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9-1「……なあミリア。俺は、割と何でもできる方だったんだ」 (8P)



 ミリアは悩まし気に、エリックの指先でべったりと張り付く水(球と表現できない)を凝視すると、




「……技術の問題(・・・・・)なのかな(・・・・)? 気持ちじゃない? 気持ちが固すぎるんじゃない?」

「──────どーせ俺は堅物だよ」

「あああああああああああもううう、そんなこと言ってないじゃん!」






 ──瞬間。

 むすーっと拗ねて魔術を解除したエリックに、ミリアは間髪入れずに声を上げた。


 こちらがせっかくフォローをいれたというのに、この返し。

 めんどくせえ男である。


 気持ちを顔に出すようになり、前にも増して遠慮なくモノを言ってくるようになったのはいいのだが、捻くれへそを曲げられるのはいただけない。


 なにしろミリアは──こういうタイプのフォローが、一番苦手だからだ。



(あ、あんま得意じゃないんだけどなぁ~っ! こういう、『不貞腐れたヒトによしよしして良い子良い子してヤル気出してもらう』やつ~ッ!)




 ──と、声なき声で騒ぐ彼女の中。

 瞬時に浮かび上がるのは──この後の展開のいくつか。


 『自分が云ったセリフに対し、エリックがどう返すのか』。瞬時に現れ、《見えてくる》。




例えば(・・・)ですよっ? おにーさんに──)


 『そんなことないよ♡』(間に合わせのフォロー)

 →「見え透いた嘘を吐くな」



 『そーだね固いねカチカチだね』(煽り気味の事実)

 →「ああ、そうだよ堅物だよ悪かったな。君の方は随分緩そうだけど? そんなだから古語もまともに理解できないんじゃないか?」(自認と嫌味の倍返し)



 『もう、子どもっぽいのやめてくれる?』(辟易)

 → 「君が頭固いとか言うからだ」

   「言ってないじゃん」

   「「気持ちが固い」って言ったろ」

   「だからそれは使う時のアレd」

   「同じだろ、ああもう、どうせ俺は堅物だよ」


   「ああああああああもおおおめんどくさい!」

   「面倒くさいってなんだ!」

   「めんどくさいやつにめんどくさいって言って何g」


(ああああああああああああああああああ喧嘩になるううううううううううう駄目だあああああああああああああ~~~!)





 ──勝手に言い合いを始める自分たちの分身に、ミリアは頭を抱えそうになるのをぐっと堪え、唸り声をあげた。

 


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