守護龍の試練です12
俺の前に現れる巨大な魔法陣。今までと違い1つしかないその魔法陣から出てきたモンスターはその大きさに似合うだけの巨体と圧を持って俺に牙をむいた。
『スリーヘッドドラゴン(ドラゴン種)』
ここまで戦ったドラゴンたちの体をそのまま大きくしたような胴体を持っており、その首元からは3体のドラゴンの頭が生えていた。左から順にグリーンドラゴン、サンダードラゴン、ダークドラゴンの頭だ。真ん中のサンダードラゴンの頭はWAVE50で戦ったサンダードラゴンと同じように雷を纏っているが、他の2つの頭にはそういう特徴はなさそうだ。
「「「グゥァァアアア」」」
3つの頭が同時に俺に向かって吠える。左2つの頭はすぐに目の前にそれぞれ風と雷属性の魔力を集めていたが、一番右のダークドラゴンの頭だけが吠えるのをやめなかった。
「ん?」
突如として体から力が抜けるような感覚に陥った。この戦いの前にかけなおしていたエンチャントが一部剥がされたらしい。WAVE70で出てきたときには瞬殺したからわからなかったがダークドラゴンにはこんな能力もあったのだろうか。まあこのスリーヘッドドラゴンの能力で、たまたまダークドラゴンの頭で使っているだけかもしれないが、どちらにせよ2つの頭で攻撃、そしてもう1つの頭がこちらの強化を解除してくるとは厄介この上ない。
剥がされた『マジックエンチャント』と『スピードエンチャント』をかけなおし、飛んでくる風の魔法弾の方に『エアロ』を放って相殺し、もう片方は迫ってきたところを殴りつけた。
『スキル:サンダーボールLv1を習得しました。 』
狙い通り、基本属性と違ってまだ習得していなかった『サンダーボール』を習得できた。
すぐに『魔法剣召喚』で両手に剣を生み出し、スリーヘッドドラゴンに向かって走り出す。向こうもすぐにエンチャントをかけなおした様子をみて、ダークドラゴンの頭も吠えるのをやめ、攻撃に転じだした。向かってくる俺に対して3つの頭が同時にブレスを吐いてくる。俺の行く手を防ぐべく吐かれた3種3様のブレスに対して、足を止めて『死龍のブレス』で抵抗する。
龍に対して特効性のある『死龍のブレス』だからこそ、3つのブレスであっても問題なく押し返し、そのままスリーヘッドドラゴンに直撃した。しかし、3つのブレスで威力をそがれたのか、直撃はしたものの大したダメージにはならず、体表を少し傷つけただけで終わった。
「「「グゥゥァァアア」」」
傷ついた個所はスリーヘッドドラゴンの再生能力ですぐに回復していく。しかし、痛いことは痛いらしく、左右の頭が苛立ち任せに魔法弾を撃ってきた。
『剣閃』でそれらを切り裂き、再びスリーヘッドドラゴンめがけて走り出す。同じように魔力弾を連射し始めた左右の頭に対して、真ん中のサンダードラゴンの頭が雷を落とす。苛立ち混じりに連射される魔力弾は俺の後方で爆発するものも多いが、雷は一直線にこちらに向かってくる。
「『ダークネスシールド』」
躱すには数が多く、頭上に盾を広げて雷を防ぎながら走る。その間にも飛んでくる魔力弾は止まず、『剣閃』をつないで処理していく。だいぶこのつなぎにも慣れてきた。
「ぐっ」
後方に飛んだから無視していた魔力弾の1発が起こした爆発で飛ばされた石礫が『迦楼羅』の炎を貫いて背中に刺さった。意図したわけではなさそうだが、俺の表情がゆがんだのを見てスリーヘッドドラゴンの表情に笑みが浮かぶ。嫌な笑みだ。
すぐに刺さった破片を取り除き、『再生』で傷を癒し、『鉄鬼化』で体を強化する。味を占めたのか、サンダードラゴンの頭が俺を直接狙うのは変わらず、左右の頭は俺の周囲に落とすように魔力弾を連射してきた。
流れ弾によってたまたま生じただけのただの石礫が『迦楼羅』の炎を突破してきたことには驚きを隠せないが、『鉄鬼化』で強化をした以上、もうそれも起こらない。もしかしたら最初のエンチャントを剥がす咆哮によって『迦楼羅』も弱体化していたのかもしれないが、あれ以降同じことをする気配はない。
スリーヘッドドラゴンは初見のモンスターではあるが、こうやって戦ってみると死龍王ダムドレアスや、やつに率いられていた龍種たちよりも圧倒的に強いというような感覚はしない。まあそいつにダメージを負わされている身であまり言えたことではないが。
