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武具と魔法とモンスターと  作者: Pucci
【モノクローム ナイト】
156/759

◇155



飛び散る血液と打ち上がる腕。喉を裂く様な悲鳴が夜の森に響き、夜鳥が逃げるように空へ。

ナナミはりょうの剣術を剣術で弾き、仰け反り状態になったりょうへ闇色のカタナを容赦なく振るった。無色光を纏い素早く振り上げられたカタナはりょうの右腕の肘上から切断する。溢れ出る血液が地面に落下する前にナナミのカタナは再び振られる。二連撃剣術の一撃目は斬り上げで右腕を撥ね飛ばし、二撃目は斬り下げで垂直に右肩を通った。


声にならない悲鳴を上げ、のたうち回るりょう。ナナミは例え相手が子供であろうとも、刃を向ける敵として自分の前に立つならば容赦なく斬る。

返り血を頬に受け泣き叫ぶ少年を見下ろす黒赤の瞳。その姿はまさに───悪魔。


ナナミの犯してきた罪を償う機会を与えてくれたセツカと、後天性悪魔で元レッドキャップだと知った上でも接してくれる冒険者達の存在が、ナナミを大きく変えてくれた。


───レッドキャップは私が消す。悪魔と呼ばれようとも、私が。


半端な覚悟と実力でレッドキャップに手を出せば命を落とす。それだけではない。死んだ後も人形として操られる可能性がある。仲間へ近付き仲間を殺す人形として。他の者に任せられない、他の者を危険に晒したくない。そう思い、ナナミは自分の手でレッドキャップを壊滅させる事を選んでいた。


ナナミは剣術硬直ディレイが終わり一歩一歩りょうへ近付く。

───終わりにする。

そう告げる様な瞳で、動かなくなったりょうを見るナナミ。キンッと鳴らした闇色のカタナを高く上げ、振り下ろそうとした直後───


「ぐへぁ!」


と、緊張感もない下品な声が響き、少し離れた場所に落下した影。


「いってー....押すなよなー!」


長く伸びた青髪を揺らし、少し上を見て言う───魔女のエミリオ。視線の先には空間魔法がクチを開く。


「エミリオ、大丈夫!?」


と凛々しく品のある声が響き、燃える様な赤髪の女性が現れ、


「だっせーな」


とエミリオを笑う声と共に剣士がひとり、


「ワタシも危ないかも」


と不安そうな声を出すも綺麗に着地した義手の剣士。


「.....皆、なんでここに?」


ナナミは呟く様に声を出すと、エミリオ、セツカ、ダプネ、ワタポがナナミを見た。


「んあ?ナナミンじゃん!何して....」

「....───りょう!?」


エミリオの声を消す様にワタポが声を出し、ナナミの前に倒れているりょうへ駆け寄る。


「危険だ!近付くな!」


ナナミはワタポの身を案じて叫ぶも、


「りょう!」


ワタポはナナミの声も聞かずりょうの元へ一直線に向かい、右肩から先を失い倒れるりょうを抱き抱えた。

溢れ出る血液の温度も、冷たくなるりょうの体温も、義手では感じられない。


「ナナミ、これは一体....」


遅れて駆け寄ってきたセツカはナナミへ質問する様に呟き、驚き見開かれた瞳でワタポとりょうを見詰めた。


「ワタポ一旦離れて、傷を凍らせる」


───って言ったものの、どう見ても手遅れだろコレ。


エミリオはそう思うも、氷魔術でりょうの傷を凍結させ、出血を止める。


「何してる!?コイツはレッドキャップの───」


レッドキャップのメンバーだ。と言おうとしたナナミだったがワタポを見てクチを止めた。正確にはワタポの義手と生身の境界線に見えるマークを見て、クチを止め記憶の引き出しを探る。


───りょうが元々所属していたギルドは蝶のマークを持つ【ペレイデス モルフォ】、マスターは【マカオン】という名で、その人物は今───....この冒険者だ。


ワタポとりょうの関係を思い出した....いや、今まで気にもしていなかったナナミは今ハッキリ関係性に気付き、自分の行動が人を、仲間を悲しませてしまった事を知る。しかしりょうはレッドキャップ───つまり犯罪者。犯罪者に肩入れする行為自体が犯罪になる。


───でも、それなら私はどうなる?りょうよりも指定ランクは高く、罪の数も多い私は....。


ナナミは自分の立場を理解したつもりでいたが、何も見えていなかった。元レッドキャップと言えども “元犯罪者” になる事はあり得ない。犯罪を犯した者はどこまでいこうとも、犯罪者なのだから。


言葉を失ったナナミ、何も言えず黙る他のメンバー。しかしその沈黙はすぐ破られる。


「おいおい、今アイツが来るのはナシだろ....」


魔女ダプネは【旧フェリア遺跡】の入り口を見て、苦笑いを浮かべ言った。

遺跡から出て来たのは黒紫のゴスロリドレスを着た───【リリス】だった。


人形少女はりょうを見て、クチを歪め嗤った。






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