本日のゲストはロポンギーさんです
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今日は放送席にゲストとして呼ばれた。アリスちゃんはこっち側には不参加予定で、今日も何やら決意を秘めた瞳で武者修行の旅に出ていた。
他の日では前のポポさんもそうだが、銀ギーさんやイチゴ大福さんなども呼ばれている。ちなみにニー子さんはこちらには参加していない。
「というわけで、このオレMCマキシマーと先日も大暴れしてくれたロポンギー君に来てもらったぜチェケラ!」
「これ、どういうノリなのか」
「あと、ロポンギーよりも村長さんのほうが名前が有名なのはご愛敬だぜ」
「それ言っちゃうの……」
近くで会話すると、結構なインパクトある外見しているよなマキシマー。というか今日は特にヤバい。虹色のアフロに星型のサングラス。そしてキラキラしたスーツ。目に痛い。
「ところで相方のアリスちゃんはご不在で?」
「元々こっちには不参加予定ですよ。それに、鍛え直すとかで古代遺跡に突貫していきました」
「うわぁ……あそこ、今後もストーリー的に重要な位置に来るからなるたけ高難易度にしてあるんだよなぁ」
「でも結局難易度下がってませんでしたか?」
「ああ、さすがに攻略できないんじゃないかなって話でねー。最初の頃は手探りでいろいろとやっていたから……もうすぐうちの会社も別タイトルのサービス開始するからね。すでにベータ版は終わっているけど」
「へぇ……」
「フルダイブ型VRゴルフゲーム、『ファンタスティック・ゴルフVR』は2月20日からサービス開始ですよ!」
「ここで宣伝するのか……」
「さらに、コラボイベント開催決定! 同一アカウントで双方のゲームをプレイすることでコラボアイテムをプレゼント!」
「……フルダイブ型でその手のイベントってログイン時間とかどうなるのか」
「もちろん、共通だから長時間プレイはできないぜ!」
「自ら煽っていく、だと」
「ちなみにゲームエンジンは同じものを使っている上に、キャラクターデータを読み込めるからボトムフラッシュオンラインのキャラデータをそのまま使うことも可能だぜ。正確にはアカウントのデータからキャラ情報を引っ張ってくるんだけどな」
「へぇ」
ウィンドウがいくつか表示され、ゲームのスクリーンショットなどを含めたスライドが表示される。配信を見ている人たちはこのスライドを見ているので、僕も目を通しておくが……まあ、普通の内容しか書かれていないな。
「っていうか、ゴルフゲームなのに特に変わったことは無いのか」
「……ゴルフゲームだよ?」
「いや、ボールがジェット噴射して飛んでいくとか月面でゴルフするとか平気でやるかなーって」
「いやいやいやいや。いたって健全なゴルフゲームだから。服装はいろいろと用意しているけど、ゲームシステムっていうか、ルールは普通のゴルフだよ。まあ、コラボ企画とかで背景がファンタジーなコースとかは用意するだろうけど、特殊なギミックとかは搭載しないかなぁ」
「それはそれで普通過ぎるような……」
「まあ、そこは実際にやってみてのお楽しみってことで!」
……気にはなるけど、コラボアイテムの内容次第かなぁ。こっちも基本プレイは無料だから遊ぶこと自体はいいが……ログイン制限、合計時間になるからBFOのプレイ時間が減る――いや、同じことしていてもメリハリがないし、ちょっと手を出してみるぐらいはするか。
他にも今後のガチャアイテムについてとか、新職業とか……うーん。
「どうよ、ロポンギー君的には面白そうな職業とかあるか?」
「……あ、これ気になる。道化師」
「曲芸スキルを扱う魔法使い系職業ですねー。動き回って魔法をばらまくのが基本スタイルの職業ですよー」
「遊び人とは関係ないのかー」
「まったくないっすねー」
見た目に反して普通に実用性高そうな性能っぽい。
他にもちょろちょろと面白そうなのはあるが……なんだよハガキ職人って。え、どうやって戦うの? 気にはなるけど、目の前でガーディアンと挑戦者の戦いが始まってしまった。
今日のガーディアンは……ニー子さんか。
「なんかニー子さん出番多くない?」
「ガーディアンでの登板数は最多です」
「マジか……それで通常戦にも参加しているってログイン制限どうなってんだよ」
「……ガーディアン戦の時は、モーションキャプチャーとARで実際に動きながら戦っていると言ったら、どうする?」
「マジで!?」
「さすがに冗談でーす。ポポさんとか実況に参加する時は使っていますが、ニー子さんの場合はマジで限界ギリギリで遊んでいるだけ」
