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掲示板の皆さま助けてください  作者: いそがばまわる
5.迫りくる、アサシン
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新たなる力

通常営業の5章、はじまります。

 今日、宅配便が届いたんだ。僕宛だったんだ。なんか、大きな箱だなぁと思ったんだ。

 当選のお知らせとか書いてあったんだ……そう、箱の中にはパソコンが入っていた。


「まさか本当に当たるとはなぁ」


 最初当選画面を見たときはビビったよ。

 ちまちまと回し続けていたけど当たったことで、ようやく環境が改善された。今まで使っていたパソコンより性能は上だし。


「いやぁ、でもおかげでラグにおびえることもなくなるんだね。いつか処理落ちするんじゃないかって恐怖からも解放される……もっと華麗に動けるようになるのか、楽しみだなぁ」


 まずはセットアップと、セキュリティソフトのチェック――の前にリカバリーディスクを作らないとマズいか。あと、バックアップの作成とデータの移行と……先にデータの移行のほうが先か? とにかく、やれるだけやってみようと作業を進める。

 更新やらなにやら時間がかかるが、特に問題もなく順調に作業は進んでいた。

 他には……あれ? これ、今日中に終わるのか? もうすでに18時をまわっているんだけど。


「……すでに、データの移行のために前のパソコンは使えない。そして、新しいパソコンもまだ使えない。当然だね。そして、この時間……今日はログインできるのかコレ?」

「ゆっくん、今日は晩御飯一緒に食べるのよねー!」


 部屋の外から母さんの呼び声が聞こえる。

 我が両親はネトゲで知り合って結婚しただけあって、息子がゲーマーであっても気にはしないが、なんというかその……僕の両親なので性格面は非常にアレである。

 今日はパソコンのセットがあったので、両親と共に晩御飯を食べると言っていたので、今更無理とか言い出したら何をされるのかわからない。

 まあ今は放置するしかないしおとなしく部屋から出ていくが。

 リビングまで行くと、すでに父さんも椅子に座っていた。


「あれ? 父さん、今日は早いんだね」

「ああ――パパ、今日は頑張っちゃった」

「何をだよ……」

「ママも頑張ったのよ――今日は、町内会の人たちでクエストガン回しして逆鱗とか宝玉とかを回収しきったわ」

「狩りゲーじゃねーか」

「パパも会社で部位破壊の鬼と呼ばれたよ」

「狩りゲーじゃねーか」

「だが、武器ごとに壊せる部位が違うというのはやめてほしい。全部位破壊が難しいというのは、辛いものなのだよ」

「知らんがな」

「ねえパパ、二人目欲しくない? ゆっくんに弟か妹でも」

「そうだな」

「やめてくれー、身内のそういう話聞きたくないんだけどー」


 というか、一回り以上はなれた弟か妹ってむしろどうしていいかわかんないんだが。


「やったわねゆっくん。家族が増えるわよ」

「それ、アウトなネタじゃなかった?」

「むしろ家族を増やすわねと言うべきでは?」

「――パパ、家族を増やすわよ」

「ほんと勘弁してください。身内のそういう話聞きたくない」

「大丈夫だ、お前はパパとママの息子だ。いずれ知る時がくる。変人の子供は変人なのだと」

「はいはい、そのセリフも聞き飽きました」


 事あるごとにそれ言ってくるんだよなぁ。

 その後に具体的には嫁の顔を見せに来るときに、と続けるのがお決まりだ。


「それじゃあ、本日のメニューはドネルケバブよ」


 目の前に巨大な肉の塊が出てきた。


「なぜ!?」

「何が不満なんだ? おいしそうじゃないか」

「おいしいかおいしくないかが問題なんじゃない。なんでドネルケバブなのかを聞いているんだよ」

「ママの愛情を大きさで表現してみたわ」

「重いんだよ、物理的に!」

「ゆっくん。ママを困らせるんじゃない!」

「…………わかりましたよ」


 こういう、明後日の方向に愛情を注いだ料理を作るから僕は普段自分の分は自分で作っているんだよなぁ……パソコンの設置作業をしなくてはいけないから、作る時間がなさそうだからって頼んだが……頼まなかったほうが良かっただろうか?


