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転生モーツァルトは女子アイドルを目指します  作者: ほうこうおんち
アイドル兼プロデューサーでやってみる
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変な人たち、襲来!

「天出さん!

 貴女広島に行くの?」

 中学校では、相変わらず優子情報には耳が早い武藤愛照(メーテル)が問い詰めて来た。

「行かないよ」

「でも、広島の姉妹グループと兼任するんでしょ!」

「……まだ発表前なんだけどね。

 兼任はするけど、移籍じゃないから。

 東京に居ながら活動するから」

「なんだ?

 ちんちくりん、お前転校するのか?」

「しないから」

「東京に居ながら広島で活動って、通い?

 飛行機代は出るんだよね?」

「新幹線代しか出ません。

……ていうか、なんで話に普通に混ざって来るの!」

 相変わらず、優子と愛照が話してれば、若手ピアニストの堀井真樹夫と、伝統芸能のドラ息子が首を突っ込んで来る。

 なんだかんだ言って、この3人は優子が作曲とか編曲をする事を知っているし、かつ秘密を漏らさないから安心は出来る。

 だから、前よりは警戒せずに色々と話せた。


「……へえ〜。

 天出さんが曲提供もするんだ。

 アイドル兼プロデューサーで、作詞作曲……。

 大変だね」

「プロデューサーは流石に無理だけど、私がこういうライブをしたいって言ったら、会議にはかけられて検討はされるくらいはある。

 作曲はするけど、作詞はまだ難しいかな」

「確かにな。

 お前の文章って、妙に年寄りみたいな時あるしな。

 いっそ歌舞伎や浄瑠璃の台本書いてみねえか?」

「それは流石に、あんたのお兄様に失礼だよ。

 劇ナメんなって言われちゃいそう」

「まあ、そうだな。

 じゃあ曲だけか?」

「多分そうなると思うけど、それでもやり甲斐はある」

「私はスケルツォしか知らないけど、アルペッジオってどんなグループなの?

 見た目でしか分からないし、フロイライン!の先輩たちは基本他所に興味ないから、教えてくれないし」

「えーっと、アルペッ女はねえ……」


 説明しようとした時、他のクラスの生徒が

「天出優子さん、いますか?」

 と呼びに来た為、話の腰を折られた。


「いますけど?」

「校門にお客さんが来て、待ってます。

 けど……」

「??」

「思いっきり不審者です。

 本当の知り合いですか?」


 そう言われたから、優子たちは窓から校門の辺りを眺めてみた。

 居た。

 中学校には相応しくない、ゴスロリで日傘を差した変なのが。


「……もしかしてとは思うんだけど、もし違ってたら怖いから、着いて来てもらえる?」

「分かった。

 何かあったら僕たちが守るよ、なっ!」

「このちんちくりんは、いざとなったら俺より強いじゃねえか。

 まあ、仕方ねえな、着いて行ってやるよ」

「男子、頼むね。

 私は何かあったら、すぐ先生に連絡するから」


 優子、愛照、堀井、ドラ息子の四人は恐る恐る校門に向かう。


「あのお、どちら様ですか?」

「私よ!

 アルペッ女の筑摩紗耶!」

「……?

 どこかで会った事あります?」

「初対面なのじゃ!

 アッハッハ!」


 優子が頭を抱えていると、スマホが鳴ってメッセージ着信を知らせる。


長門『面倒臭いのが会いに行ったと思うから、気をつけて』


 こいつか!

 来る前に連絡欲しかった!

 もう来てしまってるぞ!


(天出さん、この人、本物?)

(メッセで連絡来たから、多分……)

(多分ってなんだよ、お前、仲間の顔覚えてねえのかよ?)

(いつもは制服姿で歌ってるし、私服姿なんて知らないよ!

 今日初めて会ったんだし)

(……まあ、貴女らしいよね。

 メンバーの顔とか、サイトでチェックしてなかったんでしょ)

「何をこそこそ話してるのかな?

 さあ、カラオケ行くぞ!」

「あの、すみませんが、学校まだ終わってないんです」

「なんと?」

「僕たち中学生で、今は昼休みです。

 そして、保護者の付き添いなくカラオケやボーリングといった遊興施設に行くのは、校則で禁止されてるんです」

「まあ、死文化してて、俺とかは遊びに行くけどな。

 でも流石に授業はサボれねえ」

 このゴスロリ姿の女性は、ガーンと擬音を口に出し

「天出さん、いやそこの彼でもいい。

 この愚かな娘の首を絞めて、天に召して下さい。

 こんな当たり前の事すら分からなかった私は、一度昇天して、再降臨すべきなのです。

 早く、その細い芸術品のような指で、私を一度、昇天ニブルヘムさせるのよぉぉぉ」

 なんて言い出した。

 全員ドン引きしている。

(ちょっと天出さん!

