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武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【幻想楼華】
380/759

◇378 -本拠地への帰還 華-1



ウンディー大陸から潜水艦でシルキ大陸へ入った冒険者達───大規模な商業ギルド マルチェ のマスター【ジュジュ】、皇位を与えられた有能情報屋【キューレ】、ホムンクルスであり錬金術師アルケミストでもある【だっぷー】、同じく錬金術師であり謎の小人人間を隠し連れているギルド ミックスマッシュルームズ のマスター【しし】、侵食術イロジオンの後遺症が残る半狼のような人間【カイト】、鬼族のような猫人族の脳筋ファイター【るー】、猫人族の地獄耳【ゆりぽよ】、猫人族の呑んだくれ【リナ】───はシルキ大陸上陸早々に最大ランクの犯罪者ギルド 【レッドキャップ】の新メンバーであり、腐敗仏はいぶつを喰い散らし半女帝化した【テラ】と遭遇し、その異質な特性と能力を前に苦戦を強いられた。


テラの異質極まりない雰囲気をキャッチしたシルキ民───大妖怪と呼ばれる滑瓢ぬらりひょんの【螺梳ラス】、謎多き妖華のアヤカシ【モモ】、雪女のアヤカシであり妖怪の【スノウ】、死体を操る奇能を持つ人間【千秋】は冒険者達がテラと戦闘している場へ引き付けられるように向かった。苦戦中の冒険者達を助けたのは駆けつけたシルキ勢。未完成とはいえ変異個体、特異個体をあっさりと倒してしまうシルキ勢に驚きながらも安堵した冒険者達は、どこか落ち着いて休める場所がないかを訪ねた。そこで螺梳は冒険者達を現在は【華組】の管轄となるシルキ大陸の首都といえる街へ招く事にし、千秋が操る大怪鳥へ無理矢理全員乗り、不安定な飛行で【夢幻竹林】から飛び去った。


さすがは飛行───障害物もなく道も筋も関係なしの空移動───は速く、噂の首都が冒険者達へその壮大かつ美しい姿を現す。


シルキ大陸───通称【和國】の首都。

華の都- きょう

三大陸の首都、ドメイライト、バリアリバル、デザリア、と堂々肩を並べられる程の広さと、どの大陸にもない和國ならではの美しさに冒険者達は見惚れてしまった。





ウンディーの冒険者───だけではなく、ノムーの騎士もイフリーの軍も、三大陸の民間人も、シルキ大陸の街がこんなにも美しく風情ある街並みだとは予想もしていないだろう。そもそも、シルキ大陸の存在自体が煙かかっているので街など想像する事さえ出来ない。しかし今、冒険者達の前にあるのはシルキの街の門で、門を守る門番が鋭い視線を向けている。


螺梳ラス、話をつけてきてくれないか?」


ジュジュは着陸する前に上空で防具を変更したため、龍組風の防具ではないもののやはり外国から来た存在には鋭い警戒の視線が向けられる。門番が門番の仕事を確りとこなしている証拠だが、鋭い視線に対し相応の視線を返している鬼猫人ケットシーもいる。ここはやはり顔見知りであろう螺梳を送るべきだと踏み、ジュジュはお願いした。


「勿論そのつもりだ。待っててくれ」


軽く言い、螺梳は屈強そうな門番の前へ歩み寄り「知人を街へ招きたい」と一言。すると門番は深々と頭を下げる。


螺梳らひゅって本当ほんにょは凄いひちょにゃにょかニャ?」


「え? 何て言ってるか全然わかんない」


「にゅあん、冷たいニャ~」


空を泳いでいる最中にリナは自前の酒を浴びるように呑んでいたので、完全に出来上がっていた。躓く呂律に雪女のスノウは呆れ果てていると門がゆっくり開かれた。シルキ大陸の───少なくともこの街の───門は古典的とも言える開閉式。街と外の境界線───結界魔結晶の効果範囲───を示すだけのアーチゲートではない。


「ヒェー、やっと帰ってきたって気分。私達は城に戻るけど、ラスカルはどうする?」


雪女のスノウは冷気のように息を吐き出し、無い左腕を触る仕草を見せた。

妖華 黒楼ヤエは防具の肩と腹部にある斬れ目を左手で撫でる。染楼モモがテラとの戦闘で受けた傷は塞がり切断された左手首も完全に接合されている。

傷こそ色々なやり方でどうにでもなるとして、切断されたパーツは特種な種族でなければ生える事はまずない。モモの左手があり、スノウの左腕がないのは、切断された後の対応、処置の違いにある。パーツさえあれば再生術でどうにでもなり、スノウやモモは人間ではなく各性質が違う妖怪アヤカシ。切断されたとしてもその部位があればどうとでもなり、モモはスノウの氷で傷口だけではなく切断された左手も凍結接合していたので再生術さえ使えば接合可能───なのだが、既に再生されていた。


ふたりの様子と、千秋が操る怪鳥の背で眠る夜叉と眠喰を見て螺梳は答える。


「俺も一旦戻ろう。宿屋はすぐにわかると思うから、ここまででいいか?」


「あぁ、色々助かった」


冒険者パーティのリーダージュジュが返事をし、螺梳達とはここで一旦別れる事に。千秋は帰る場所があるらしく、怪鳥に乗り飛び去っていった。


「さて、とりあえず俺達も宿へ行こう。上陸してまだそんなに経ってないが疲れたし、一旦落ち着ける場所で休もう」





「エミリオさんとお友達だったんですか?」


千秋は大きな背に抱き付くように寝転がり、怪鳥へ問い掛けるも返事などない。今千秋を乗せ飛んでいる怪鳥は生きているようで生きていない。体温の無い羽毛は氷よりも冷たく感じる。

和國───シルキ大陸の者にしては雰囲気がどこか異国な千秋。衣服こそ和國らしいものだが、顔立ちや雰囲気は着込んでも隠せない。


「この大陸で力と知識をつけてイフリーへ帰るから、付き合ってね」


怪鳥は返事の代わりに力強く翼を扇ぎ、千秋の意思を尊重するかのように高く飛んだ。




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