「……っていうか処理できるの? この量」

「おいしいから大丈夫よ」

「いや、そういう問題じゃないから」

「たんと召し上がれ」

「……いただきます」


 断ることはできるはずもなく、目の前に出された料理を食べるしかなかった。

 大量のブツを腹の中に収め、部屋に戻ってきたわけだけど……腹が苦しい。

 さすがにあの量を片付けるのは無理だったが。翌日の朝食とかになることだろう。あとはご近所さんに配る可能性もあるな。


「っていうかどうやって調達したんだあんなもの……」


 そして、パソコンもまだ準備ができていない……というか時間かかりそう。

 仕方がないので、本でも読んで時間をつぶしておくが……ふと思った。


「VRマシンの設定とかもやり直さないとダメなんじゃないのコレ」


 BFOに対応しているVRマシンは複数あるが、僕が使っている物はヘッドギア型のデバイスと、両手首と両足首に装着するリング型の信号を受け取る機械を使ったタイプだ。

 詳しい説明は難しいので省くが、電気信号を送受信するためのものだと思ってもらえればいい。


「…………今日、ログインできるのかこれ?」


 不安に駆られたが、どうにもできない。

 その後、パソコン側の設定は終わったが今度はVRマシンの設定のし直しに時間がかかることになってしまう。

 急いでセッティングと、あとゲームのクライアントのダウンロード…………


「ああああああああ!?」


 まだ時間はかかりそうであった。


 @@@


「ひ、日付が変わる前に滑り込めたけど……さすがにみんなはもういないよなぁ」


 なんの連絡もなくログインしなかったのを心配したのか、メールがいくつか届いている。アリスちゃんと、ライオン丸さんからだな。まあ、文面は突然どうしたのかということについてと、祭りで使った飾りつけは村の共用倉庫に自動的に戻ったという話か。

 とりあえず返信と、アイテムの確認を行う。というか時間が時間だしもうログアウトしようかなと思ったが、ふと気になってフレンドリストを確認した。


「特に誰もログインしていないな……ニー子さんとポポさんすらインしていないとか」


 もしかしたらまた連続ログイン時間がヤバくて落とされたのかもしれないけど。

 でも、そうか……知り合いが一人もログインしていないのか。

 なんていうか、久しぶりだな。誰もいない、本当にソロの状態ってのも。


「…………なんだろう、楽しくなってきた」


 人はそれを深夜テンションと呼ぶ!


「それに、体を動かす感覚も変わっているかもしれないし……現に、今までよりも周りが明るく見える」


 ただいまの時刻は現実世界で日付が変わる直前。ゲーム内の日の動きは4時間で一日分なので、ゲーム内でも日付が変わる直前の夜空であった。

 そのため、普段なら相応に暗いはずなのだがいつもよりも明るく見えるのだ。というか、周りがハッキリと見える。


「まさか、パソコンの性能差がここまで大きな代物だったとはッ」


 見える、見えるぞ――僕にも敵が……いや、村の中だから敵はいないけどハッキリ見える!

 そんな感じでテンションが振り切れて走りだそうとした、次の瞬間だった。いつもよりも素早く動く体についていけず、バランスを崩してすってんころりんとグルグルと転がっていってしまった。


「うわああ!?」


 目の前の木に激突し、ダメージを受けてしまった。

 予想以上に体のコントロールが利かない……その後、何度か体を動かしてみるものの、思うように動かないんだが。

 立ち上がろうとしても思った以上に体がすばやく動いてしまい、まるでバナナの皮を踏んだかのように天高く僕の体が舞い上がった。

 お星さまがキラキラ輝いてる(笑)。


「ノオオオオ!?」


 @@@


【新たなる力】誰か、助けてください【身を亡ぼす】


1.黒い村長

 パソコンが新しくなって、反応速度が上がった僕であったが――予想以上に体が動き過ぎてシンクロ率が低くなってしまった

 誰か、ヘルプミー


2.名無しの剣士

 こんな時間に誰かと思えばw


3.名無しの盗賊

 なんでこの時間に村長さんだけ


4.名無しの盾使い

 魔女さんとフレンド登録しているけど、今インしてないあたり村には村長だけ?


