提案:「特典依存度」を加味したランキングを作ってみては?
これまで様々な作品の特典状況を調べて分かったように、昨今のアニメ映画は想像以上に入場者特典に依存しています。
中にはコナンやドラえもん、クレヨンしんちゃんやプリキュアなど、特典にそこまで依存しないケースもありますが、シリーズ化していてファミリー層やキッズ層にも幅広く人気があり安定して稼げる作品ばかり(コナンに関しては特典ではなく前売り券で相当稼いでいるらしいが)
それ以外のアニメ映画となると、「毎週特典があって当たり前」というのがもはや常識と化している感さえある……
そうなると、肖像権その他諸々の問題で場面写ポストカードなどの特典が頻繁に出せない他の実写邦画・洋画が興行面で不利になり、アニメ映画が本来の作品力以上に過大評価されてしまう……という問題はあらゆるところで言われているとおり。
だからといって法規制などを無理矢理かけて強制的に「入場者特典禁止! ランダム配布禁止!」などとやると映画館側の収益が落ち、ヘタをすれば経営が立ち行かなくなる劇場も出てくるのが現状。当然制作側の収益も落ちるので将来的にも作品づくりに大きな影響が出てくる。
また、外野から見たらどれほど地獄な毎週ランダム特典であっても「ランダム楽しい! お祭りだぁ~!!」などと歓迎する層が存在する以上、作品公式側がそういった特典をやめる理由もない。消費者庁案件にでもならない限りは。
じゃあ、このような特典有無による格差をどうすればいいのか?
そこで私が考えたのが、このサブタイにもあるとおり
「特典依存度」を加味した興行収入ランキングを新たに作る
という案。
つまり、作品ごとの興行収入が入場者特典にどれだけ依存しているかの指標をつくり、それに基づいて作品の「特典依存度」を算出。その数字を勘案して本来の興行収入からある程度割り引いて(あまりに酷いものは作品自体を対象外として)ランキングを作るというもの。
要は、特典依存度が高ければ高いほどランキングで使用される興行収入は低くなる、ヘタすればランキングからBANされるという仕組みだ!
勿論、どちらの興行収入ランキングを参考にするかは視聴者側の自由。規制などしてるわけじゃないので、本来の興行収入は問題なく劇場側にも制作側にも入ってくる。
今まで通り、ランダム特典祭りを毎週楽しみたい人は楽しめばいい。ただし、それは映画を観に行くわけじゃなく特典祭りを楽しみに行ってるわけだから映画の興行じゃないよね?というわけ。
(ノンブーストランキングと私は密かに名付けた。王●のブランチとか、実写邦画大好きな情報番組は大喜びで採用しそうなランキングである)
ではその依存度の算出はどうすればいいのか?が当然問題となりますが……
暫定的に、こんな基準を設けてみました。
1.一律加算:特典配布1回につき一律+1点
2.ランダム配布の有無:ランダム3種までは1回につき+2点を加算。
ランダム4~5種は1回につき+3点、6種以上は1回につき+4点(ランダムコマフィルム特典は一律で+3点)
3.週替わり特典の有無:2週連続が1回につき+2点。3週連続になったらさらに+2点、4週連続でさらに+2点……と累積加点していく。特典なしの週があればそこでリセット。
週替わりか否かの判断は「前週に続いて新規特典が配布開始されたかどうか」。つまり4週目で新規特典があり、その翌週の5週目でも別の新規特典が配布された場合などを指します。期限が切られているか、通常上映か特殊上映かは無関係とする(ただし通常の特典と同時に4DXの特典が配布開始となった場合はこの加算はなし。この項目で見るのはあくまで「前週に引き続いて新規特典があったかどうか」なので)
4.特典回数の頻度:1か月間のうち新規配布が4回以上になったら+3点
そして2か月間で8回を超えた(つまり9回以上となった)時点でその作品は永久にランキング対象外
その他
・高コスト特典:CD、フィギュア、プラモデルなど高単価なら+2点
・再配布の有無:1回につきマイナス1点(ただし一律1点含め、ランダムや連続など他の要素は通常どおり計算する)
また、再配布と同時に他に新規特典(例・再配布に新規イラストをつけるなど)がつく場合は新規特典とみなし通常通り計算
※4DXなど特殊上映のみの特典も計算に含める。この場合、通常上映の特典配布がなければさらに+1点
※最初から配布対象が10館以下の特典(地域限定特典など)は計算に入れない
ただし、上映館数の減少などで特典配布される劇場が自然に10館以下になった場合は当然通常通り計算する
特に重点的に見るべきと考えたのは「特典回数の頻度」「週替わり連続特典の有無」「ランダムの有無」。
特典の内容についてはあまり考えず、ランダムがあれば即加算、週替わりがあれば即加算!と考えた。特典イラストに使用されるキャラ人気とか考え始めたらキリがない。
