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1年記念パーティです



 俺たちがこの世界にやってきてちょうど1年となるその日、昼前になって、俺達はヒメたち従魔も含めて全員でリビングに集まっていた。元々は外でバーベキューみたいな形式でやるつもりだったが、この雨じゃ仕方ない。

 アンナとカルアも、今日ばかりは部下の子蟻たちに任せて全員が参加だ。最近は以前見たモデルクイーンアントたちもさらに成長しており、森の守りはさらに強固なものになっていると言っていたし、一晩くらいならアンナとコルクがどうこうしなくてもいいだろう。


 机の上に所狭しと並ぶ料理の数々は、昨日のうちにみんなで作ったものだ。どうせ余ったとしても俺のアイテムボックスに入れることになるだけだからと、みんなで大量に用意した。お肉大好きな奴らが多いからもしかしたらなくなるかもしれないけど、その時はまあその時かな。龍の肉はまだまだ大量にあるし、いざとなればその場でそれらを焼けばいいだろう。

 全員が集まって、俺達はコップを手に持ったところで、俺が始まりの挨拶をすることになった。


「えっと、あいにくの天気になっちゃったからリビングでやることになったけど、やっぱアンナやコルクには少し狭いか?」


「がああ」


『問題ありません。その、主様の頭の上に比べれば』


「「ぷっ」」


 遠慮がちに言ったアンナの言葉に女性陣は思わず噴き出した。少し前からプルプルしてたし我慢の限界だったようだ。

 そんなアンナの視線の先、俺の頭の上では、3体のちびっこが鏡餅のようにだんだんに積み重なっていた。いつものように頭の上(定位置)の奪い合いをしていた3匹だったが、『暴れる悪い子はお肉抜き』という悪魔のささやきによって喧嘩をやめた結果だ。頭から降りるという選択肢はなかったのか……。


「かう?」


「くえ!」


「ちちさま、はじめないの?」


「……お前ら、そこを降りろ!」


 自分の影から『シャドウハンド』を伸ばして、1匹ずつコルクの方へ放り投げた。コルクも意図を察してくれて3匹を受け止めると、優しく地面に降ろす。不満そうな顔を浮かべつつも、3匹とも再び俺の頭の上を狙って来るなんてことはなく、その場でちょこんと座った。


「はあ、それじゃ、そろそろ始めるか?」


「みんな待ってるよー」


「さっさと始めるのじゃー」


「はやくはやくー」


「ご主人様、始めましょう」


「お前ら……。ごほん。えっと、この1年、いろんなことがあった。俺とマナは完全に無縁ってわけじゃないけど、危険とは程遠い、平和な日常からこんなファンタジーな世界に来ることになった。何度も死にそうな目にあったし、命の危機とまではいかなくても、その何十倍も傷ついて、きつい思いもしてきた。でも、この世界に来たおかげで9年も前に行方不明になった姉さんとまたこうして会うことができた」


 俺は地球にいたころの姉さんとの思い出を思い出しながら、今のヒツギに目をやった。うんうんと頷きながら聞くヒツギに、マナが茶化すように言う。


「ひつ姉的には900年ぶり?」


「そこ! 乙女に年齢の話はだめ!」


「ごめんなさい」


 ヒツギのマジな目に即座にマナが頭を下げる。同じようなやり取りをしたことがある身だから今のマナの気持ちはよくわかった。


「そういえばこの中で一番年齢が上なのはヒツギじゃったな。すっかり忘れておった」


「私は肉体的に17歳なの! ユウカみたいにアラサーじゃないの!」


「かっかっか。わしはその分大人の魅力と言うやつがあるから問題ないのじゃ。それに、年齢なんぞを気にするような男でもあるまい。のう、メイよ?」


「ノーコメント」


 にやにやしながら聞いてくるユウカに両手をバツの字にして答えた。あまりこういう話が続くのはまずいな。


「ご主人様たちの世界では違うということでしたが、こちらでは年齢なんてあてになりませんから、問題ないと思います。種族によって年の取り方も違いますし、エルフなんかは何百年と生きると言われていますからね」