 この人、一体何なの?)

(さっき、アルペッ女ってどんなグループって聞いてたよね?

 今答え言うよ。

 変な人たちの集まり。

 この人見たら、理解出来たんじゃない?)

(理解したくないけど、十分理解出来た)

(おい、ちんちくりん、なんつー奴と知り合いなんだよ!)

(たったさっきまで知らなかったんだって!)

(堀井君!

 遠い目にならないで!

 違うから、日本のアイドルが全部こうじゃないから!

 私も天出さんも、常識人でしょ?)

(君たちが普通かと言われたら、それはそれで疑問だけど、少なくともこの人に比べたらそうだね)

(おい、ちんちくりん、どうすんだよ、これ)

(とりあえず、武藤さん、先生呼んで来て。

 私は関係者に連絡入れて、引き取ってもらう)




 とりあえず、教師がやって来て、一旦隔離してもらい、優子たちは午後の授業を受ける。

 タクシーで長門理加がやって来て、身元引受人になってくれた。

 そして放課後……


「さあ、気を取り直して、一緒に歌いましょう!」

「長門さん、この人何なんですか?」

「うん、一から説明するね。

 この子はアルペッ女の筑摩紗耶。

 うちで一番歌が上手い子。

 東京の大学に通ってるから、今は私と一緒でこっちに住んでる。

 優子ちゃんがアルペッ女兼任と聞いて、嬉しいし、その実力を見たいから、カラオケに誘うって言ってたんだけど。

 まさか、私にメールした時には、もう来てたとは予想外だった……」

「通訳ありがとうございます」

 そう言って溜め息を吐く優子の袖を、愛照が引っ張った。

(なんでそっちの人、変な鳥のぬいぐるみで腹話術しながら話してるのさ?)

(さっきも言ったでしょ。

 変な人の集まりだって。

 気にしたら負けだよ。

 精神を病むから)

(天出さん、広島への出向、断った方がいいんじゃない?)

(俺も堀井と同意見だ。

 流石にこれは無い。

 瀬戸内かは疑問だが、出雲阿国は傾奇(かぶき)踊りを広めた女性で、中国地方(あっち)はそういう変わった女を出す傾向があるかと思っていた。

 だが、これはもう傾奇者ってレベルじゃねえよ)

(あははは……)


 乾いた笑いしか出てこないが、まあ決めた事だ。

 その出向先のメンバーが親睦を深めたがってるのだし、無碍には出来ない。

 諦めて、自分一人が人身御供になれば良いか。

 長門は成人しているし、ギリギリ保護者という扱いになるし、仕事絡みだから校則もどうにかクリア出来るかな、とか考えていた所に、次なる衝撃が来る。


 スマホを見ていた長門が、笑いながら告げた。

「いやいや、諸君は運が良い!

 今日は特別でね。

 もう一人来ている」

(どこの十傑集だよ!)

 ロボットアニメも好きな暮子莉緒の影響を受けた優子が、内心マニアックなツッコミを入れていたら、そいつはやって来た。


「いやあ、関東の電車は良いでござるなぁ。

 良い写真が撮れて気分晴れやかでごじゃりまする」


 首から超望遠レンズ付き一眼カメラ2台掛けの、顔が美人な事を除けば、線路に群がって撮影しまくる人たちの同類が現れる。

 カメラマニアで撮り鉄、映え写真好きな秋津洲由美の登場だ。


「さあ、若人たちよ。

 今日は拙者が奢るでござるゆえ、歌いに行きまするぞ!」

「遠慮します」

「天出、悪い、俺帰るわ」

「まあまあ、そう言わずに、拙者たちと遊ぶであります」

「来てくれなかったら、私は自分で首を絞めた後、ポエムで貴方たちを非難して、世界中に発信します」

「まあ、東京の諸君、すまない!

 珍獣見物だと思って、来てくれたまえ!

 君たちの仲間の優子ちゃん一人を生贄にして逃げて、君たちは平気なのかい?」

(珍獣とか、生贄とか、あんたが言うな!)

 逃げ損なった愛照とドラ息子に、優子は

(済まぬ……済まぬ……)

 と心の中で詫びていた。


 その横で、世界でも活躍する若手ピアニストは、なんか真っ白になっていた。

おまけ:

後で、モデルにしたグループ(これも複数のグループの悪い部分の重ね合わせ)全部に謝っておかないと……。

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― 新着の感想 ―
そういえばGRの音楽を担当したワルシャワフィルはショパンと縁が深くショパンはモーツァルトが大好きでしたね
十傑「集」です
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