表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【女王】
61/759

◇60



「アクロディアと白金の橋は民間人がパニックにならない様に配慮してください!赤い羽は街の中、門、街周辺の警備を!エミリオ達は10分後に私達と合流してください!」



テキパキとテンポよく事を進めるセッカにマスターのジュジュまでもが驚いてる。

マルチェに加入し世界を見て考えて、セッカが持っていた人をまとめる才能 が開花したのだろう。

王族で姫で、国を強く思っていただけの女の子が今自分の意思で行動を開始したんだ。



「各マスター及び高ランク冒険者は私と一緒に!キューレさんはユニオンの情報を各国へ回してください!」



今日 世界が1歩、大きく進む。



「いきましょう!みなさん」





鬱陶しい雨の中わたし達はキッチリ10分後に街を出た。

決闘から戻ってきた時点でびしょ濡れだったワタポは必要ないだろ?と思ったが雰囲気もあるので全員雨避けのフードローブを装備している。

傍から見ればわたし達は悪い雰囲気を持つ連中だろう...レッドキャップは毎回こんなフードを装備して行動しているのか。ご苦労な事だ。



「セッカちゃん達がいるのはポートへ向かう途中にある谷付近だね」



マップを開きフレンドレーダーを使ってセッカの現在地を確認するプー。フレンドレーダーは数キロ圏内ならば相手の現在地がマップ上に表示される微妙に便利でもない機能。

動きが止まっている事からそこにセッカ達が止まっていて騎士や軍のアホ共がいる。



「あのセッカって子は何者なの?ただのギルド幹部にしては出来が良すぎるわね」


「セッカはドメイライトの姫様だよ。色々あって今は冒険者やってるけどね」



何も隠さずハロルドの質問へ答えるとプーが驚き反応した。



「えぇ!?姫様ってセツカ姫!?確か港で事件に巻き込まれて亡くなったって...」



なるほど、死んだ事になってるのか。でもまぁ髪をバッサリ切ってセツカはセッカになったんだし今更生きてたからと言ってドメイライトに戻る様な子でもない。



「なるほどね...それであの出来の良さ、納得したわ」


「そゆことー、てか そろそろじゃん?谷」



わたし達はフードを深く被り草影を辿り接近し谷を見る。

雨で視界がぼんやりする中で見たのはドメイライト騎士とデザリア軍が武器を持っている場面と、その間を割って入るセッカ率いるユニオン。

限界まで近付き、ゆりぽよに教えてもらった隠蔽術を使う。天候は雨、フードローブ装備、この2つがわたし達のハイド率を底上げする。


わたしは3人に隠れる様に後ろへ回り魔術の詠唱した。

ハイディングしている人物で自分を隠せば下級魔術程度なら使ってもリビールされない。詠唱した魔術は聴力を上げるピーピング...盗み聞きだ。

この距離なら雨音を無視して話を聞ける。

全員にピーピングを使い、ハイディングに自信がないわたしは3人に隠れたまま話を聞く。



「これ以上この大陸で争うのはやめていただきたい」



セッカの声が雨音を切り届く。


「争う?我々はドメイライトからこの大陸を守る為に参上したのだぞ!聞けばユニオンが崩壊しこの大陸は不安定な状態だと!この隙に必ずドメイライトは侵略してくると踏み、我々は人人々を守る為にだな」



おーおー、言うねデザリアの。

守るだの言って裏ではウンディー大陸を舐め回し吸い付くしたくて涎ダラダラじゃんかよ。デザリア...イフリー大陸は気温が高く鉱石が多く採れる地域。その分水不足がどーのとかで...ウンディー大陸は水が沢山ある大陸だし場所も悪くないしデザリアとしては是非欲しいだろ。



「別に俺達は侵略してこいなんて言われてないけどな。ユニオン崩壊の話は聞いたし、ノムー警備のついででウンディーも少し見てこいって言われて...来てみればお前らデザリアが武器持って歩いてるし、無視出来ないだろ」



