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武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【火炎の四大】
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◇向かう先は



 テーブルに並べられた料理皿はすっかり綺麗になり各々が飲み物を追加注文した所で話題は外界や魔女から今へと移行する。


「色々と気になる事はあると思うけど、今は今の話(、、、)をしよう」


 ノールリクスが切り替えるように発言し、わたしはメロンソーダに浮いてるチェリーをストローで沈めなから聞く側へまわった。今と言われても例の会議に参加していないわたしにはさっぱりだ。ヴァーシノンと名乗った男も地界事情は持ち合わせていないらしく、ナッツを噛み砕きノールリクスに場を渡す。


「地殻と魔結晶塔マテリアルタワー、じゃの?」


 酸味の強い半透明の粒果物をひとつつまみ、キューレはそれをテーブルへ配置。エールの泡を指先につけその果物を円で囲った。


「この赤い果物がイフリー大陸、周囲の円が地殻、円内も地殻じゃと思ってくれていいのじゃ」


「ほーん。で?」


 キューレは別の果物をつまみ、円の中に設置した。


「この青い果物が魔結晶塔マテリアルタワーじゃ。詳しい場所は不明じゃがイフリー大陸内に現れる事は確定じゃぞ」


 そう言って青い果物を円内で移動させる。

 どこに現れるかわからない以上はイフリー大陸から離れる事は出来ない......が、この地殻ってのはなぜ今話題にあがっているのか?


「魔結晶塔と地殻は残念ながら直接関係はない。でも、残念ながら同時期に活性化してしまったんだ。地殻の活性化によってイフリー全土の気温が上昇し、定期的に振動しているらしい。これはケセラセが調べてくれたから間違いない」


「地殻の振動......それヤバくねぇか? 地殻って極端に言えば表面上のモンだろ? 中には地脈がある......それにも振動が伝わった場合どうなるんだ?」


 ヴァーシノンの質問に答えたのはキューレだった。再びエールの泡を指先につけ、今度は円から伸ばすように線を描く。その線の先に果物を配置しそれを同じように囲い、


「これがノムー、こっちがウンディー、そしてシルキじゃ。ひとつの地殻が活性化した程度じゃったらひとつ対処すればええんじゃが、地殻から地脈へと影響が渡った場合は地界全土へ広がるんじゃよ」


 今の説明とキューレの配置から考えて、地殻ってのは基盤みたいなものだろう。その下に地脈と呼ばれる道みたいなのがあって、地脈それは四大陸に繋がっている。


「なぁ、地脈ってのが何かなったらどーなんの? 気温があがったりしてんのはイフリーだからだろ?」


 メロンソーダを半分飲み終えたわたしはストローを咥えたまま面白くない話へ一応耳を傾けた。面白くはないし興味もそこまでないが聞いておくべき話題なんだろう、と本能的に意識が向く。


「ここから先はなんと言うかのぉ......」


「残念ながら推測にも届いていない、御伽話の世界なんだ」


「御伽話? まーた御伽話かよ、出てくんなっての」


「まぁ聞こうぜ。どんな御伽話なんだ?」


 酒の肴に、というノリで話を聞くヴァーシノンに便乗してわたしも耳を向けると、予想通りの御伽話【シンシアと十二の神】が出てくる。

 コレだけは勘弁してくれよ、と願っていたがあっさりその願いは粉砕され、内容が中々にダルい。



 まず、御伽話の中ではひとつの大陸の地殻が活性化し地脈に影響を与えた。その影響が地脈の活性化。

 これにより各大陸では様々な現象が起こる。


 気温が上昇し、渇水が発生しはじめる大陸。

 気温が低下し、氷結が発生しはじめる大陸。

 基盤が不安定になり地震が増える大陸。

 暴風が吹き荒れ孤島と化す大陸。


 順番に、イフリー、ウンディー、ノムー、シルキ、だろう。

 イフリーで水が無くなればウンディーから送ればいい、という事が不可能になり、ノムーの地震に対して耐震付与の木材をシルキから仕入れる事が出来なくなる。

 ウンディーも氷結が港は使い物にならなくなった場合イフリーから熱素持ちの鉱石を仕入れるのが難しくなり、シルキも暴風で孤島化してしまえばノムーを経由し世界と交流する道も絶たれる。


 今回はイフリーの地殻が先に活性化しただけであって、どの大陸の地殻が活性化してもそれは地脈へと流れ、最終的には御伽話と同じ結果に辿り着く......か。



「......んやでも、今ここ、イフリーがあってわたし達が飲んだくれてるっつー事は何かあんだろ? 対処法が」


「そうなんじゃが、それがわからないんじゃよ」


「残念ながらシンシアと十二の神は今となっては禁書だからね。そう簡単に全話集められないのが現状だ」


外界あっちでは所有してるだけで罪だから、あの本は」



 禁書、か。全話って何冊あんだよその御伽話(腐れ話)は。


「予想だとどれくらい今がもつ? 気温上昇もグングンしてくんだろ? でも明日突然ってワケでもねーよな?」


「突然とはならんじゃろうけど、明日には更に上がってもしかすると3日後には相当上がってるかもしれんのじゃわ」


「3日か......」



 本を今更集めるのは不可能だろう。

 なら、当事者に直接聞けばいい。



「キューレ、わたしからの通話はどんな状況でも必ず受け取れるようにしといてくれ。ちょっと心当たりがあっから飛んでくるわ」


「はぁ? 何を言っとるんじゃ?」


「あ、ここの支払い頼むわ。んじゃ行ってくるぜ!」



 酒場の支払いを押しつけ、わたしは早足で外へ出た。



「さて、と。もうひとりくらい乗れるし、ワタポあたり拾って向かうか───シルキ大陸」




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