3-3「陶器の仮面」(5P)
エリックは、スネークのこういうところも、気に食わなかった。
嫌がることだとわかっていて、平気で踏み込んでくる性格が。
今まで何度こういうことがあっただろう。
静かであからさまな殺気を放つエリックと、しれっとしたスネークの物言わぬ攻防がギルド最奥を支配する。
────音もなく。
張り詰めた沈黙が、じっとりと場に落ちて────
「…………失礼いたしました。
興味本位でしたので、お気になさらないでください」
先に沈黙を破ったのは、スネークの方だった。
「………………」
これ以上は立場の危険を感じたのかどうかは計り知れないが。
さらりとしたその謝罪に、エリックの眼光が彼を射る。
(──……こういうところだ)
何事もなかったかのように資料を見つめるスネークに、エリックは内心吐き捨てた。
────8年。
スネーク・ケラーという男と組んでから、たまに、こういうことが起こる。
そこが否応なしに、エリックの癪に障る。
余計な詮索は、彼のもっとも嫌いなものだからである。
スネークについては、調査の段階で
家柄・出自・経歴・交友関係に至るまですべて調べたが怪しいところは特になかった。
しかし、あまりにも茶々を入れてくるので、どこかのスパイかと疑ったこともあったが、どうも『こういう性格』のようである。
スリルを楽しんでいるのか、刺激を求めているのかはわからないが、──とにもかくにも、エリックはこの男のこういうところも好きではなかった。
内心
(……能力は間違いないのに)と毒づいた視線を送る中、スネークは資料を眺め、フン、と鼻を鳴らすと