今喋ったドメイライト騎士...まさか。

少し首を上げ谷を見ると騎士鎧に身を包むニワトリがそこに居た。トサカに貯まった雨水を払い落とし面倒そうな顔でデザリア、ユニオンを見る。

ドメイライト王国の騎士ヒガシン。

相変わらずダルそうな顔してるが...隊を率いていると言う事はヒガシンが隊長になったのか?隊長ってお金結構貰えそうだし今度会ったら たかろう。



「とにかくこれ以上ここで争う事は許しません他国の地で好き勝手な行動はデメリットしかないのでは?」


「他国って貴様等は国でも何でもないだろ?ユニオンが崩壊した今、我々がこの大陸を守ってさしあげましょう!おい!」


デザリアのクソ貴族と思われる男が隊へ声をかけると武器を持ち一斉にドメイライト...ヒガシン隊へかかる。


「はぁ...」


セッカはこの状況でわざとらしく溜め息を吐き出し右手を軽く振った。


攻めるデザリア、迎え撃つドメイライト。両国の間にセッカが連れていった凄腕冒険者達が乱入し武器を受け止める。素早い動きでフードがはたけ顔が露になると全員が驚愕する。


赤い羽マスターアクロス。

アクロディア マスター ルービッド。

高ランク冒険者のアスラン、セシル、ハコイヌ、烈風、ユカ。

セッカの後ろにいたメンバーは自らフードをとる。

ジュジュ、ビビ、白金の橋マスター リピナ。

全員が顔も名前も知れ渡る凄腕。他国にまでその情報が行き渡っているのは両国の表情でわかる。


「ドメイライト、デザリア。ここで退いてくださらないのなら両国とは仲良く出来そうにありませんね...本日からユニオンを、この大陸を取り仕切る事になりましたセッカです。後日改めてご挨拶に伺いますと両国王へお伝えください」


「...ゴミ漁りの冒険者が調子に」


「お黙りなさい。飼い主の命令...とってこい も出来ない飼い犬が面倒事を引いて帰った場合...飼い主はどう対応するのですかね?理解出来なかったのならもっと簡単に説明します」



やべ、わたしも理解出来なかった。てか 格好いいなセッカ。「とってこいも出来ない飼い犬風情が!へっ!」これパクろう。



「本日から私、元ドメイライト王国の王族セツカがこのウンディー大陸の女王になります。ユニオンという形で冒険者達をまとめ、そのユニオンを通して国が冒険者を雇う。バリアリバルは本日から立派な王国に。今あなた方の眼の前に居られる方々は言わばこの国の騎士。ゴミ漁り...とは我が国への侮辱でよろしいですか?」


「...そんな事が、認められる訳ないだろ!言うだけで誰でもなれる王族など...呆れ笑いもでぬわ!」


「まてまて、デザリアさん。今うちの団長から連絡が入って、本日からこのウンディー大陸はバリアリバル王国の領土になったって...マジらしいぞ」


「な...に」


「これ以上は侵略行為ですわね。戦争 という形になってしまいますけど、どうなさいます?」


「馬鹿共が!ここでこの国のトップの首を奪い戦力を削ぎ落とせば後は我々デザリアが」



そろそろかな。

ハイディングを消し谷底へわたし達は飛び降りる。

突然の乱入者に視線が集まる中で用意していた言葉をここで。


「面白い事言うのねデザリアって。国に雇われた私達冒険者全員を相手に出来るのね?」


「ボク達の他にも後数分で沢山の冒険者が到着するけど...まだやる?」


やべ、、用意していた格好いいセリフ忘れた...とって来いも出来ない飼い犬...これは違うし...、


「その気が無いなら双方剣を引いてこの場から去ってもらいたい。納得いかないなら...こちらも剣を」


それそれ、双方!立ち去れ!こんチクショ!帰れ帰れバカ!



