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武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【瑠璃狼】ギフト レーゲン
185/759

◇184



冒険者を生業とする者達が必ず訪れる場所、ウンディー大陸の首都バリアリバルにある【ユニオン】という建物。

ここでは冒険者登録やギルド登録をし、正式に冒険者申請出来る。正式な冒険者にならなくても冒険者として生活は出来る。しかし稼ぎ口となるクエストが全く違う。冒険者ランクで解放され増え続けるクエスト、名を上げればクエストの話も持ちかけられ、冒険者登録しておく事にデメリットはなく【ユニオン】には日々大勢の人───もちろん人間種以外の種族も訪れる。

今やバリアリバル以外にもユニオン....つまり冒険者登録が可能な施設が設けられている。バリアリバルのにあるユニオンは本部と呼ばれるのと同時に城、または、庭、と呼ばれ始めた。その理由は───ユニオン本部にウンディーの女王【セツカ】の王室が設けられているからだった。

ユニオン本部の奥にある王室....と呼ぶには華やかさがない部屋だが、そこが女王の部屋であり、他大陸の権力者などが訪れた際通す部屋。しかし今は冒険者達がその部屋で立体化させた大型マップデータを睨んでいる。


「....何者かはわかりませんが、危険な存在である事に変わりはありません。小さな事でも気付いた事は報告、拡散してください!」


ウンディー大陸の女王【セツカ】は声を張り、マップを見る冒険者達へ言い、床に座る前髪をアップさせている女性の元へ。


「お前さんも感じとるか?」


結び上げている赤茶色の前髪をユサユサと揺らし、いつもとは違う雰囲気でセツカを見る女性───皇位情報屋【キューレ】


「はい....胸の中が重くなる嫌な感じが....」


「うむ。それを感じる事ができとれば上出来じゃの」


魔力でもマナでも気配でもなく、なんの説明も出来ない雰囲気をセツカ、キューレ、他数名の冒険者は感じていた。勘違い、考えすぎ、ならばそれでいい。しかし胸焼けにも似た嫌な感じが、風に乗りバリアリバルへ届く。

混乱する恐れがあるので “嫌な感じがする” などの掴めない理由で警戒レベルを引き上げる事は出来ない。


「.....ワタシは地下にいるね」


白黒剣士モノクロームナイトの【ワタポ】は床───地下へ視線を流す。現在ユニオンの地下には2人、レッドキャップのりょう、スウィルの死体がある。ワタポは純妖精との関係をより良い方向へとまとめるため、セツカと共に行動し、落ち着いたら埋葬してあげよう。そう思った矢先に不審な2人組がウンディーに現れ、故郷の地であるノムーへ帰るに帰られない状況に。


「お待ちなさい」


セツカの声がワタポの足を止めさせる。普段ならば「待ってください」などの口調だが、今の口調は女王としてのスイッチが入ったセツカ。


「ワタポと....もう1名どなたか、そしてキューレはノムー大陸へ向かい、りょうを埋葬してあげてください」


その言葉にワタポがクチを開こうとした瞬間、今まで黙り壁に背を張り付かせていた半妖精ハーフエルフの冒険者が割り込むようにセツカとワタポの間へ。

純妖精エルフの誰かが妖精女王ティターニアと呼び、それが面白い程一瞬で広まり不本意すぎる二つ名を持った【ひぃたろ】は以前とは違う瞳───エメラルドカラーの瞳をセツカへ向け言う。


「得体の知れない存在がウンディー大陸にいる事は確かだ。被害も出ている。そんな時になぜ、その決断を?」


純妖精の王族とも言える血を持つひぃたろは、セツカの出した答えに噛み付く。

ひぃたろはマテリアで生成された存在であり、それも半妖精。先に産まれたという理由だけで姉となったものの、本物の半妖精は妹だった。しかしその妹はもういない。いや、今やひぃたろも偽物ではなく、本物の半妖精。妹がひぃたろに本物を与え、ひぃたろは妹の眼で世界を見る事を選んだ。妹であり純妖精の女王であった【さくたろ】の真っ直ぐな瞳がセツカを刺す。


「ワタポにとってりょうは大切な存在、だから早く埋葬してあげたい。その気持ちは私にもあります。しかしそれだけではありません」


セツカは言葉を切り、胸の中にある想いを圧し殺すように瞳を閉じ、ゆっくりとまぶたを上げる。


「レッドキャップは死体を回収しに来るでしょう。今の混乱に乗じて侵入してくる確率は高い。ですので、りょうの遺体を奪われない為。そしてノムーから騎士を連れて来てください。元騎士であるワタポならばそれもスムーズでしょう」


「......、わかった。つまらない質問をして悪かった」


納得出来る答えではないものの、ひぃたろはそれ以上何も言わず下がる。


「....ま、ウチは何でもいいがのぉ。ついでじゃし、スウィルも埋葬してやるのじゃ。あやつもノムーが長かったんじゃし、犯罪者でも死体があるなら死者じゃ。埋葬してやる事に意味があるじゃろに」


「キューレ....ありが....、そうしてあげて下さい」


セツカはグッと何かを堪え、背を向けるように振り返り呟いた。


「うむ。ワンコも一緒にくるとして....もうひとり欲しいのぉ」


付き合ってくれるだろ? というような視線をひぃたろへ向けると、


「いいわよ、私が同行する。プンちゃんはここに残るのね?」


ずっと座り動こうとしなかった魅狐みこの【プンプン】はまぶたを上げる事もせず、頷いた。

レッドキャップが死体を回収しにくる。つまり【リリス】が来る事はほぼ確定している。


「いいの? ひぃちゃも一緒に残った方が....」


白黒剣士は半妖精と魅狐を交互に見て言うも、ひぃたろは「大丈夫」とだけ答え、地下へ向かった。


「ウチらも行くのじゃ。....

プンプンよ」


「ん? どうしたのキューレ」


「まぁ、なんじゃ、無理するでないぞ」


ヒラヒラと手を振り、キューレも地下へ。ワタポは心配そうにプンプンを見て、強く頷き地下へ向かった。



「.....ありがとうみんな。セッカも、ありがとう」


「いえ、私の個人的な気持ちを言えば、やはり反対です。しかし皆様も同じ事を考えていた様子でしたね」


「うん.....、リリスの相手はボクがする。ひぃちゃん達が地下を出たら誰も入れないでほしい。そして....」


「.....はい」



必ずレッドキャップは来る。そう確信していたプンプンは謎の2人組よりも、レッドキャップを、リリスだけを見て行動する事を決めていた。

ひぃたろ達が地下で用を済ませウンディーポートへ向かった頃、プンプンはひとり地下へ。



そして地上───街では、



『いい? シアン』


『あぁ、サプレーションは私がする』



バリアリバルへ入り込んでいた2人の魔女とレッドキャップは各々の目的のため、動き始める。


『さぁみんな....エミリオ以外は食べていいからね───あなたはまだ、ダメ』


琥珀の魔女 シェイネは自分の腹部を優しく撫で、巨大な魔法陣を上空に展開。

グリーシアンの【マナサプレーション】で魔女の魔力を隠し、シェイネは召喚術を発動させた。







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