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武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【温度】
25/759

◇24



薄ピンク色の宝石モンスター、特種な攻撃もなく好戦的でもないがランクはA。他の生き物の気配を感じるとすぐに逃げ出してしまう事から発見が極めて難しく高ランクに指定されている。

人見知り とはよく言ったものだ。

今バリアリバルにいる冒険者達はそのモンスター クォーツストーンを全力で探している。



「こちらB隊セシル!応答を!」


突然耳に届けられた声に驚き、周りを見るが誰もわたしを見ていない。これは...ハッキリ相手の声が聞こえるうえ周りに音漏れもなく使えるアイテムだ。イヤカム...インカム...名前はどっちでもいいらしい。

話す時は耳についてるカムを軽く押せば声を伝えてくれる。聞く方は何もしなくていい。


「こちらA隊ハコイヌ!セシル隊どうした!?」


何なんだこの騎士風なやりとり。この流れだとわたしはC隊!?なんかショボい気もするが遅れたわたしが悪い。


「こちらセシル隊!眼の前に薄ピンク色の石の様な...っ!?アレはクォーツストーン!」


「なに!?エミリオ隊、セシル隊と合流しモンスター捕獲作戦へ入る!セシル隊はモンスターを見失うな!」


「了解した」

「おけ...了解した!」



とにかくクォーツストーンを発見したセシル隊の所まで急がなければ。位置を確認し終えポーチにフォンをしまおうとした時、視界端で何かが動く。


「ん えぇ!?」


視界端に何かを発見したわたしはその方向をみて思わず声をあげてしまった。

1 2 3.....13匹のクォーツストーンが眼の前に居るではないか。


「こちらC隊エミリオ!クォーツストーンが眼の前に現れた!今から捕獲する!」


そう言い返事も待たずにクォーツストーンへ走る。

捕獲方法も何も知らないが、捕まえれば2人がどうにかしてくれるハズだ。これで大金ゲットだぜ!


一番近くにいたクォーツストーンに手を伸ばし、触れた瞬間 他のクォーツストーンが奇妙な音をたてて振動。触れたクォーツストーンも振動し始め突然真っ赤に輝き...イヤな予感が。

捕まえるのは後、今は離れなければ...何かヤバそう。

バックステップの姿勢に入り足へ力を入れた瞬間 奥に居るクォーツストーンが爆発。

視界がピンクの光に包まれる。

...死んだなコレ。と 思う余裕がある程、落ち着いている自分。

死ぬ時は時間と言うか見てる景色がゆっくり流れる と何かの本に書いてあったがアレは嘘だ。普通の速度で次々と爆発する宝石がしっかり見える。

近くの宝石が爆発した時、わたしの身体がフワッと浮き突然スピードをあげ空高く打ち上がった。爆風に巻き込まれたにしては熱...痛みはまるで無い。


「グエェ...凄い臭いだね」


と、言葉が耳元に届く。カムからではない。とすぐに気付き背中の方を見ると...黄色の大きなクチバシと紫色の鱗、無感情な瞳。このハイセンスなマスクは間違いなく今わたしとパーティを組んでいる “人間” だ。


爆発音が止んだ頃、身体は落下する感覚に。動かないでね。と言われたので全てをこのマスクマンに任せた。

驚くほど柔らかい着地でほとんど衝撃は無く無事地面と再開。


「ありがとー、助かったよハコイヌさん」


お礼を言い振り向くと...やはり理解できない。高性能かもしれないが...どんなにカッコイイ防具を装備しても、相当な実力者だとしても、そのマスクを装備する事で一気にダサい生き物になる。

それは本人も解ってるハズだが...解ったうえでも装備するその精神が理解できない。

双棍をクルクル回し背中へ戻す姿も正直キモすぎる。


爆発の瞬間にハコイヌ氏が双棍のジャンプでわたしを救ってくれたのは本当にありがたい事でカッコイイ事だが...そのマスクのせいで全てが台無しになっている。とは言えない...聴覚を保護する効果もあるマスクだったから爆発音の中でも焦らず落ち着いてわたしを片腕で抱き飛ぶ事が出来たのだろう...けども、、、


「こちらB隊セシル!マズイ!他の冒険者も現れて奪い合いになっている!...畜生...もう待ってられない!いくぜ!!」


と、カムに届くセシルの声がわたしの頭から鳥マスクを消し去った。

他の冒険者も現れて奪い合いになるという事は...ソイツは爆発しない個体!?

