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アントホームです14

 地図をオルルさんにもらってからはとてもスムーズに進むことができた。一応安息所の場所だけは知っておきたかったのでマッピングがてら立ち寄っていたが、それをなくせば最短ルートで進めたことは確かだろう。罠の位置もわかってたから、わざと発動させたときとか、そこを通ると必ず発動するような不可避の罠以外はうまくよけて進むことができた。トラップの位置がわかってるだけでここまで変わるもんなのか。まじでその道の専門家が仲間にいたほうがいいな。

 12層も特に変わりなく進み、その間に出てきたモンスターもあっさりと打ち崩していった。

 11層以降で新たに出現したのはエルダーアント種。ナイト、ルーク、ポーン、ビショップ、ハンターなど片っ端から相手にした。基本1体で動いていることが多く、連携をとって襲ってくるような奴はいなかった。しかし、1対1体の強さはこのダンジョンの今までのモンスターと比べると格段に上がったと思う。

 俺が使ったファイアを全種軽々とはじいてきたのだ。たしかに俺の魔法はマナの魔法よりも威力が大きく劣ることはたしかだが、それでもそれなりの威力をほこる。少なくともキラーアントまでは一撃で倒せるくらいの威力はある。これは11層に入ってから1回だけ戦ったキラーアントで実証済みだ。

 まあ魔剣ステュラを受け切れるような奴にはまだあってないから楽ではあるが。あ、ボス部屋以外でね。


 11層突入から感覚的に3時間くらいたったころ、俺たちは13層に入った。このダンジョンでは、5層に1回しか外にでたり入ったりする転移陣はない。最近見つかった多くのダンジョンでは1層ごとにあるらしい。ここはその例外みたいなもんだ。ダンジョンコアを回収したダンジョンも同様だ。コアを操作して1層ごとに転移陣を作る。1層ごとに帰れるのであれば死者はかなり減るらしい。

 例えばここだと4層で大けがをした場合は結構大変だったりする。怪我人を支えながら、これまで来た道を4層分戻るか、先に進んで5層のボスを突破するしか帰る方法がない。15層みたいにボス部屋の前に作ってくれればいいものを…。

 まあ贅沢は言ってられないし、ボスさえ倒してしまえばいいということで問題はないように感じる。ボスもたしかに強そうではあるんだけどな…。

 13層ではこれでもかというほど罠が仕掛けられていた。しかも即死級の罠ではなく、足の高さに飛んでくる矢だとか、腰の高さまで槍が伸びてくるのだとか怪我は負っても別にすぐに死ぬわけではないような罠ばかりなのだ。そしてその罠の後には結構な確率でアントたちがいる。まあ俺のステータスかヒツギの棺桶の強化素材になるからいいんだけどさ。

 13層もあと少しというところまで進んだとき、前方から戦闘音が聞こえてきた。

 指示を出す声も飛び交っており時々爆発音もするから魔法をつかえるやつもいるのだろう。優勢か劣勢かは行ってみないとわからないが基本的に他人の戦闘に介入するのはよくない。そう思ってゆっくりと終わるくらいにそばにいくくらいのペースで行こうと思っていた。


「キャアア!!」


 しかし、悲鳴が聞こえたことでその考えは変わった。3人ともが顔も合わせずに一斉に走り出す。場合によっては介入しないといけないかもしれない。


「くそ! おいルクス! 大丈夫か!」


「コンドー! 今は先にこいつら片付けねえと!」


「1体行ったぞ! マリーの壁がいねえ!」


「僕がカバー入ります!」


 状況は見るからに劣勢だった。

 戦っていたのは6人のパーティだ。全身鎧の血だまりに倒れている男、同じく全身鎧で、倒れている男のそばでアントを振り払っている男、少し軽めの鎧をつけた槍使いの男、後衛で弓を構える女、彼女の少し前でアントを引き付ける短剣使いの男の子、1人で2体を足止めしている刀使いの男。前衛全員が傷を負っていて、中には足を引きずっている奴もいる。

 そして今、刀使いが攻撃をさばききれなくなって倒れてしまった。2体のエルダーナイトアントが倒れた男を無視して槍使いの下へ向かう。くそ、意外と距離が遠い!