「『マジックハンマー』」
前方に強く駆け出すのに合わせて足元に出した『マジックハンマー』に乗って急加速する。サンダードラゴンの頭は雷の軌道を曲げて加速に対応してくるが、他2つの頭から放たれる攻撃は後方に置き去りになった。俺は『空蹴り』と『マジックハンマー』でさらに加速しながら3つの首の根元に向かって飛んでいく。歩数にしてもう3~4歩というところまで来たところで左右の首が魔力弾による攻撃を諦めて噛みつきに来た。
俺の体ごと丸のみにできそうなほど大きく開いたその顎を『マジックハンマー』を操って躱し、両腕を一直線に伸ばして回転するように『一閃』で切り裂く。その反動で剣は砕け、堅い鱗に阻まれて深くまではいかなかったものの、2つの首に斬りこみが入った。しかし、そんな傷も噴き出す血も気にせずに2つの頭は攻撃を続けてきた。下から噛みつこうとするグリーンドラゴンの頭に対して上から鞭のようにしならせて叩きつけようとしてくるダークドラゴンの頭。それらを『ダークネスシールド』の『シールドバッシュ』と『鬼の一撃』を付与した『マジックハンマー』で迎え撃つ。
「クィィァアア」
『魔法剣召喚』で次の剣を出す間にサンダードラゴンの頭がこれまでで最大級の魔力を口元に集めだした。簡単にはさせないためにその口元に『ダークニードル』を飛ばすが、『マジックハンマー』で上に殴り上げたダークドラゴンの頭が盾となり届かせなかった。それでも、下顎に突き刺さった『ダークニードル』はそのまま脳を貫いたらしく、目から光が消えて力なくだらんと落ち始めた。
頭が1つ死んでバランスが崩れたのか、スリーヘッドドラゴンの巨体がぐらりと揺れる。ほんの数秒ではあったが、新しい魔法剣で攻撃を入れるのには十分な時間だった。
「『一刀両断』」
サンダードラゴンの口元に集まっていた魔力ごとその頭を縦に切り裂いた。コントロールを失った雷が暴発して自身の体もお構いなしに降り注いだ。雷の源に近く、石礫対策に『鉄鬼化』状態だった俺は真っ先に雷の対象となり、砕けた魔法剣を通じて全身を駆け抜けていった。
『スキル:雷耐性Lv1を習得しました。 』
魔力としては『喰らう瞳』で喰らって耐性を獲得したが、発生した雷によってもたらされた熱が消えるわけではなく、容赦なく俺の体を焼いて体が内側から悲鳴を上げる。
「『魔力盾』『アクアボール』『アイスボール』」
筋肉が焼けたのか足にも力が入りにくい中、『鉄鬼化』を解いた上で5連ほどで真上に作り出した巨大な水の塊に飛び込み、強制的に体を冷やした。
各種回復系のスキルによって癒されていく中、最後に残ったグリーンドラゴンの頭が下から大口を開けて迫ってくる。まだ割と余裕のない俺は、真下から迫るグリーンドラゴンの頭に向けて『死龍のブレス』を落とす。万全ではない状態で、自分で作った水にも阻まれて威力が若干落ちているものの、倒すのには問題なかった。
「------」
声にならない声を上げるグリーンドラゴンの頭が崩れ落ちるのと共にズシンと音を立ててスリーヘッドドラゴンの巨体も倒れた。そしてその巨体もこれまでのモンスターと変わらずに姿を消した。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv17/?? ローグ Lv54/70
龍人 Lv12/20 精霊使いLv21/40
舞闘家 Lv39/70 大鬼人 Lv14/40
上級獣人Lv8/30 魔導士 Lv41/90
死龍人 Lv4/20 魔人 Lv2/20
探究者 Lv6/99
非有効職業
狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80
呪術師 Lv1/80 死霊術師Lv1/100
アーマーナイト Lv1/99 剣闘騎士Lv1/99 』
先週は投稿できずにすみませんでした。
用事があったのもあり書ききれませんでした。
相も変わらず戦闘回です。もうここまで来たら方針を貫き通します。
ご容赦ください。
ではまた次回