確かにマズイ、せっかく発見したのに奪われるなんて最悪だ。

最悪 奪い合いも覚悟していたが本当にそうなるとは...それにしても、セシルの今の声は何処と無く楽しんでいる様に思えたのだが...。


「早く行こう!セシルが危ない!」


そう言って走る鳥人間も何処と無く楽しそうな声...顔はもう何か...終わってるけど。


走りながらフルーレを抜刀し戦闘モードに頭を切り替える。人を斬るのか?本当にこの2人は奪い合いを楽しみにしていたのか?

声質は間違いなく楽しみにしていた感じだが...殺しはしないと思うけど...。


「うわ、本当に奪い合いじゃん」


少し前を走っていたハコイヌが足を止め言う。わたしも隣まで走り同じ方向を見ると...1匹のモンスターを何十人もの冒険者が奪い合っている。

あと少しで掴める距離にいる者を蹴り飛ばし自分が捕獲しようとする者。その者へ迷わず剣を振る者、それを受け止めそのまま戦闘へ入る...平原が地獄の様に思える程 容赦無く他人を攻撃する冒険者達。


「凄いね、みんな殺しはしないけど動かなくなる程度なら迷わずやる。って感じだね...中にはこの状況を楽しんでるだけの人もいるけど...キミの仲間は楽しんでるタイプだね」



と、またまた突然声をかけられ隣を見るとハコイヌが居ない。戦場を見ると双棍を振り回しているマスクマンと重魔銃を撃っては移動、撃っては移動を繰り返すセシル...。

棍も斬りではなく叩きで上手く相手の動きを止めているだけ...銃も反動がない事から弱い弾を弱く撃っている様子。


「楽しんでるね...」


よかった。は言葉にせず戦場を少し見守り、本当にただ喧嘩祭りを楽しんでいるだけらしく安心したので声の主を探す。

声質的に女性だが...どの人も戦場を見ているか喧嘩祭りに参加しているかで誰が話しかけて来たのか解らない。


「キミは参加しないの?」


また同じ声が右側から聞こえた。間違いなく右にいる。

岩に寄りかかっている女性がわたしの方を見ていて、その岩の上に座っている女性がわたしを見て手を振っていた。


恐らく話しかけて来たのは岩の上で手を振る女性だろうか。わたしも軽く手を振り返し、もう少し見てから参加する。と答えると岩に寄りかかっている女性がわたしをじっと見る。

この2人は何者だ?

岩の上の女性は金髪でいい感じの前髪...後ろ髪は太めの三つ編みにしている元気いっぱいな感じの人物。

岩に寄りかかっている女性は驚くほど整った顔、綺麗なピンクの長髪...妖精の様な人物だ。

この2人...凄く綺麗で可愛い。


「そろそろ..かな」


そう言い金髪の女性が岩から飛び降り、行ってきます と笑顔で言う。

ヒザを曲げグッと身体を縮め走るスタイルになった瞬間、眼を疑う程のロケットスタートを炸裂させ消えた。

消える瞬間、バチチっ とハジケると言うか...何と言うか...謎の音が響いた。


その数十秒後、クォーツストーン捕獲作戦は幕を閉じ冒険者達は街へ戻った。

わたしもハコイヌ&セシルと合流し、バリアリバルへ。


合流した時にはもう、あの2人の姿は何処にも無かった。





街へ戻りハコイヌの誘いで酒場へ。

考えてみると酒場に来たのは始めてだ。

集会場の二階酒場とは違って何と言うか...大人の雰囲気漂う店内。


勿論ここでも武器を装備したまま来店は禁止。わたしはフルーレをフォンポーチへ収納する。2人も同じく武器を収納し、ハコイヌは愛用のマスクまで外した。


「おぉ...これは...」


ハコイヌの素顔を始めて見たわたしはつい言葉を漏らす。するとセシルが続く様に言う。


「やはりイケメンだったか...」


中々のイケメンに驚いたが、やはり理解できない。

わたしがその顔だったらマスクなんて死んでも被らない。

いやその顔じゃなくても被らないけど...モテすぎて困るからマスクを?いや...それはないな。まだそんなに一緒に居ないがハコイヌは何処か天然っぽさを感じる性格だ。好意を持たれている事事態に気付かなそうだ。