「冗談を挟む必要があったのか……」
「いいリアクションしてくれるから、話題ふりやすくてねー。で、ロポンギー君から見た対戦の様子はどうよ?」
「うーん……わかってはいたけど、ニー子さんはアホみたいなプレイ時間を誇るからなぁ」
ログイン制限の時間も連続6時間ではあるが、休息時間を挟むことで1日に遊べる時間を増やせるには増やせる。さすがにそこまで私生活捨てたプレイはしていないので詳しいことは知らないが。
ニー子さんは理論上の限界時間に近いプレイ時間らしい。
「やっぱり知識量がすさまじいから、スキルの発動エフェクト見ただけでなんのスキルかおおよそ分かっているみたい」
「たしかにアレは分かっていないとできない動きだからねぇ。発動の瞬間に軌道を予測して回避しているよ。いやぁ、蛇腹剣を渡したのは失敗だったかね。普段から鞭使いだから慣れている」
「今更言っても仕方がない。ただやっぱり、ステータスが低いから全体攻撃に弱いなぁ」
ある程度対策法も確立させられており、ひたすら防御して『ファイナルモード』の制限時間まで粘るか、全体攻撃魔法でダメージを与えて地道に削る戦法を使うプレイヤーが増えた。
さすがに同じ戦法ばかり使われたら対策のひとつやふたつありそうなものだけれども……ニー子さんの動きが変わっていないのは何故だろうか。今も全体攻撃でちまちまと削られつつ距離を詰めているのに、相手プレイヤーは逃げ回って時間を稼いでいる。
「変わっていないというか、変えられないんだろうなぁ」
「どういうことで?」
「いや、どうしても職業専用スキルの類なんかは覚えられないし、【旅人】自体上位スキルは覚えられないって制限があるのよ」
「あ、そうなんだ」
「だから、実は機動力があまりない。蛇腹剣も射程範囲があるから距離をとられると……ね」
「あー」
「MPも決して多いとは言えないので、ジェット移動しようものなら逆にピンチになる可能性もある」
けっこうな縛りプレイだったのか、ニー子さん。いや、初期職業だけで遊んでいるんだから当たり前といえば当たり前のことなんだけど、ソロ部門トップ3の名があるから意識の彼方へ行っていた。
というか、こうやって公衆の面前にさらされて弱点暴かれているけど、いいの?
「その分、通常PVPでは大暴れしているからね……邪悪なほどに」
「確かに、悪役みたいな高笑いを上げて対戦相手を殲滅していたなぁ」
あれでニー子さんもガーディアン用に本来のキャラよりスペックダウンさせたうえで使用武器とスキルを制限しているからね。その分溜まったフラストレーションを別のところで解放しているのだろうが。
結局、今回のニー子さんの戦績はそこまで振るわない感じで終わったのだった。
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アリスです……古代遺跡を攻略して、意気揚々と村に帰ってきたら恐ろしい事態が進行していてどうすればいいのかわからないとです。
「みょーんちゃん、なかなか楽しいお友達がいるじゃないの」
「先輩たち、みんなも困惑しているのでお手柔らかにお願いします」
「はっはっはっはっは」
「いや、ダンディー先輩も笑っていないで何か言ってくださいよ」
「今の私は『命を大事に』だ! 間違えないでもらおう」
「なんでそんな名前にしちゃったんですか……」
みょーんさんが疲れた顔をしているです。そして、アリスは何故こんな最悪なタイミングで村に帰って来てしまったのでしょうか?
やはりよぐそとさんと桃子さんはログインしていませんが、他の皆さんは来ているです。公式放送のゲストに呼ばれたお兄ちゃんを除いて。そして、そのタイミングで推定お兄ちゃんのご両親襲来。
「アリスちゃんー、どうかしたのー?」
「この無情な世の中を恨めしく思っていたです。なんでこんなにややこしいことになったのか」
「え、本当にどうしたの」
ディントンさんが普段のキャラを忘れてマジ声で聞き返すぐらいには切羽詰まった顔をしていたです。
だって、アリスの手に負える範囲をはるかに超えているですよ。幸いなのはお兄ちゃんがここにいないこと――いえ、むしろいないからこそ被害が大きくなる予感がするです。アリスに出来るせめてものことは、お兄ちゃんとこのお二人の関係性について悟られることなく、この緊急クエストを終了させること。
幸い、お母様のほうは先日お兄ちゃんと対戦した際に息子ではない、と思った様子なので今のところは大丈夫。お父様のほうは……下手に聞くと感づかれそうなので何も言わないのが吉と見たです。
「これは、かつてない死闘になる予感です」
「え、本当に大丈夫?」




