そもそも討伐じゃなくて、ダメージ数に応じて報酬が手に入るデザイン
予約投稿うまくいかなかったので、フライング更新してしまっています。
意図せずですが、連続投稿なので本日2話目。
22日は更新しません。
【ぶっ壊れ性能も】武神サンタクロースについて語るスレ【大概にしろ】
239.名無しの剣士
無理無理!? これ死ぬ! 死ぬからアッー!?
240.名無しの盗賊
運営は何を考えてこんな化け物を実装してくれやがったのか
241.名無しの狩人
ちまちま矢を射ることでダメージを与えるワイ
これで報酬はもらえるけど……総ダメージ数が少ないとしょっぱいんだろうなぁ
242.名無しのアサシン
頭部にクリティカルヒット! でも死なないんだよね(; ・`д・´)
243.名無しの重戦士
そのあたり検証班が確認済み
そもそもボス的に頭部クリティカル即死はないから
244.名無しの力士
ここまでで分かった武神サンタクロースの情報
大陸中を移動しまくっている。時々同じ場所に10分ぐらいとどまる
とんでもないスピードで暴れまわるうえに、パワーがバカ高いからそれなりにレベルの高いプレイヤーじゃないとほぼ即死する
口からビームを撃ってくる
245.名無しの魔法使い
あんなんサンタじゃねーよ、化け物だよ(´・ω・`)
246.名無しの旅人
このオレが、手も足も出ずにやられるなんて……
247.名無しの探偵
スピードを上げて挑んでみたが、こちらの攻撃コマンドそのものに反応して動いている節がある。というか、AIのレベルが凄いな
プレイヤーの微細な動きにも対応してくるぞ
248.名無しの魔導士
いや、どうしろと?
249.名無しの探偵
真正面から戦えるような猛者でも現れない限りはあまりダメージは与えられないかもしれないな
そもそも、倒せるかは微妙なデザインだな。だからこそ、ダメージ量に応じて報酬が与えられるのだろうし
状態異常は通じるみたいだから、動きを頑張って封じるとか……ただ、特殊な設定だからか古代兵器の効きが非常に悪い。自分強化系以外は通用しない
250.名無しのアサシン
【古代のアックス】で防御力低下できないか試したけど、ダメだった
地道にダメージ稼ぐしかないか……爆弾もプレゼント袋で吹き飛ばされるし
251.名無しの釣り人
誰っすか、こんなアホな強さにした運営は
252.名無しの踊り子
そりゃ、運営だろうニャ
253.名無しの剣士
開発かもよ?
254.名無しの探偵
おそらく、その両方だな……さすがに反対した人もいただろうが
255.名無しの怪盗
実際に実装された時点で追及したところで意味はないんだよなぁ
俺たちに出来るのは、ひたすらダメージを与えて報酬をよりよいモノにすることだけだから
@@@
いよいよ武神サンタクロースとの決戦の時が近づいてきた。
装備確認をしっかりして、ちょっとだけ試しに挑んでみようと思う。どうやら古代兵器が通用しないとのことなので、まずは【村長】にしてドリルで防御力無視攻撃を仕掛けてみたいと思います。先日の砂漠ダンジョンのこともあり、スコップもちゃんと更なる派生強化を施してある。
「というわけで、やってまいりましたただいま昼の13時!」
「掲示板では阿鼻叫喚としているな」
「でも、ダメージを、与えるだけなら、造作も、ない」
「確かにそりゃそうだがな」
今回のメンバーは僕、指輪職人さん、らむらむさんのリヴァイアサン討伐即席トリオである。
らむらむさんは黒髪のエルフで、結構よく会うのだが……今回の装備は和風になっている。どうやら、職業を【忍者】に変えてきたようだ。
指輪職人さんはスキンヘッドで、オーガの特徴である角が目立っていたが……今回は帽子をかぶっているので隠れているな。装備もウィリアムテルか、ロビンフッドみたいな感じのものになっているし。もしかして【狩人】あたりか?