5.黒い村長

 パソコンの設定していたらこんな時間になってしまったの巻

 地面に突っ伏しながら助けを求めている次第


6.名無しの盗賊

 いや、どないせぇと


7.名無しの盾使い

 さすがにその状況に対する答えは無いなぁ


8.黒い村長

 そんなこと言わんといて、助けてください


9.名無しの剣士

 頑張ってシンクロ率を上げるしかないのでは?


10.名無しの魔法使い

 気になって見に来てみたら村長さんのスレかよw


11.名無しの狩人

 村長は増えたのに、いまだに村長さんって言うとこの人のことなんだな


12.名無しの盗賊

 盗賊仲間だけど、あの人この間の一件でしか【村長】は使っていない


13.黒い村長

 そもそもステータスは他職業に比べてダントツに低いから。【村長】のレベルが40の時は全能力値倍率1.02倍とかそのぐらい


14.名無しの剣士

 ひっくいな

 あ、だから爆弾とかのステータスに影響ほとんど受けない攻撃方法なのか


15.名無しの魔法使い

 もしかして旅人よりも低いのではないだろうか?


16.黒い村長

 そんなことより、現状の解決法をお願いします


17.名無しの盾使い

 うーん、今どこよ?


18.黒い村長

 ヒルズ村の自宅前


19.名無しの盾使い

 そもそもそのあたり行けなかったから無理だわ


20.名無しの盗賊

 同じく


21.名無しの魔法使い

 今、真西にある孤島にいるから無理だわ


22.名無しの剣士

 近くにいるけど、アクア王国地下牢脱獄クエスト中


23.名無しの狩人

 ロリ巨乳さんたち以外にもアレをやる人がいたのか


24.黒い村長

 アレかぁ……正規の方法知らないけど、クリアできるの?


25.名無しの剣士

 そもそも強制レベル1でスキル使用不可の時点で、何かしらの攻略法があって当たり前

 アレだ。脱出ゲームみたいなものだから、ちゃんと探索して順序良く進めて行けば突破できる

 ただ、非常に面倒だから今3回目


26.名無しの盗賊

 クエストも結構な数攻略されているからなぁ

 見つかっていないのも大分少なくなったんじゃないかな


27.黒い村長

 クリアしたクエスト

 村長就任、アクア王国大聖堂、料理人転職、あとはギルドで受けられるお使い系

 …………うそ、私のクエスト攻略数少なすぎ?


28.名無しの狩人

 それは少なすぎるわw


29.黒い村長

 あ、橋建設もやったんだった。まだあったよ


30.名無しの剣士

 それでもギルドで繰り返し受けられるヤツ以外で10個以下って時点で少なすぎるわ

 他にクリアしたのがあって忘れていたとしても、たぶん2ケタいっていないよな


31.名無しの盗賊

 村長ェ……


32.黒い村長

 oh……


33.名無しの魔法使い

 普段どういうプレイしているんだろうか……


34.黒い村長

 普通のプレイのハズ(´・ω・`)


35.名無しの剣士

 普通の自覚、ある?


36.黒い村長

 無い(`・ω・´)


37.名無しの盗賊

 自慢げに言う事じゃないw


38.名無しの剣士

 一瞬で意見を変えるんじゃないw

チェシャーとの対決の流れはそのままに、対決理由はかえるかも。


自分でもさすがにエグくしすぎたよなぁとは思っている。


ひとまずは今のままで進行しますが。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] もしかして詫び石ならぬ詫びPCなんだろうか?
[一言] 個人的には読み物なんだからこのままで良いと思うけど。
[良い点] 掲示板の雑談 両親の変人具合がすぐわかること [気になる点] 自分は内容に満足しております。 印象なんて受け手それぞれですし、ひとつのエピソードで180度変わってしまうこともありますので、…
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