特典回数(つまり頻度)についてもう少し補足すると、「1か月で4回」「2か月で9回」の1か月2か月というのは公開開始時からだけ計算するのではなく、公開中のいずれかの期間で該当すれば、という意味。つまり公開日から2か月経過すればいいというものではなく、「公開中のどの期間であっても」、1か月か2か月というスパンで特典をこの回数だけ出したら相応のペナルティが加算されるというわけです。
あと、この方式だと4週以上にわたり毎週延々と特典を出し続けていればそれだけで毎週6点が加算されていきます(一律1点+週替わり加算2点+1か月4回以上加算3点)
1か月4回で対象外としても良かったのですが、少しでも多くの人に見てもらうという目的で初動の1か月で特典を集中させたり、4DXなどの特殊上映開始時に特典を集中して配布するケースも多いため、そこを一律対象外とするのはやめました。
ただしそれを2か月以上続けたら、もうその作品は作品で勝負していないと見做し、アウト!!というわけです。
高コスト特典に冊子系を含めるかどうかは悩みましたが……
冊子系は映画の内容と直結していることも多いから、一律で「これは特典だから作品の力ではない、ペナルティ!」と決めつけてしまうのも少々乱暴な気がする。また、アニメ以外の映画でもやろうと思えばやれるという点も考え保留に(原作者監修によるサイドストーリー小説冊子とか)
やるとしても、20ページを超えたら+1加算、50ページ超えで+2加算ぐらいでOKな気も。
ただし、いくら映画の内容と結びついていてもCDやらフィギュアやらはさすがに特典としては高コストだろうと考えて加算ということにしました。
この基準に基づき、仮に現在上映中の鬼滅・無限城編第一章の特典依存度計算をしてみると
初週(アートスタンド+ランダム6種ポスターデザインカード)
→一律1点+ランダム6種で4点=5点
3週目(キービジュイラストボード)→1点
4週目(クリアカードランダム6種)→一律1点+ランダム6種で4点+2週連続特典で2点=7点
6週目(キービジュイラストボード)→1点
7週目(SPインタビュー冊子(通常上映)+オリジナルステッカー(4DX))
→通常&特殊で一律1点ずつで2点+2週連続特典で2点+特殊上映で通常特典配布なしのため1点+1か月に4回以上の特典で3点=8点
9週目(キービジュイラストボード)→一律1点+1か月4回以上(6週目で1回、7週目で通常と特殊上映で2回の特典配布)の特典で3点=4点
10週目(パンフレット副読本)→一律1点+2週連続特典で2点+1か月4回以上の特典で3点=6点
12週目(キービジュイラストボード)→1点(連続ではない&この時点では1か月に3回になるので1点のみ)
こんな感じで、第12週目までだと合計点数が33点となります。
全く同じようにゲ謎の通常版を計算したら合計点数はなんと、鬼滅よりかなり低い8点。
真生版を含めても15点です。特典映画だのと揶揄されまくっているゲ謎ですが、実際はこんなもんだ!!
忍たま・ガンダムSEED・プロセカの松竹特典三邪神は10週だの17週だの20週だの連続特典やらかしてる時点でアウト、ランキング対象外。
(ちなみに最後まで計算したら忍たまは72点、SEEDはなんと126点と脅威の100点越え。SEEDは7週目の時点で既に対象外になっちゃったのが酷いw)
プロセカは……8週目の時点でもう67点。
仮に最後まで真面目に計算したら目の玉飛び出そうな点数が出そうな気がしますが、そこまでやる気力がないw
あと、これまでエッセイで取り上げた作品だとジークアクス41点、ワンピ11点、スラダン14点、ハイキュー13点、無限列車12点、すずめ4点、アイナナは123点。
いずれも再上映は含めない計算ですが、やはりガンダム系は特典が重なりがちになることが多い為に比較的高得点になるのか……そんな中アイナナ123点はある意味予想どおりw
※当方はおっちょこちょいにつき計算が不正確な可能性があります。もし数字を間違えていたら申し訳ありません
そして、これらの点数を考慮してどんな感じでランキングをつけていくかですが、単純にその作品の特典依存度点数をパーセンテージに変えてそれを差っ引くという感じにしてみるのが分かりやすいかと。
つまり鬼滅無限城編第一章だったら、本来の興行収入(10/5時点で357.7億)の33%を引いて算出することになります。それでも240億近くってのが鬼滅のヤバイところですが(;´∀`)
ゲ謎(真生版含む)だと32億×(1-0.15)=約27.2億円
ジークアクス(第10週まで)だと32.9億×(1-0.41)=約19.4億円。
