3-4「だんごむし」(4P)
「…………あぁ~~~~~あぁぁぁああああ!」
「……ミリア?」
「うそでしょもうヤダもう死にたい、アアアアアアアアアアアアアア……!」
(『ミリア?』じゃないよ馬鹿アアアアアアアアアアアアアアアアうわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ)
ナカで湧き出し大暴れする恥ずかしさに耐え切れず
ずるずると床に座り込み、擬態するのはダンゴムシだ。
盛大な一人芝居を目撃されたのだ。
その恥ずかしさと言ったら、言葉にしがたいものがある。
(────しっ。
…………シニタイ…………ッ!)
体内で絶賛開催中の『羞恥心による運動会』。
副作用で床をごろんごろんと転がりたくなるのを必死に抑える彼女を
────追いかけるように。
カウンターを覗き込み、問いかけを浴びせるのは、エリック・マーティン。
理性に生きる男である。
「…………なあ、ミリア?
『スフィー』って誰?
見たところ、店の中には誰も見当たらないんだけど」
(────やめろ)
「……スフィーさん、って……、え?
……いや、そんなはずはないよな……」
(…………チガウ。)
「────なあ、君、大丈夫か?
疲れているなら休んだ方がいいと思うぞ?」
「………〜〜〜〜〜〜ッ……!」
「…………ミリア?
…………えーと。
どうした?」
(聞くなアアアアアアアア…………ッ!)
エリックの無情な問いかけに
ぷるぷると震えるミリアはしかし
ダンゴムシに擬態しながらも
言葉を
絞り出した




