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武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【アンラヴェル】
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◇和國勢、再臨



 この世界───地界ちかいには様々な種族が存在する。外界がいかいにはもっと色々存在しているが、地界こっちも負けていない。比率は確かに人間種が多いけれども。

 そんな地界で、四大陸でシルキ大陸にしか生息していない種で妖怪種が今わたしの前に居る。

 シルキは人間と妖怪が暮らしている。しかしこの、妖怪......妖怪種というのが広く深い。一括に妖怪といっても、その括りにはアヤカシも含まれていたり、種類が沢山存在していたりと、他種族とは違って “種類” が存在し細かく広い。


 そんなシルキ勢がなぜウンディー大陸、それもバリアリバルに居るのか。


「え、これ食べ物なの!?」


「色凄いし石鹸じゃない?」


「......匂いは甘いよ?」


 カラフルなお菓子、マカロンを警戒する妖怪 眠喰バクとアヤカシの妖華ようか、雪女。

 石鹸の疑いをかけられたマカロンは可哀想だが、確かにこういう石鹸はある。


「石鹸じゃなくてお菓子だよ」


「食べてもお腹壊さないから大丈夫!」


 ワタポとプンプンが石鹸容疑をかけられたマカロンを弁護し、ひとくち食べると妖怪3人は───2人アヤカシだが───それこそ妖怪でも見るように眼を丸くした。


「それが石鹸でも消しゴムでも、何だってどうでもいいからユニオンって場所教えてくれ。コイツ等と一緒にいるとユニオンに着く頃には年が明けちまう」


「あ、おま、白蛇! それわたしのだそ!」


 このわたし、すうぃーてぃーはんたー エミリオが狙い定めていたシュークリームを粗相の塊こと白蛇しろへびが鷲掴みし食べた。これには温厚で名高いわたしも黙っていられない。


「帽子のだったのか。悪い食っちまった」


「っっざけんな! それ1個しかねーやつだろ!」


「うるせーな、なら名前くらい書いておけよ。それと───」


「あん? んだよ」


「うまかった」


 コイツは本当にナメ腐った野郎だ!

 腰に剣を吊るしていたら問答無用で抜剣し、その首を撥ね飛ばしてやったのだが、幸か不幸か剣はフォンポーチの中でお休み中であり、ワタポがわたしへ向ける視線には「お店や他のお客さんに迷惑かけないでね」という鋭利なモノを感じたので自分を落ち着かせる。


「............、お前らはなんでウンディーに来たんだよ? 戦争でも仕掛けにきたんならここで成仏させてやるぜ? お?」


「うぬは毎度喧嘩腰じゃのぉ。ワラワ達はウンディーと一戦交えようなど思っとらん。少なくともここに居る面々に敵意はなく好意があり、シルキ民も大半はウンディーに感謝しとるのじゃ」


 ......誰だコイツ。ちっさい子供がポコちゃんこと療狸やくぜんのクチ真似してるが、療狸の子供か? タレ気味の眼や髪型は似ているし、


「療狸じゃぞ。いらん事ゆーて話題を滅茶苦茶にはさせんぞエミリオ」


「は? いらん事って......それより、お前療狸なの!? なんでちっさくなってんの!?」


 わたしの記憶にいる療狸は色々でかかったが、今ここにいる療狸は威厳皆無な姿になっていた。隣にいる単眼妖怪ひっつーの方が威厳があるようにも思えてくる。

 笑いを堪えられず吹き出してしまったが、もう今更我慢しても遅いので盛大に笑うとこれが中々止まらない。


「エミちゃん笑いすぎだよ、療狸やくぜんさんは大神族だいしんぞくなうえに土地主だから力が抑制されちゃうんだし仕方ないんだ」


「なんだよそれ......ショボそうなのは見た目だけじゃなくて力もかよ! 笑いの神か!? ん?」


 何がどうなんて、今はどーでもいいんだ。あれだけ偉そうにしてたヤツがショボい姿になってる。これを笑わずにはいられないだろう。


「この馬鹿は放っておいて、ワラワ達が外に出た目的を話す。それを聞いたうえで協力してくれるかどうか判断してくれるとありがたいのじゃ」


「協力してほしかったら元のサイズに戻ってから......あ! キューレに頼んでサイズ変えてもらうか!? もっと小さ───!?」


 笑いに笑っていじり倒していると、療狸は空中で何かをつまむように親指と人差し指を合わせ、左から右へとその指をスライドさせた。その瞬間、驚く事にわたしのクチがチャックされるという怪奇現象が。


「話が終わるまで黙っとるか、鼻まで塞いで永遠に黙るか、好きな方選ぶと良い」


 冗談では済まない視線に、わたしは両手を上げ強く頷く事で「話が終わるまで黙ってる」を選択する事に成功。

 力も小さくなったとはいえ、元が大神族。

 強大な力を持つ存在という事をすっかり忘れていた。





「プハー、クチを閉じられた時はどうなるかと思ったぜ」


 盛大に空気を堪能し、危機から脱却した喜びに浸るわたしの横には【白蛇】と【あるふぁ】が並びバリアリバルの街を歩いていた。


「エミーは怖いもの知らずだねぇ。大神族に正面から指さして笑うのは中々真似できない」


「馬鹿なだけだろ? 真似する意味も価値もぇよ」


「うるせーうるせー! 案内しねーぞ? あん!?」


 文字通りの口封じを食らっていた頃、シルキ勢がなぜウンディー大陸まで遥々来たのかを療狸が語り、わたし達は協力する事にした。まぁ協力と行っても案内したりなので緊張感は皆無だ。


 わたしは白蛇とあるふぁを武具屋とユニオンまで案内し、冒険者登録を教える役を半強制的に与えられていた。

 他のメンバーは───まず療狸とひっつーをひぃたろ(ハロルド)がユニオンまで直行で案内しセッカに紹介する。

 ワタポとプンプンは眠喰、雪女、妖華を街案内しつつ各々が行きたい店へ足を向け、夜までにユニオンへ。


「全員直行ユニオンでよくね? 武具屋だとか観光だとか、んなもん後にしろよ......それにわたしのオススメ武具屋はこの街に無いんだよな」


 ぼやくように呟いた言葉を2人はキッチリ拾う。白蛇はわかる、戦闘狂っぽい雰囲気があるから。しかし あるふぁ も武具トークへのレスポンスが尖ってるとは予想外だ。温厚そうな顔と雰囲気してるくせに......いや、シルキの竹林で大暴れしていた鬼はこの あるふぁだったんだ......戦闘狂でも不思議じゃないか。


「エミーオススメの武具屋?」


「どの街にあるんだ?」


「行ってみるか? 今からサクッとユニオンで登録して行けば夜まで戻れると思うぜ」


 ここからは速かった。

 ユニオンへ早足で進み、素早く冒険者登録───正確にはフォンを購入してからの冒険者登録───を済ませたタイミングで馬車が来たので乗り、芸術の街【アルミナル】へ。


 目指すは鍛冶屋ビビ&ララの店。

 わたしも武具状態を見てもらいたいし、丁度いい。



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