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武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【クラウン】
224/759

◇223



グルグル眼鏡のふざけたピエロはルービッドへ指示を出した。「これをうまく成功させたら魔女狩りに付き合ってあげる」と毒にも似た言葉を添えて。

その毒は確実にルービッドを腐蝕させる。



「おいフロー」


空間内に残ったダプネは、同じく空間に残っているフローへ鋭い声を向ける。


「なんナリ?」


「さっきのサクラの使い方.....本当に正しい使い方なのか?」


数十分前、フローはルービッドへ指示の他にサクラの使い方とマジカルメイクを与えた。

出した指示は「ノムー、ウンディー、イフリーの偉い人を全員殺せ」だった。それにダプネは驚くも、クチを挟まず黙って聞き続けた。次に話した事はマジカルピエロの使い方と効果。そして最後に話した事はサクラの使い方だった。


「サクラに正しい使い方なんてないよ。さっき教えたのも立派なサクラの使い方。正しい正しくないは誰が決めるんだ?」


「お前な.....」


「大丈夫だ。元々ルービッドはこうやって使い捨てるつもりだったし、殺す手間が省けた。ダプネちゃんには約束通り、空間魔法を教えてあげるよ~」



サクラの使い方は2つ───データが残されていた使い方が2つだった。

ひとつは専用の武器に装着し、威力を増加させて使う魔結晶スタイル。

もうひとつは───サクラを破壊し、ハナビラと言われる障気を拡散させる言わば毒。


和國では魔結晶のように使うスタイルが主な使用方法だったが今はサクラ自体が希少なアイテム。和國にもサクラはひとつしか存在しない状態。


フローはルービッドへハナビラの使い方を教えた。

拡散する障気ハナビラは人間には猛毒。他の種族に対しての効果は様々。中和するには和國のどこかにある【ヨザクラ】といわれる黒いサクラが必要になる。

もちろん、毒である事もヨザクラが必要な事も、ルービッドには教えていない。



「サクラはここにひとつ、ルービッドにひとつ、そして和國にひとつある。存在するのはそれだけのレアアイテムだよー? 効果データをとるなら今がチャンスだとは思わない? そ・れ・に、どうせデータとるなら派手にいきたいじゃんかい! 偉い人ブッkillす以外に派手な事あるかね?」


「......もう勝手にしろ。ルービッドがどうなろうと、地界がどうなろうと、わたしには関係ない。とにかくさっさと空間魔法を教えてくれ」


「はいはい~。ルービッドを観察したいし、サクッと伝承してやろうぞ!」





謎の洞窟から出ようとした直後、ナナミンこと後天性悪魔のナナミから届いたメッセージは中々にわたしを焦らせた。

アイレインに各大陸の騎士やお偉いさんがもう集まっているとの内容。


「やべーよ! アイレインまで急がなきゃ! お前ら暇なら付き合えよ!?」


わたしはフェアリーパンプキンのメンバーを無理矢理連れていく事を強く選んだ。もちろん理由はある。

わたしの遅刻原因がこの3名と1匹である! とセッカに言い、クエストのやる気はあったのだが邪魔が入ったのだ! と説明するのに使う。悪く思うな妖精南瓜よ。

ダプネも発見次第確保し、わたしのクエストを邪魔した犯人としてセッカの前に叩き出してやろう。


「ワタシはいいよ! クゥのご飯もまだあるし、これ食べればまだ動けるもんね、クゥ」


「アイレインって行った事ないし、ボク達もいこうよ!」


「そうね.....クエストは報告するだけだし、いいわよ」



っっしゃ! これで完璧だ。か弱い少女エミリオは性悪魔女ダプネに飛ばされ、極悪集団フェアリーパンプキンに捕まってしまい、クイーンクエストに遅れたが必死にアイレインまで来た。そう、必死に。


この内容で説明すればセッカなら報酬をくれるハズだ。



「行こうぜ! アイレイン!」



洞窟から勢いよく飛び出し、ダルそうな雲を浮かべるウンディー平原を進んだ。





赤のダイヤマークを左頬にひとつ付けたルービッドは堂々とアイレインの街を歩き、教会前で停止した。フローが言っていた通り、教会の守りは手薄.....なんてレベルではなかった。門番となる冒険者や騎士は見当たらず、教会付近を走る者の頭にもはや教会は無かった。別の目的で頭がいっぱいになっている状況.....フローの読みの的中率にルービッドは驚いた。


「あの瓶底眼鏡.....頭悪そうなくせに凄いな」


頬のダイヤマークを撫で、フローの言葉を思い出す。

この【マジカルピエロ】というアイテムは自身の存在を隠す事に特化したアイテム。雨でもメイクが剥がれ落ちる事はないが、相手が自分の存在を見抜いた瞬間、メイクの効果は消える。

知り合いとぶつかった時に動きの癖などでルービッドであると確信をつかれればメイクは剥がれ、その瞬間からハイディングは消える。


「......ごめん、リピナ。私、やっぱり今まで通りの生活には戻れそうにないや」


家族とも言えるギルドを失ったルービッドは、2人の魔女を殺せるなら何だってする、と胸に刻み今───ゆっくりと堕ちて逝く。

腰から2本の剣を抜き、一歩進んだ瞬間、


「そこは今立ち入り禁止だ。用があるなら私が聞こう」


黒髪に───悪魔の瞳を持つナナミが教会へ到着した。



───最初の相手がウンディーの人か.......でも、今さら誰が相手だろうと、どうだっていいや。.....全部どうだっていいんだ。



ルービッドは小さく溜め息を吐き出すように、胸に残っていた未練を吐き捨て、鋭い視線をナナミへ向け───雨水溜まるアイレインを強く蹴った。





「あれがクラウンのメンバーか? それに相手は───ナナミじゃねぇか!?」


「ナナミ、ここに、いた、時、よりも、弱い、気が、するわ」


「生活環境や心境の変化もあるからな。フィリグリー、今度はナナミをしっかり掃除しろ」


「.....悪魔相手は想像以上に疲れるのだが、自分の不始末だ。引き受けよう」


「よし。ベルとリリーは邪魔な奴等を.....好きにしていい。俺は───王冠クラウンる」







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