「でも、ユウカって普通に人間」


「この話はおしまい。続けるぞ」


「それがよいの」


 お互いの利害が一致したことで話を終わらせることに成功した。再開する前にさっさと次の話に移ろう。


「いろんなことがあったけど、その中でキャラビーやユウカとも出会えて、今はこうして仲間として一緒にパーティをやってる。そうしたもろもろを考えると、この世界にやってきて、俺はよかったと思ってるよ」


「私も、ご主人様と出会えてよかったです! その感謝の気持ちを体で」


「表さなくてよし。脱いだら1人で風呂場に閉じ込めるぞ」


「かっかっか。お主はヘタレじゃのう」


「ヘタレじゃねーし。ともかくだ。俺が何を言いたいのかと言うと、みんなありがとうってことだ。離れ離れになっても、俺を信じて探してくれたマナ。成長して姿がだいぶ変わってるのに、俺だとわかってくれて、一緒に来てくれた姉さん。俺が原因でオークションにかけられることになったのに、それでも主と呼んでくれるキャラビー。なんだかんだとみんなのことを気にして、助けてくれるユウカ。みんな、本当にありがとう。そして、これからもよろしくお願いします」


 そう言って俺は頭を下げる。


「こっちこそよろしくね」


「姉さんに任せなさい」


「私もがんばります」


「困ったときはわしに頼ればよい。わしの方こそ、よろしく頼むのじゃ」


「ヒメ、ゼルセ、コルク、アンナ、カルア、みぃちゃん、黄龍。お前らも本当にありがとな。これからも、よろしく頼むぞ。それじゃ、乾杯!」


「「「乾杯!」」」


 こうして、パーティが始まった。




「うにゃー! そのおにくはわれのなのだ!」


「くわー」


「ほれほれ、まだまだいくぞー」


「かう!」


「またとられたのだー!」


 みんなでわいわい騒ぎながらパーティも進み、机の上の料理もだいぶまばらになってきた。やはりと言うか、従魔たちの食欲には勝てなかった。ゼルセとコルクは手に持った塊肉にかぶりついているし、みぃちゃんもアンナと話しているキャラビーからお肉をもらっている。

 ちびっこ3匹に対しては、俺自らがお肉をあげて(遊んで)いた。

 一口サイズのサイコロステーキを指ではじき、食べた者勝ちのお肉バトルだ。魔法は禁止しているが、空中でも小回りの利くカルアと俊敏性の高いヒメが1歩リードといったところか。2匹に比べて両手が自由に使える黄龍も、序盤は無双していたが、20を超えたあたりからだんだんと2匹にとられることが増えていた。若干瞳がうるんでいるけど、お前既に40は食べてるぞ?

 

『え?』


 そんな風に楽しんでいると、キャラビーと話していたアンナが館の外を向いて声を上げた。


「アンナ、どうかしましたか?」


「む、何事かの?」


『主様、森に展開しているアントたちがやられています。侵入者は、館へまっすぐに向かっていると』


 アンナの告げた侵入者たちによって、最高だった午前は終わりを迎え、俺達の最悪の午後が始まった。






どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 神官  (50)

有効職業

 聖???の勇者Lv17/?? ローグ Lv46/70

 重戦士 Lv62/70   剣闘士 Lv49/60

 龍人  Lv10/20  精霊使いLv17/40 

 舞闘家 Lv29/70  大鬼人 Lv11/40 

 上級獣人Lv7/30  魔導士 Lv23/90

 死龍人 Lv1/20

非有効職業

 魔人  Lv1/20 探究者 Lv1/99

 狙撃王 Lv1/90 上級薬師Lv1/80 』

なんだかちゃんと1週間で更新したの久しぶりな気がします。

ナンデナノカナー。


いつも感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

ブックマークや閲覧数もだいぶ伸びてまして、久しぶりに見たら2600万を超えていました。

本当にありがとうございます!


ではまた次回

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