「マジックボウ・ノーブル!」


 俺の横から2本の魔法の矢が飛んでいきナイトアントの体を射抜いた。マナ、ナイス!


「加勢する! もう少し耐えろ!」


 俺は腹の底から叫ぶ。あと100m!


「助かります! コンドーの援護を!」


 短剣使いの男の子が返答を返してきた。彼自身もエルダーハンターアントを引き付けているのだがすでに足を4本切り落としていたので大丈夫そうだ。だがコンドーという男の方はまずい。ナイト、ルーク、ハンターの3体が同時に詰め寄っている。その周りに見える死体もそれなりにある。何体ひきつけてんだよ。


「ワープ!」


 小規模ワープを連続で使って一気に距離を詰めていく。2mずつでもコスパ最悪でも仕方ない!


「しゃがんでくれ! 一閃!」


 俺の声に即座に反応したコンドーはバッとみをかがめた。そして頭があったところを俺の剣が通り過ぎた。反応してくれなかったら頭と胴がおさらばしてたかもとか思わない。そこはさすがに止めるしね。

 コンドーの代わりにアントたちの胴と頭が分かれた。あとは男の子のとこの1体だけか。

 斬ったアントが倒れるのを確認し男の子のほうを見る。ちょうど向こうも倒し切ったところだ。これで残敵はいないな。


「ルクス! カーラン! しっかりしろ!」


 敵を倒し切ったことでコンドーは倒れてる男を抱き上げる。鎧は大きく切り裂かれていて、今も血がドバドバと流れ出ている。しかも彼だけでなくカーランという刀使いの方もやられているのだ。向こうは向こうで短剣使いの男の子たちが抱き上げていて、必死に腕から出る血を布で止めようとしていた。右肩から先が切れていたのだ。


「くそ、回復魔法なんて高度な魔法使えるやつなんか俺らのパーティにはいねえのに! なああんたら! 回復魔法をつかえるやつはいねえか!? このままだとルクスも、カーランも死んじまう!」


 コンドーが2人の傷の深さを見て俺たちに叫ぶ。その慌て様から必死さが伝わってくる。その気持ちは理解できるし仲間がこうなったら俺も必死になる。


「マナが使える」


「まかせて。『慈愛の光がその身を癒す』ヒール」


 マナが手をかざした二人に向かって光が飛ぶ。それに覆われた2人の傷がみるみる治っていった。切れた腕は治らず、傷がふさがってしまったので彼は今後片腕で生きていくことになるが生きているだけましだろう。

 ヒールで回復していく2人を見てコンドーたちは安堵の表情を浮かべていた。右腕のないカーランを見て痛ましそうにしていたが、命があることにどこかほっとしていた。


「あなたは高位の神官なのですか? あんな強力な回復魔法をつかうなんて」


「ううん。私は魔法が得意なだけで回復魔法はちょっとした事情があって覚えることになったんだ。でも腕は治せないの。ごめんなさい」


「そうなのですか…。いえ、腕の件はしょうがありません。あのままだと私たち全員が死ぬかもしれなかったんですから。命があっただけでもありがたいです。助けていただきありがとうございま「なんでだよ!」…コンドー?」


 コンドーが涙を浮かべながら叫んだ。俺たちのことをにらみつけながら。その眼はまるで俺たちを恨んでいるかのようだ。


どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX

 格闘家 LvMAX

 冒険者 Lv56/99

 狙撃手 Lv44/50

 盗賊  Lv39/50

 剣士  Lv39/50

 武闘家 Lv36/60

 戦士  Lv37/50

 魔法使いLv43/50

 薬剤師 Lv34/60

 鬼人  Lv8/20

 ????の勇者Lv8/??

 狙撃主 Lv15/70

 獣人  Lv1/20

 狂人  Lv1/50

 魔術師 Lv1/60 』


書いてたら6000文字くらいになりそうだったので2つに分けました

メイたちは軽々進んでますが実際こんなもんですよ?


予定では続きを明日投稿します

あくまで予定、予定は未定、です

ではまた次回

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