ハコイヌの案内で店内へ入る。ここは客が自ら席を選ぶスタイルなのか。レストラン等では店員が「お客さまぁ 何名様ですぅ?はぁい、お席に案内しますねぇ」と若葉の様な薄緑色のツインテールが独特な口調で言ってくる が 酒場はやはり大人の空間か。ダラダラ通路に居座るとお酒を運んでいる人に 邪魔だボケタコカスゴラ!とか言われそう。


怒鳴られる事なく無事に席へ到着するとまた発見が。

ここにはイスがない。

テーブルやカウンターはあるが全部の席にイスは無い。そしてテーブルが小さい気もしなくもなくもない。


「俺は炭酸麦茶」


「俺は柑橘系」


と、2人はもう決まっている様子。わたしも何かカッコイイ感じのお酒を...、


「いらっしゃいませー、何にする?」


必死にメニューを見ているとすぐに店員さんが来て、それも軽い感じでオーダーを聞く。

わたしは焦ってしまいハコイヌと同じモノを。


「ビール2つと柑橘系なら...オラオラオレンジのお酒がオススメだから、それ持ってくるね、ごゆっくり~」


店の雰囲気的にも軽い感じでオーダーを聞かれた方がいい。席を各自決めれば即オーダーを聞きにくるスタイルか。

だから「とりあえずビール」とか言ったのか。ハコイヌめ中々の遊び人だな。

それにしてもセシルがオーダーした オラオラオレンジ ...この男はやはり違う。自分の世界を確り持っているのに他の世界にも確り眼を向ける。

いいコンビなのかは謎だけど。


注文したドリンクの他に料理も届けられた。


「んじゃ、クォーツストーン捕獲失敗 おつかれさまー!」


イマイチ気分が上がらない言葉だったがグラスをぶつけ合いお疲れ様会が始まる。会と言っても本で見た派手な感じではなく...これは反省会だろうか。


「クエェ!一仕事終えた後のビールはうまいね!」


グラスと言うかジョッキの半分を一気に飲むハコイヌ。

負けじとセシルも一気に。


「なるほど。オレンジが強く前に出てくるがそれを阻止するかの様に鼻から抜けるアルコール感が上手くマッチした1品。悪くないぜ」


その言い方も悪くないぜ。

続いてわたしが人生初のビールを。


「まっっっず!!」


ノドを通るこの独特な感覚と苦味と香り。味の無い炭酸水を飲んだあの日を思い出させる味。


これはダメだ。コーヒーに続きコイツまでわたしを苦しめるか。黒い飲み物と金の飲み物はヤバイ。と脳内メモし、気になっていた事を聞いてみる。


「ね、結局 誰が捕獲したの?捕獲ってどうやるの?2人のランクは?」


質問多いね。とハコイヌが言うとセシルが答えてくれた。


「捕獲したのはアスランって言う人で、捕獲方法は弱った瞬間や疲れた時を狙って捕獲専用の麻酔系アイテムで眠らる。そして捕獲専用のロープで縛れば1時間は起きない。大体45分でもう1度麻酔アイテムを使って街まで運んだりかな」



なるほど、よかったー。わたし麻酔アイテムの存在すら知らなかったよ。

捕獲専用麻酔アイテムにはモンスターのマナを一時的に感知出来ない状態にするらしい。これで結界内へ入れて街で麻酔効果が終了しても結界の力で身動きとれず。か...よく考えられている。


「それで、自分もハコイヌもランクはS+」


「S+!?それって...んと、上から3番目じゃん!」


「いや4番目ね」


凄い人達だったのか!心の何処かでマスクマンと乱射魔を小馬鹿にしていた自分を強く怒鳴り、落ち着いて考えてみた。

S3 S2+ S2 S+ ...セシルが言った通り4番目だった...。と言う事は[人見知りな宝石のお告げ]を攻略していた冒険者にはまだ高ランクがウジャウジャいたのか??