「しかし、このトリオも久々ですね」
「何カ月前だっけか?」
「ハロウィンの、前だから、9月ごろ、だっけ?」
「3カ月前後ぐらい? 思ったより短いな」
「でもいいじゃねぇか。こうして元気な姿を見られたんだからよ」
「それも、そう」
「たしかに――1つ聞きたいんですけど、二人ともなんでメイン職業じゃないんですか?」
「……ダメージを確実に与えたいんだよ」
「こっちのほうが、遠くから、攻撃、できる」
「日和ってんじゃんかよ」
高ダメージ狙いの僕とは対照的に遠距離から攻撃を当ててダメージを稼ぐ算段なのか。いや、否定はしないけどどうせ明日もあるんだから最初は冒険してもいいだろうに。
「こういうのは、後半のほうが、辛くなる」
「まずは確実にダメージを狙うべきなんだよ! わかるだろ!」
「わかるけど、消極的だなぁ……せっかくの祭りだ、楽しまなくちゃ損ってもんさ」
まあ、僕も本命装備は19時ごろにヒルズ村のみんなで武神サンタクロースに襲撃をかけるまで取っておくつもりだけどね。それでも高ダメージを狙う手段は他にもないか考えた上で防御力無視攻撃を仕掛けるんだ。
「というわけで突撃したいんだけど、本当にそろそろこのポイントに武神サンタクロースが現れるの?」
「それは、間違い、ない」
「少し暴れ回って、次のポイントへ走り去っていく。もしくは、飛び上がってソリに乗って遠くへ移動する。それがヤツの行動パターンだ。で、今はソリに乗っているんだが……」
「降下ポイントの予測、このあたり」
「なるほどね」
今現在、僕たちがいるのは大陸中央山脈近くの廃墟となった村だ。以前、ジャックランタンを手に入れたポイントである。ちなみに、特にハロウィン限定とかそういうこともなく、特定時間帯に村に入ればジャックランタンを入手可能であることが判明している。お手軽入手できるから、結構多くのプレイヤーに召喚獣も浸透したわけだけど……
「武神サンタクロースって、炎弱点だっけ?」
「冬の、シンボル的な、存在だから、そう、予測している」
「実際は分からないけどな。いきなりどうした?」
「いや、他の身を潜めているプレイヤーたちがジャックランタンを召喚しているからさ」
位置がバレバレなんだよね。ジャックランタン光るし。
廃墟近くの林に身を潜めているんだけど、結構な数のプレイヤーがジャックランタンを召喚しているからその光でどのあたりにプレイヤーが隠れているかモロバレになる始末……そもそも隠れる意味とは?
「武神サンタクロースはプレイヤーを見つけると、積極的に殴り殺しにかかってくる」
「なにそれ怖い」
「できるだけ、他の人に、タゲを、持って行かせて、自分たちは、ダメージを、稼ぎたい」
「人の醜い部分が浮き彫りになっているじゃないか、クリスマスぐらい和気あいあいとしようよ」
「ネトゲの、クリスマスは、戦場だよ?」
「むしろこうしてお互いに監視し合うことで裏切り者を見つけ次第、悪即断するのが我々の使命なんだ」
うわぁ……あとでアリスちゃんのこととか、桃子さんの頭のネジが外れたことなんかも相談するつもりだったけど、やめとこ。
あと、ふと思ったんだけど……指輪職人さん、いつもは深夜帯にログインなのに今日は昼間からいるんだね。
「俺にもいろいろとあるわけよ……うちにもケーキ、置くべきだったか……いや、でも駄菓子屋で売るもんじゃないような気もするし、されども昨今のニーズに対応するのもまた一つの道なわけで」
「んー?」
「こう見えて、駄菓子屋の、店主」
「あ、そうなの」
というかリアル事情言われても困るんだが……そしてなぜらむらむさんはそれを知っているのか。あまり深く聞かないでおこう。
「とりあえず、時間的にはそろそろ来る頃合い?」
「うん。掲示板の、目撃情報と、予測からすれば、そろそろ降ってくる」
「そういえばさっき降下ポイントがどうとか――」
直後に、ズドンという大きな音が響いた。クリスマス仕様で雪が積もり、真っ白になった風景に一点だけ赤い色彩が浮かび上がっている。
筋骨隆々の体、体からは蒸気のようなエフェクトが立ち上っており、眼光は圧倒的な輝きを放っていた。彼がサンタだと判別できるのは、かろうじて服装がオーソドックスなものだからだろう。だが、奴が赤いのは返り血を浴び過ぎたからではないだろうか……そんなことを考えてしまうぐらい、殺気立った巨大なサンタクロースが空から飛来したのだ。
「え、何アレ」
「武神サンタクロース」
「いや、それは知っているけど……実際に見るとすさまじく怖いんだけど、え、アレと戦うの?」
なんかすさまじい咆哮を上げているんだけど、モンスター的な種別はなんなの? ぶるあああああ!! って叫んでいるんだけど? 迫力が半端ない……茫然としているとグルンッ、と僕たちが隠れている場所とは違う方向ではあったがプレイヤーを捕捉したのか顔がそちらを向いた。
「彼らはもうダメですね」
「さて、戦闘準備開始」
「助けなくていいのかなぁ……」
「ああなってはもう無理だ。まず、開幕一撃喰らわせるからな。さて、いっちょやってみっか!」
「ひやうぃーごー!」
「なんだかなぁ」
二人とも、ネタに走るあたり結構余裕あるな? いや、そもそもゲームなんだしそこまで気負う必要もないか。武神サンタクロースに狙われたプレイヤーは一瞬で消し飛ばされたけど。キラキラとしたエフェクトと共に魂ごと消し飛ばされて……って、蘇生不可なの!?
