイイイイ!!〉
〈ピアフ、ナイスだ。場所を中層の商業区域まで絞り込んだな? そこに我々の理想郷の礎となるべき者がいるわけだ。対象を捕捉したらマーカーを付けるのを忘れるなよ。それで、鬼血人狩りの首尾はどうだ?〉
〈天国だよ! 天国だよ! キヒヒヒヒィイイイイイイ!!〉
〈そのまま補助を続けろ。ヒートアップ過ぎるがあまり、本来の目的を忘れるなと皆に伝えておけ。それと、緊急着陸所の駐車場から手ごろな電動カーをハックし、それを逃走の足に使うよう助言しておけ。合流地点はこちらで指示する……苦戦しているのか? 必要ならムルシエラとアトラスを向かわせるが〉
〈天国だよ! 天国だよ! キヒヒヒヒィイイイイイイ!!〉
〈分け前が減るから嫌だと、皆が言ってる? まったく、驚嘆せざるを得ない戦闘本能だな。いいだろう。目的を忘れない限り、存分に暴れるようにと伝えておけ〉
会話がきりのよいところを迎えたところで、ボルケイノは反射的に耳元を払った。そこに、人間なら誰しもが不快に感じる、小さな襲撃者の羽音を感じたからだった。