何か全員わたしと同じレベルに見えるのは何故だろう...。

それにしても捕獲した冒険者のランクが気に...、


「捕獲したのってアスランだたけ?」


「うん、そろそろかなー?」


ハコイヌがそう言うとセシルは黙って斜め上を指差す。

そこには超巨大フォン...フォンに似た何かがあった。


「あれは?」


「モニター。この街にしか存在しない超大型フォンって言えば解りやすいかも」


やはり巨大フォンだったか!モニター?と呼ばれるアレを全員が会話を止め睨む。

この街にしかないアレから何が?てか大型フォンなら誰かが操作しなきゃ意味ないのでは?

そう思っていると突然モニター画面が光り、映像が流れる。


「すげ、なにこれ、毎日こんな?」


モニターを指差し2人に聞いてみると、イベントや事件があった時だけ、不定期クロニクルの映像バージョン。と言っていた。

と、言う事は...不定期クロニクルよりもレアな映像クロニクルに出演すると超人気者になれる訳か!

イベントや事件があった時、、何か大事件を起こせば...いや、やめとこ。笑えない事になりそうだし。


モニターに写る可愛い女性が元気よく、不定期クロニクル と言い始まった。

今回はやはりあのクエスト[人見知りな宝石のお告げ]をクリアした人物がゲストらしい。


「ガハハハハ!俺様をゲストに呼ぶとは...世の女性が俺様の魅力で気絶してしまうな!」


と、予想していた男が予想外の調子乗りで登場。


「そりゃ映像じゃなきゃアスランのニオイで気絶しちゃうからねーこまたねー」


と、これは予想外の人物、烈風が登場。


「俺様が今まさにワキ汗かいてる事を皆に言うなや痛風!恥ずかしいやろ!」


最低だ。今この会話が街中に流れているのか...最低すぎるな。やはりこの男達はゲスい。


「アスランもれぷさんもテンション高すぎ、いつも通りやろうよ」


そう言って登場したのはバリバリ髪をセットしている白スーツ姿のゆうせーさん。サングラスまで装備していて、これには酒場中が爆笑し「アンタがいつも通りじゃないだろ」や「白スーツて」等の声も。しかし...、


「「中々のセンスだ」」


この2人...やはりオカシイ。

アロハや白スーツ、もう1人なんて今から寝ます。的なダル着で手にブドウパンだよ?これの何処にセンスを感じるんだ...普通に普段の装備で登場した方がカッコイイと思うが、、。


「今回はクエスト達成おめでとうございます!大変なクエストだったと思いますが貴方達を奮い立たせたのはやはり報酬額ですか?」


可愛い顔してドストレートな言い方をする司会者。金の為に頑張ったんだろ!と言っていないだけマシか?


「ふっ、俺様がやる気を出したポイントは金などゲスい理由ではない。ユニオン様からのクエストだったからやったまでだ。報酬金は全額寄付する予定やで。」


「「ギャンブル寄付ね、さすがアスラン」」



なんだよこの意味わからない不定期クロニクル。

必要ないだろ...わたしはテーブルにある料理を食べる事にした。

他の客はこの不定期クロニクルを見て爆笑したりヤジったりと楽しんでいる様子。まぁあの三人衆は笑いスキルに極振りしてるから楽しいモノになるだろうけど、もっとこう、凄い情報とかさー。


「では最後にアスランさんから冒険者やギルドの皆様へ大事なお知らせがあります!準備はよろしいですかー?、、どうぞー!」


なんだ?大事なお知らせとか言ってどうでもいい事をクチ走ったら暗殺されるぞアスラン。


「強者共よ!2日後の10時!ユニオン本部集合!!今回のクエストで捕まえた宝石ちゃんからのお告げだと3日後に超危険モンスターが現れるらしい!詳しい話は2日後の会議で知らせる。死にたがりのそこの貴様!絶対来いよ!」


その後も不定期クロニクルは15分程続き、いい感じに終わった。


2日後にユニオン本部。

その次の日に超危険モンスター討伐。と言う事か...。

これは是非参加してランクアップを狙いたい所だ。


ハコイヌ&セシルも行くらしいのでそこにわたしも入れてもらう事にした。



2日後はユニオン本部へ。



「...あの2人も来るのかな?」



宿までの帰り道、わたしは平原で会った2人を思い出していた。






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