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9-1「……なあミリア。俺は、割と何でもできる方だったんだ」 (P)





「……なあミリア。俺は割と何でもできる方だったんだ」

「……う?」



 青い青い空の下。

 九月も終わりに近づいたころ。

 いつものオリオン平原、石の上。

 二人並んで腰かけながら──エリックは魔法カードを片手に、神妙な顔で語っていた。


 ──本当に、神妙な様子で。



 

「剣術・槍術・体術・勉学だってさ。人より飲み込みが早かったし、出来ないなんてことなかった」

「……ぉん。」


「球技も弓術(きゅうじゅつ)も、初めてだと言ったら驚かれたぐらいできたのに」

「………ぬん。」



「くそ……魔法が浮かない(・・・・)……、理屈は頭に入っているのに。イメージだって出来ているのに。形にはできても放つことが出来なきゃ使えないのと同じじゃないか……!」

「………………」



 自慢なんだか苦悩なんだかわからない言葉選びで悔しそうに顔を歪めるエリックに、ミリアは顔面を平たく伸ばし沈黙した。


 非常に微妙な気分である。


 本人は相当真面目なのだろう。

 本気で悔しいのだろう。


 しかし。

 自慢にしか聞こえないのだ。

 エリックはそういうところがある男だった。


 

「クソっ……! なんで浮かないんだ……! 間違っていないはずなのに……!」

「ぬん」


「理論は完璧だ! 頭に叩き込んだ! くそ……! どうしてだよ……!」

「ねん」

「なあ、ミリア? どうしてだと思う?」

「……のん」



 心底悔しそうな顔で問うエリックに、ミリアはもはや、適当の頂点に君臨するトーンで音だけを返していた。


 まあ、こんな返事をすれば、エリックがむっとして返してくることは解っている。「教えてあげようか」と言ったのは自分だし、今の自分の態度がよろしくないこともわかっている。


 ──わかっているのだが──




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