「ゾンビ戦法対策だな。そもそも蘇生させているような隙は無いが」
「とにかく、コツコツと、ダメージを、稼ぐしかない」
「ってことで俺の新兵器、ボウガンを喰らいな!」
「あたしは、手裏剣」
「あ、戦法は遠距離でちまちまなのね……僕はとりあえず、ドリルで突っ込む!」
「無茶しやがって」
「君の、ことは、忘れない」
縁起でもないこと言わないで欲しい。
そして、こちらを振り向く武神サンタクロース。ただし、眼光はまっすぐに指輪職人さんとらむらむさんを見ていた。基本的に与えたダメージ数が多い相手を狙うのになんで攻撃仕掛けたのだろうか?
ドリルを発動させて、槍スキルによる突撃でダメージを与えようと狙うが――急に武神サンタクロースは狙いを僕に変えた。
「ええ!?」
「使用スキルに応じた危険度で判断するから、油断は禁物だぞー!」
「もう、遅い」
そういうの、もっと早く言ってほしかったなぁ!
でも今更動きは変えられないので、そのまま突っ込む。武神サンタクロースは回避行動ではなく、拳による迎撃を狙ってきたが……よし、たぶん死ぬだろうけどダメージ自体は与えられる!
「あれ? アイツ笑ってねぇか?」
「……そういえば、ドリルは、触っただけで、ダメージが入るから」
「あ」
ハッハッハ! 武神サンタクロースの拳とドリルがぶつかり合う。HPゲージはとてつもなく多いため正直1ドット削れているかなぁってレベルの減り方だが、それでもダメージはダメージだ。ついでに、懐かしの爆弾岩もインベントリから放出する。
「僕自身が、汚い花火だー!」
「アイツ、自爆特攻しやがった!?」
「あ、自爆特攻だから、魂が残った」
――!? うれしい誤算、蘇生アイテムが発動すれば自動復活でもう一回遊べる…………あれ? 武神サンタクロースが赤く点滅しているんだけど、どういうこと?
蘇生アイテムも発動しないし、魂の状態のままいぶかしんでいると奴はとてつもない衝撃波を周りに発生させた。
「範囲攻撃――」
「あ、オワタ」
(まって! 何か僕までキラキラとした粒子になってない!?)
魂の状態のままなのに、消し飛んでいくんだけど――気が付いたら、一番近いセーフティーエリアである小さな農村に立っていた。茫然としたプレイヤーが他にもちらほらと……指輪職人さんとらむらむさんも茫然としている。
「……アレだな。どうにかしてゾンビアタックをしようとしても、ダメだぞってことだな」
「ぐ、偶然なのに……」
「今まで、進んで、使ってなかった?」
「割とぐうの音も出ない」
「運営もいろいろと想定して、対策とってきたな」
たとえ魂が残っていても、蘇生封じがあるってことか……というわけで、今回の戦法から判明したことを掲示板に書き残し、一度ログアウトすることにしたのであった。
後のことは次の戦闘チームが何とかしてくれるさ。防御力無視攻撃が効果あることが分かっただけでも収獲だろう。