乱入者の言葉と、この後到着するであろう冒険者の存在にデザリアは舌打ちしウンディー大陸から退場した。

ドメイライトも同じく退場するもヒガシンが立ち止まり「騎士からも愛されてる女王は国民からも愛されてるでしょうね...」とヒガシンのくせに格好いい言葉を置いて退散した。

チラリとワタポを見て少し笑った様にも見えた。





作戦はこうだ。


ドメイライトとデザリアが争っている所にセッカ達が向かう。最悪の事態を予想し街中や平原をギルド、冒険者達が警備。と言いつつ民間人や冒険者達の、セッカを慕い認める声を集めた。


キューレはその情報をまとめ、ドメイライト、デザリア、和國へ皇位情報屋の名を最大に使いセツカ姫の情報とセッカがウンディー大陸の女王になった事を告げる。


ウンディー大陸全土がセッカを認めている状態で、セッカは元ドメイライト王国の姫。

これだけのカードが揃えば誰も否定出来ない。

みんなから認められた者が王、女王になる。これは何百年も昔から決まっていた事らしく、そこに王族の血やら細かい事が絡む。その全てをセッカはクリアしている。

凶悪モンスターを討伐し人々を守った実績も(ジュジュが仕切ったレイドだが冒険者=無法者扱いがあるし無法者らしくルール無視してセッカの実績にしてしまおう的なノリで)ある。

国として人々をまとめるだけの実力も経験値も備わったセッカは間違いなく女王になれる。ドメイライト王に至ってはセツカが生きていたという事実だけで胸がいっぱいになり簡単に認めてくれた。和國はあまり干渉しないので二つ返事。ノムー、シルキが認めた時点でイフリーも認めざるを得ない。

人の気持ち等も手段に使う悪魔の様なキューレがこちらに居るからこそ出来た作戦だ。





セッカ達は谷に到着後、争っている両国を止める。

その際に女王です!ここ国になりました!はすぐ言わずユニオン復活してました残念!のカードから切り相手の心を揺らす。最後に女王、国のカードでトドメを刺す作戦。

それでも恐らくデザリアは退かないだろうと予想していたが、本当に退かなかった。

その窮地に雇われ冒険者としてわたし達が参戦、他の冒険者も今くるよ と嘘を言ってデザリアをビビらせる作戦は見事に成功した。



これでウンディー大陸は守られ、まさかの国としても認められ、ユニオンも復活。


特定の騎士や軍を持たず、ユニオンがまとめる冒険者達から選び雇い連れるスタイル。

騎士や軍が任務として行っている事は、クエストとして冒険者達が今まで通り何も変わらずこなす。


国として認められた事により簡単に他国が攻撃出来ない様になり、他国との交流をクチ約束ではなく国と国の契約として結ばれる。

冒険者やギルドの者達も今までより簡単に気楽に他国へ入れる。国ではないウンディー大陸は治安が悪い、守られない。それらの理由から観光客が少なかったがこれも解消される。


冒険者達にはいくつか新たなルール、決まりが追加された。


①女王に雇われた場合は何よりもそれを優先する。これをクイーンクエスト。


②無駄な威圧はしない事。子供かよ...。


③冒険者の国として世界に出るが今までの雰囲気は変えなくてもいい。(そーゆーちょっと危険な感じも楽しみたくて観光しに来る人もいると思うし)


④観光客からのクエストは禁止。


⑤冒険者やギルド以外が喧嘩してたら止めろ。でもやり過ぎるな。



この5つのルールが追加された。

面倒臭い、だりぃ、やってらんねー。そう思う人も存在すると思うが今までの生活スタイルになんら影響はない。

それに国になった事により他国からのクエストも今まで以上に増える。


息をしていなかった モンスターハンターギルド や バウンティーハンターギルド もここで息を吹き返すだろう。

トレジャーハンター等は他の大陸でも許可をとれば探索できる。

窮屈な思いだけではなく、良い事も増える状況は正直うまい。


女王、国のトップはセツカ。

その下にマルチェがあり、ユニオン経営もマルチェが仕切る事になった。

セツカはマルチェに所属したままでギルド活動する際はセッカと名乗り、女王の時はキラキラした豪華な服装でセツカ姫になる。大変そうだけど本人がやると言った以上 誰も止めない。

ギルドの大陸、街からギルドの国になった訳だ。


これらの情報はこの国だけではなく、既に各国に広まっているだろう。

色々と面倒事もあると思うが、わたし達は確かな1歩を進んだ。歴史を変えたんだ。



人種も種族も関係ない自由の国 バリアリバル が誕生した。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