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武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【クラウン】
202/759

◇201



「なーなー」


「「うるさい」」


「む.....」


このやり取りは朝から何回目だろうか。

本当ならば今日は、起きたら【フェアリーパンプキン】のギルドハウスへ朝食を漁り、【白金の橋】のギルドハウスでチビ竜とヘソ狼の様子を見に行き、お待ちかねの装備作製へ! と思っていたのだが、あくどい情報屋の罠により、全てが台無しになった。


気持ち良く起きたわたしは、宿屋の外に人が沢山集まっている事をすぐに知った。集まる人々の目的は天才かつ美しぎ魔女のわたし。最初は悪く思わなかった。むしろニヤけた。

しかし、魔力だの魔術だの薬だのギャースギャースうるさい連中、産まれた瞬間から魔女だったわたしに「魔女の魔力ってどんな感じなんですか!?」など聞かれても知らん。人間ってどんな感じなんですか!? と聞かれているようなもんだぞ。

魔術に関しても、いざ聞かれると答えにの困る。薬については全く知らん。

そんな連中を相手にしていたら1日などあっという間に過ぎ去ってしまう。そこでわたしは苦手な空間魔法を使い小範囲の移動を続け、やっと辿り着いたセッカの城───ユニオンで今も息を潜めている。


暇すぎて何度もセッカとナナミンへ話しかけるも「うるさい」と切り捨てられる始末。忙しそうに見えるが、少しくらい相手をしてもらいたいものだ。


「あああああ.....暇でヒマワリになりそう」


と、言っても反応はない。

忙しそうにペンを走らせているセッカ。書き終えた紙のチェックをするナナミン。

2人は3日前に起こった毒雨についての詳細をまとめ、各大陸の偉そうな人に報告するため、頑張っている。いや、それだけではない。この1年で起こった事などをまとめている。なぜそんなダルくて面倒でダルい事をしているのか聞いてみた所、四大会議 とやらがあるらしく、そのダルそうで面倒そうな会議の準備もしているらしい。


「.....なー」


「「うるさい」」


......はぁ。こんな事になるなら避難場所を妖精南瓜の家にすればよかった。今から移動する手もあるが、距離やらの計算が面倒すぎる。ダプネのようにサクサクポン! と空間を繋げればどれだけ楽か.....。そんな計算高い空間魔女のダプネは今朝の騒ぎを見て得意の空間魔法でどこかへ逃げてしまった。このわたしを置いてひとりで。

今すぐ外へ出たいが、望んでないチヤホヤが波のように押し寄せてくるだろうし、魔術でハイドレートを上げてスニーキングを.....それだと違うんだよなぁ。それじゃひとりと変わらないし、魔術での隠蔽は思ったより派手に動けないうえ、リビールされてしまえばアウトだ。

もう外へ出てうるさいヤツらに魔術でもご馳走してやるか? と攻撃的な考えを起こした瞬間、わたしのフォンが小さく鳴った。


「誰だー? この忙しい時に」


と言いつつも、嬉しい気持ちが湧くわたしは急いでフォンを取り出し画面を見る。画面ではメッセージ内容までは確認出来ないものの、相手の名前はメッセージを受信して約5秒間は画面に表示される。わたしのフォン画面には【@90】と表示されていた。このふざけた名前は本日のエミリオプランをぶち壊してくれた情報屋【キューレ】のフォンネーム。名前と同じく内容もふざけていたらぶん殴ってやろう。と考えつつ【@90】をタップする。するとメッセージ画面までジャンプされる。


〈どこにいるの?〉


と、情報屋とは思えない短さと内容の普通さ。しかしここでわたしは閃く。今キューレをここへ呼び、キューレが持つ能力ディアで小さくしてもらえばハイディングせずとも外へ出られるのではないか? 平原を少し進んだ辺りでサイズを戻してもらい、そのまま【アルミナル】まで行けば、お待ちにお待ち、お待ちかねの───装備生産が出来るのではないか!?

わたしは急ぎ〈セッカんち、早く来て〉と返事をし、キューレの到着を待つ事にした。





〈セッカんち、早く来て〉とのメッセージを受信したキューレは、送信者エミリオの考えをすぐに理解する。


───どうせウチの収縮能力ディアをアテにしとるんじゃろ。


呆れ笑いを混ぜた溜め息を吐き出すも、キューレ自身、今朝の騒ぎは予想外だったため少々やり過ぎてしまったと思っていた所。エミリオがどこの宿屋に泊まっているか、の情報を捌き捌いて稼いだお金を1vも払うつもりはないが「収縮化を使い、外へ出すくらいならしてやらん事もない」と胸中で呟き、集会場からセッカことウンディーの女王【セツカ】が居るユニオンまで向かう事にし、外へ出ると、


「あ!」


「お?」


「んじゃ?」


キューレを見かけ声を出したのは、毒雨事件から3日経ち、すっかりバリアリバルに溶け込んでいる錬金術師アルケミストの【だっぷー】と、半人半狼で毒雲を驚異的な剣術で斬り消した【カイト】だった。


だっぷーは錬金術師アルケミストの通り名で呼ばれ始めたのは納得出来る。カイトは瑠璃狼ローウェルという特徴を捉えているものの、侵食の後遺症でもある半狼が由来になっているため、喜ばしい名前ではない名で呼ばれ始めていた。しかしカイト自身は瑠璃狼と呼ばれ悪い気はしていない雰囲気だった。


「狼さんや、体調に問題はないかのぉ?」


キューレはカイトの姿を見て、世間話風に質問すると「大丈夫だよ」とあっさりとした応答が。ラピナとリピナが何度も診察した結果、人間と変わらない状態である事はわかっていても、やはり気になるのは狼の耳と身体を走る模様。毒雨こそ解決したものの、侵食の後遺症とも言えるカイトの状態、ギルド アクロディアの崩壊、色濃くなる魔女の存在、そして謎の子竜.....問題───と言っても大きな問題ではないが、問題は残っている。


「情報屋さんは何してるのぉ?」


「ウチは今から帽子女の所へ行くんじゃが、お前さんらも暇なら来んか?」


「帽子、フロー.....エミーだ! 山へ入れてくれたお礼まだ言ってないし、行きたい!」


「俺もちゃんと話した事ないし、一緒にいこうかな」


「助かるのじゃ、アイツはウチひとりじゃと持て余してしまってのぉ」



───大小様々な問題はどの大陸も同じかのぉ.....ウチは苦情を言ってきそうな客の対応から始めるとするのじゃ。


キューレは小さく息を吐き出し、だっぷー、カイトと共にユニオン───苦情を言ってきそうな客エミリオの元へ向かった。






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