正直、歴代ランキング上位作品ともなると影響は殆ど皆無な気はしますが、週末ランキングや月間ランキングなどでこれを採用するとかなりの変動が出そうな。特に累計興行が20~30億のあたりで勝負してるアニメ映画は。
特典イラストが新規描き下ろし(or特典冊子の小説・漫画などが新規書き下ろし)だった場合+2点にするかどうかはかなり迷ったところですが、新規描き下ろしによる集客力はイコール作品力・制作の力として考えることもできるので、そこでペナルティ加算するのは違うのでは?との考えから加算はなしに。
また、劇場用に描き下ろしたポスターを特典にした場合など、新規絵か既存絵かの判断が困難な場合もあるし。
ただ、それをランダムにしたり毎週にしたら容赦なく加算していくよというわけですw
ビルボードのランキングチャートでも今年(2025年下半期)から改定が入り、「日本独自のマーケットバランスを考慮し、対象曲のストリーミングポイントを一定の割合で減算する」という方式がとられるようになったらしい。楽曲なら通算52週以上、アルバムなら26週以上チャートインしている作品が対象になるらしいですが、「今後もマーケットの動向を注視しながら、必要に応じて減算率などのバランス調整を行う予定」と公式サイトにはあるので、長期チャートイン以外でも減算要素はありそう。
それと同じように、映画興行ランキングでも調整がなされる未来はありそうな気がします。今後もあまりに毎週ランダム特典でのランキング席巻が続くようなら。
毎週のランダム特典は楽しくてしょうがないのにこんなランキング酷い!という考えのかたも当然いらっしゃると思います。
しかし、それってつまり映画じゃなくて特典目当てでは? 特典がなければ行かないでしょ?という考えのかたがいるのも事実。
いや、特典なくても私は行く!って人も当然いるとは思うけど、実際多くのアニメ映画の状況を見る限りそういう人は残念ながら少数派。新規特典が出なくなった週、容赦なく激減する先週比が物語っているんです……
仮に「特典なくても行くよ」層が多くいる映画があったとしても、それは「特典? ライビュ? ナニソレ??」っていうライト層までを惹きつける、ホントに力のある映画に限られている。
え、SNSだと特典なくても行くって意見の人多いって? そりゃそうだろSNSで「特典なかったら行かなーい」なんてウッカリ書こうもんならジャンルによっちゃ炎上ですよ。
例えば、毎週週替わりのクジ引きやってるレストランがあるとして、「あのお店、食べたらクジ引かせてもらえて楽しいから毎週行っちゃう~!」というお客さんが増えても、その結果「グルメランキング」に掲載されて、そのお店の「味が評価されている」ということになったら何かおかしいと思うでしょ? ましてや、普通に味で勝負してる別のお店が、ランキングを見ただけの客に「あの店に味で負けてるw」なんて煽られたら我慢ならんでしょ? 似たような客層だけどクジなんて使ってないお店が「あの店もどうせクジで儲けてんだろw」とか言われたら名誉棄損ものでしょ?
このランキング及び評価基準はそんな惨劇を回避する為のもの。「味」を評価する為のものであって「クジ」を評価するものではないのです。
また、「特典は映画をもう一度見るためのきっかけにもなるから、一概に特典商法と非難するのはおかしい」という意見もよく見ます。
自分もそこはおおむね同意見。「良い映画だったし、良い特典が出るのならもう一度その時に観に行こう!」となるのはごく自然なこと。ゲ謎でも鬼滅でもそうだった。
ただ、それを「4週以上も毎週連続」「当たり前のようにランダム要素あり」にしてしまうのは違うんじゃないかと。そこまでいくとやはり「映画」ではなく「特典」による集客と判断されても仕方がないのでは。
あと、対象外になる作品についてもう少々。
くれぐれも誤解しないでいただきたいのは、対象外になる作品は映画の内容如何にかかわらず、「特典の頻度が基準値を超え、作品本来の力がほぼ見えなくなっているもの」であって、決して出来の悪い作品という意味ではない。いい映画かどうかも分からんけども。
いい映画ならいい映画で、どれだけ特典まみれだろうと楽しめばいいじゃないですか。あなたが作品を「良い」と思ったらもう、特典に何が出ようと興行収入がどうなろうと、ましてや一介のド素人が考えただけのランキングなんぞ何も関係なく、こころゆくまで楽しめばいいんです。
ぶっちゃけ、他の作品やファンを興行収入で煽り倒してマウントとるなどの迷惑行為さえしなければ私はそれでいいです。これ以上は喧嘩腰になるから言わんけども!!
ただ、2か月以内に8回も9回も新規特典出してるって時点で、その作品を通常の興行収入で評価するのはなんかオカシイと思ったほうが良いってことです(しかもそういう作品は大概ランダムも多め)




