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武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【火炎の四大】
722/759

◇魔眼裸石 1



 宝石名、琥珀(アンバー)を持つ宝石魔女シェイネ。

 一応はわたしの後輩魔女となるが、魔女族は実力重視、結果が全て。

 年齢なんてものはすぐに意味を無くす。


 結果が全てである魔女界隈で “他人の魔導を暴く” という行為は喧嘩を売ってるレベルではない。そして “自分の魔導を語る” という行為も自殺するレベルでは到底足りない。


 魔導というものは魔女の人生そのものであり、自分だけじゃなく、自分の親───母魔女の人生とも言える。母魔女の母魔女のまたその母魔女も、同じ魔導を進んでいる事が圧倒的に多いのが魔女という種族。

 わたしはそんな魔女という種族の......この当たり前が嫌いだ。

 自分は自分で母魔女は母魔女。

 自分のやりたい事が母魔女と同じなら何も言うことはないが、やりたい事が違うのに、やらなければならない事になっているのならば......そんなもん、もう自分の人生じゃない。


 と、まぁこれはわたしの考えであり、残念な事にわたしは魔女という種族の中では変わり者を通り越してはぐれ者だ。そんなはぐれ者の考えは一旦置いといて───問題は誰がシェイネの魔導を暴き、キューレにその情報を渡したのかだ。

 キューレは単純に興味で調べてただけだろう。しかしこの情報をキューレに教えた “人魚” とかいうふざけた魚野郎は確実に魔女であり、わたしに伝わる事まで予想して───望んで───キューレに接触した確率が高い。


 全体的に白で髪は長くて薄っすらピンクが混じる。貝殻の内側みたいなイメージカラー......誰だよ。



「心当たりは無さそうじゃの」


「全くわがんね......でもその人魚ってヤツはヒャクパー魔女だろ。シェイネの魔導を知ってる時点で宝石魔女っぽいな......」


「のぉエミリオ」


「あ? なんだよ。別の情報でもあんのか?」


「別というか、その人魚曰く近々世界はゆっくりと、でも確実に混ざるらしいんじゃよ。地界から外界に、外界から地界に、と」


「はぁ? どゆこと?」


「さぁのぉ......ウチは言葉遊びは得意じゃないのじゃ」


 キューレとわたしは同時に唸り、頭を抱える。

 言葉遊びもそうだが、その人魚が何者なのかって所でわたしは足踏み状態。魔女なのは絶対に間違いないが宝石魔女となれば話はがらりと変わる。



「探したよキューレ───っと、先客が、それもキミか。魔女」


 唸り考えていたわたし達を───正確にはキューレを探し現れたのはついさっき話題に上がったSSS-S3(トリプル)ギルド【ジルディア】のギルドマスター。名前はたしかケセラ......


「なんじゃノル、急用かのぉ?」


 そう、名前は【ノールリクス】だ。


「なんだよノル、邪魔すんな」


「おいおい、キミにノルって呼ばれるのは残念ながら嬉しくないね」


 ガキみたいな外見なりしてるくせにコイツは結構凄いらしい......どう凄いかは知らねーけど、今面倒事を起こすと絶対怒られる。

 どーにも上の世代ってヤツ等をわたしはまだ好きになれない。


「おうキューレは今わたしの貸し切りだぜ? さっさと消えろよ」


「それは残念だ、でも───混ぜてもらえないか? きっとプラスになるよ」


「あん? 何がプラス───......お前、これ......」


ノールリクスがわたしへ見せたモノは金でもレア武器でもなく、宝石の球体。ただの宝石の球体なら別にわたしも大袈裟な反応はしない。


 これは───【魔眼裸石(マギルース)】だ。



「なんじゃそれ? 宝石かのぉ?」


「宝石は正解だけど、残念ながらただの宝石じゃない───魔女の瞳(、、、、)だ」


「お前これ、どこで手に入れた?」


「場所を変えよう。近くにいい店があってね。もうおさえてある」


「うむ......どうするんじゃ?」


 キューレとの話もまだ終わっていない───というか “人魚” の正体も何もわかっていない。もう少しその話を聞きたいって所で魔眼裸石マギルースを見せられたら、そりゃおまえ、


「〜〜〜っ......いくぞ」


 行くしかないだろ。

 ノールリクスはこんな見た目でもSSS-S3(トリプル)、外界を探索拠点にしている冒険者だ。

 外界あっちの事を色々聞ける機会ではあるんだけども......どぉーーーにも上の世代、なんつったか......生意気世代ディスオーダーがまだ好きになれない。

 コイツも、ゼリーも、ケセラセも、奇病女も、色々な部分で癖が強烈すぎる。


「さぁ、ついたよ」


「はっ。三ツ星お星さまもイフリーじゃ派手な店はおさえらんねーって事か?」


 店の外装はネオンギラつくトラオムの街にしては地味すぎる木製。

 ウンディーにあれば冒険者が外装を気に入り通いそうだが、ここはイフリー大陸で、それもギャンブルの街なんて呼ばれてるギラッギラした街だ。どうせ金持って無さそうなしょーもねー客しかいないんだろ。


「まてエミリオ」


「あ? なん───っぶね!! なに!?」


 扉へ向かうべく一歩進もうとした瞬間、ノールリクスがわたしの名を呼び足を止めさせた。これがなければわたしは今ごろ......吹き飛んできた扉に潰されていただろう。


 これといった騒音もなく、突然扉が吹き飛んだ。その原因......かは知らないが、道端で気絶している男が扉へ突っ込んだんだろう。


「喧嘩売っといてしまらねぇ真似すんじゃねぇよコラ───あーあーあーあー、扉までしまんねぇじゃねぇかよ」


 存在感のある声が響き、わたしとキューレは勿論、SSS-S3の称号を持つノールリクスまでもがその声に視線を向ける。

 吹き抜けとなった出入り口から姿を現したのは、濃紺色の長髪を揺らす長身の男だった。


「ん? ......その顔は......地界の冒険者じゃねぇか」


「やっぱりキミの声か......全く、地界こっちでも顔を合わせる事になるとは残念だよ本当に」



 長身男とノールリクスは知り合い......っぽい雰囲気だった。




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